著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Jurnal SAGO Gizi dan Kesehatan

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

女性アスリートには月経周期の乱れがよく見られることが知られています。研究チームによると、格闘技選手を対象とした先行研究では、周期が短すぎる「頻発月経」が31.8%、長すぎる「稀発月経」が50.0%に見られたと報告されています。体格や食事内容が月経周期の規則性と関係する可能性は指摘されてきましたが、インドネシアの伝統武術プンチャック・シラットの選手について調べた研究はまだ限られていました。

そこで著者らは、インドネシア・スラバヤ市の思春期の女性プンチャック・シラット選手を対象に、栄養状態、エネルギー摂取量、主要栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質)の摂取量と月経周期との関連を分析しました。著者らによる予備調査では、この地域の選手の60%が直近3か月に21日未満の短い周期を経験していたことも、研究の背景として挙げられています。

調べた方法

研究は、ある一時点での状態を調べる「横断研究」として2025年2月から8月に行われました。対象は、型や演武の正確さを競う「芸術部門」に出場する13〜21歳の女性選手で、初経から3年以上たっている人です。名簿などの公式な対象者リストが得られなかったため、参加者が次の参加者を紹介する方法で81人を集めました。

栄養状態は身長と体重から求める体格指数(BMI、18歳未満は年齢別の基準)で判定し、「正常」と「正常でない(やせ、または肥満)」に分けました。食事は、過去30日間に何をどれくらいの頻度・量で食べたかを尋ねる質問票で調べ、一人ひとりの必要量に対して80〜110%を「適正」、80%未満または110%超を「適正でない」としました。つまり「適正でない」には、不足だけでなく摂りすぎも含まれます。月経周期は直近3か月について質問票で尋ね、21〜35日を正常、それより短いか長い場合を正常でないとしました。

主な結果

参加者の54.3%(44人)で月経周期が正常範囲から外れていました。栄養状態が正常だったのは82.7%でしたが、食事面ではエネルギー摂取が適正範囲外の人が64.2%にのぼり、平均摂取量は1日約1,590キロカロリーでした。炭水化物、たんぱく質、脂質についても、それぞれ7割前後の人が適正範囲外でした。著者らは聞き取りの中で、主食の炭水化物を1日2回しか食べない人や朝食を抜く人が多かったことを、その背景として挙げています。

統計解析の結果、栄養状態、エネルギー摂取、炭水化物・たんぱく質・脂質の摂取はいずれも月経周期と有意な関連を示しました。たとえば、エネルギー摂取が適正範囲外の人は、適正な人に比べて月経周期が正常でない「オッズ(起こりやすさの比の指標)」が約7.8倍でした。複数の要因を同時に考慮した分析では、栄養状態が月経周期の乱れと最も強く関連し(オッズ比約6.3)、次いで炭水化物摂取が関連していました(オッズ比約5.0)。

一方、著者らは限界も示しています。横断研究のため因果関係は確かめられないこと、食事の質問票は記憶に頼るため誤差が生じうること、体脂肪率や筋肉量は測っていないこと、練習時間やストレスなど他の要因を考慮していないことです。

研究が示すこと

この研究は、体重制限の少ない芸術部門の若い選手であっても、半数以上に月経周期の乱れが見られ、それが体格や食事の摂り方と結びついていることを示しました。著者らは、この結果が選手の栄養管理を考えるうえで、栄養必要量の充足と生殖に関わる健康を支えるための検討材料になりうると述べています。

原著論文の著者・所属:Majida Putri Rahmasari(Program Studi Gizi, Universitas Negeri Surabaya)、Cleonara Yanuar Dini(Program Studi Gizi, Universitas Negeri Surabaya)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Majida Putri Rahmasari, Cleonara Yanuar Dini Hubungan status gizi, asupan energi, dan makronutrien dengan siklus menstruasi pada atlet pencak silat remaja: studi potong lintang. Jurnal SAGO Gizi dan Kesehatan 2026-08-07. DOI: 10.30867/gikes.v7i2.3205. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。