著者の所属・活動拠点の国は、アメリカです。
掲載誌:Cereal Chemistry
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
お湯を注ぐなどして手軽に食べられるインスタントライスは、便利さから利用が広がっています。一方で、乾燥させたご飯がどれだけ水を吸ってふっくら戻るか(復元性)や、食感の品質をいつも同じように保つことは、製造上の課題とされています。
米は品種によって、でんぷんやたんぱく質の性質といった物理的・化学的な特徴が異なり、それが加工のしやすさや製品の仕上がりに影響します。しかし、インスタントライスに向く品種を体系的にふるい分ける方法は限られていました。そこで研究チームは、多数の品種を同じ条件で比べ、インスタントライスの加工に適した品種を見つけることを目指しました。
何を調べたか
研究チームが評価したのは25品種の米です。異なる親を掛け合わせたハイブリッド品種と、遺伝的にそろった純系品種の両方を含み、粒の形も中粒種と長粒種がそろっています。それぞれを精白米と玄米の2つの形で、インスタントライスへの適性を調べました。
測定項目は多岐にわたります。ご飯の粘りや硬さに関わるでんぷん成分のアミロースとたんぱく質の含有量、でんぷんが加熱によって糊状に変化し始める温度(糊化温度)、炊飯にかかる時間を調べました。さらに、段階的に温度を変える熱風乾燥でどれだけ水分が抜けたか、食感、乾燥したご飯が水を吸って戻る割合(復元率)、戻したときの体積の増え方、かさ密度、白さ、食品中の微生物が利用できる水の程度を示す水分活性も測定しました。
主な結果
論文によると、インスタントライスの品質に関わるほぼすべての項目が、品種の違いと、精白米か玄米かという形の違いによって統計的に意味のある差を示しました。一方、ハイブリッドか純系かという育種の種類は、品質を大きく左右する要因ではありませんでした。ただし、乾燥中の水分の抜け方については、米の形と育種の種類の組み合わせによる影響がみられたと報告されています。
玄米から作ったインスタントライスは、精白米から作ったものに比べて、水を吸って戻る割合や体積の増え方が小さく、硬さが大きいという結果でした。
多くの測定項目をまとめて品種間の違いの傾向をとらえる主成分分析という手法では、精白米で品質のばらつきの61.4%、玄米で48.5%が説明できたとしています。複数の品質項目を総合して評価した結果、精白米では長粒のハイブリッド品種「X16」、玄米では長粒の純系品種「Y3」が最も優れていました。反対に、中粒の純系品種「Y5」と「Y6」は、精白米・玄米のどちらでも主要な品質項目で劣っていました。なお、品種名は論文中で記号に置き換えられています。
この研究が示すこと
著者らは、インスタントライスへの加工適性は、育種の種類よりも品種そのものと、精白米か玄米かという形によって大きく左右されると結論づけています。精白米でも玄米でも、品種ごとに加工適性にはっきりした差があることが示されました。
米の品種は、これまで主に栽培のしやすさや精米したときの歩留まりで選ばれることが多く、加工への向き不向きはあまり重視されてこなかったと著者らは指摘しています。今回の結果は、品質が良く、ばらつきの少ないインスタントライスを作るために、原料となる品種を選ぶ際の手がかりになるものとして位置づけられています。
原著論文の著者・所属:Faith Ouma(Department of Food Science University of Arkansas, Division of Agriculture Fayetteville Arkansas USA)、Kaushik Luthra(Department of Food Science University of Arkansas, Division of Agriculture Fayetteville Arkansas USA)、Griffiths Atungulu(Department of Food Science University of Arkansas, Division of Agriculture Fayetteville Arkansas USA)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Faith Ouma, Kaushik Luthra, Griffiths Atungulu. Optimizing Instant Rice Quality of Milled and Brown Rice Through Cultivar‐Selection. Cereal Chemistry 2026-10-28. DOI: 10.1002/cche.70123. 原著ライセンス:CC BY.