著者の所属・活動拠点の国は、ルクセンブルク、フランスです。
掲載誌:World Allergy Organization Journal
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
健康面や環境面の利点から、植物性の食品を中心とした食事(プラントベース食)への関心が高まっています。一方で、こうした食事でよく食べられる植物のたんぱく質には、アレルギーの原因として知られているものが少なくありません。食物が引き金となって起こるアナフィラキシー(全身に急激に現れる重いアレルギー反応)の原因になることもあります。
研究チームは、アレルギーの症例を報告・集積する「アレルギー・ビジランス・ネットワーク」に寄せられた症例をもとに、プラントベース食に関係する植物性アレルゲンによるアナフィラキシーが、13歳以上の思春期の若者と成人でどのような特徴を示すのかを明らかにしようとしました。
何を調べたか
著者らは、2002年から2024年までに報告された、13歳以上の人で植物性アレルゲンが原因とされたアナフィラキシーの症例を、さかのぼって分析しました。症例は原因となったアレルゲンによって選ばれており、その人が実際にプラントベース食をしていたかどうかは問われていません。
分析では、年ごとの傾向、症状を引き起こした摂取量、運動や飲酒、薬など発症に関わる要因(補助因子)、さらにアレルゲンを成分ごとに調べる検査の結果を検討し、思春期の若者と成人の特徴を比較しました。
主な結果
記録された植物性アレルゲンによるアナフィラキシーは753例で、そのうち237例(31.5%)が思春期の若者、516例(68.5%)が成人でした。小麦、ピーナッツ、そば、大豆、ヘーゼルナッツ、ゴマ、ルピナス(豆の一種)、カシューナッツ、松の実、クルミ、アーモンドの11種類が、プラントベース食に関係する症例全体の85%を占めていました。
原因食品の内訳は年齢層で異なりました。成人では小麦が主な原因で、成人の26.9%に対し思春期では7.6%でした。思春期ではピーナッツが最も多く、思春期の34.2%に対し成人では8.1%でした。ピーナッツの症例では、以前からピーナッツアレルギーがあったことが思春期で71.8%、成人で46.2%と報告されています。
大豆による症例にも違いが見られました。成人の大豆の症例は、シラカバ花粉のアレルギーを伴うことが多く(成人64.5%、思春期18.8%)、思春期の大豆の症例では、以前に豆類のアレルギーと診断されていたケースが多くみられました(思春期50%、成人5.6%)。
発症に関わる要因としては、思春期では主に運動が報告された一方、成人では運動に加えて飲酒や薬など、より幅広い要因が挙げられていました。
研究が示すこと
著者らは、いくつかの植物性アレルゲンについて、年齢層ごとに異なる臨床的な特徴がみられたと結論づけています。この知見は、食物アレルギーやアレルギー体質のある人がプラントベース食を取り入れようとする際の食事相談に役立つ可能性がある、と研究チームは述べています。
原著論文の著者・所属:Naphisabet Wanniang(Department of Infection and Immunity, Luxembourg Institute of Health, Esch-sur-Alzette, Luxembourg; Faculty of Science, Technology and Medicine, University of Luxembourg, Esch-sur-Alzette, Luxembourg)、Françoise Codreanu-Morel(Allergy-Vigilance Network, Vandœuvre-lès-Nancy, France; Department of Allergology and Immunology, Centre Hospitalier de Luxembourg-Kanner Klinik, Luxembourg)、Guillaume Pouessel(Allergy-Vigilance Network, Vandœuvre-lès-Nancy, France; CH Roubaix, Department of Paediatrics, Children's Hospital, Roubaix, France; CHU Lille, Paediatric Pulmonology and Allergy Department, Pole Enfant, Hôpital Jeanne de Flandre, Lille, France; Univ Lille, ULR 2694: METRICS, Lille, France)、Isabela Assugeni(Department of Infection and Immunity, Luxembourg Institute of Health, Esch-sur-Alzette, Luxembourg; Faculty of Science, Technology and Medicine, University of Luxembourg, Esch-sur-Alzette, Luxembourg)、Amandine Divaret-Chauveau(Allergy-Vigilance Network, Vandœuvre-lès-Nancy, France; Paediatric Allergy Unit, Children's Hospital, University Hospital of Nancy, Vandoeuvre les Nancy, France; UR 3450 DevAH, Health Faculty, Vandoeuvre les Nancy, France)、Dominique Sabouraud-Leclerc(Allergy-Vigilance Network, Vandœuvre-lès-Nancy, France; General and Specialised Paediatrics, Department, American Hospital, Reims University Hospital, Reims, France)、Annette Kuehn(Department of Infection and Immunity, Luxembourg Institute of Health, Esch-sur-Alzette, Luxembourg)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Naphisabet Wanniang, Françoise Codreanu-Morel, Guillaume Pouessel, et al. Food-induced anaphylaxis to plant allergens in adolescents and adults: Data from the allergy Vigilance Network (2002–2024). World Allergy Organization Journal 2026-08-01. DOI: 10.1016/j.waojou.2026.101448. 原著ライセンス:CC BY.