この研究は、スロベニア、クロアチアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Horticulturae
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
葉の成分を左右する条件を調べる
オリーブの収穫や剪定で生じる葉には、植物がつくるフェノール類が豊富に含まれています。研究チームは、この葉を成分のそろった原料として利用するための基礎情報を得ようと、有機栽培と統合管理という栽培方式の違い、品種、採取時期が、フェノール類とミネラルの組成にどう関わるかを調べました。
対象は、肥料や病害虫対策の方法が異なる二つのオリーブ園です。「Istarska bjelica」「Leccino」「Oblica」の3品種、計36本から、2022年の6月、8月、10月に葉を採取しました。研究チームは計108試料を乾燥・粉砕し、主要なフェノール類7成分とミネラル12元素を測定。同じ木を繰り返し調べたことを考慮して、栽培方式、品種、時期と、それらの組み合わせによる違いを分析しました。
フェノール類の違いは成分と時期によって変わる
論文によると、測定したフェノール類の中で最も多かったのはオレウロペインでした。品種と採取時期をまとめた平均では、有機栽培の葉は統合管理の葉に比べ、オレウロペインが38%、ベルバスコシドが65%多く、ほかの複数の成分も高い値を示しました。一方、アピゲニン7-O-グルコシドは37%少なく、すべてのフェノール類が同じ方向に変わるわけではありませんでした。
採取時期による変化が特に大きかったのは、オレウロペインとオレアセインです。乾燥した葉の重量を基準にした平均濃度は、10月には6月のそれぞれ5.9倍、15.6倍になりました。品種別の平均では、「Istarska bjelica」で両成分が最も多く、「Oblica」ではルテオリンに糖が結びついた2種類の成分が多いという違いも報告されています。ただし、栽培方式による差の大きさや方向は、品種や時期によって変わりました。
ミネラルにも組み合わせによる違い
ミネラルの組成にも、栽培方式、品種、採取時期による違いが見られました。全体の平均では、有機栽培の葉でカリウムやマグネシウムなどが多く、統合管理の葉でホウ素やマンガン、ケイ素などが多い結果でした。6月から10月にかけては、ホウ素とカリウムが減る一方、カルシウム、マグネシウム、マンガン、ケイ素などは増える傾向が報告されています。
研究チームが強調したのは、各条件を切り離して解釈できないことです。測定した19成分・元素すべてで、ある条件による違いが別の条件によって変わる「相互作用」が認められました。例えば、同じ元素でも、品種と採取時期の組み合わせによって、有機栽培と統合管理のどちらで多いかが逆転する場合がありました。
葉の成分を比べるには条件の明示が重要
今回の比較では、各栽培方式を代表する園が一つずつだったため、栽培管理の違いと園そのものの違いは分けられません。それでも著者らの報告は、オリーブの葉の成分を「有機栽培かどうか」だけでは説明できないことを示しています。葉を一定の成分を持つ原料として扱うには、栽培方式に加え、品種と採取時期も明らかにすることが重要だと論文は結論づけています。
著者:Sergeja Adamič Zamljen(Department of Agronomy, Biotechnical Faculty, University of Ljubljana, SI-1000 Ljubljana, Slovenia)、Igor Pasković(Department of Agriculture and Nutrition, Institute of Agriculture and Tourism, Karla Huguesa 8, 52440 Poreč, Croatia)、Šime Marcelić(Department for Ecology, Agronomy and Aquaculture, University of Zadar, Trg Kneza Višeslava 9, 23000 Zadar, Croatia)、Igor Lukić(Department of Agriculture and Nutrition, Institute of Agriculture and Tourism, Karla Huguesa 8, 52440 Poreč, Croatia)、Nikola Major(Department of Agriculture and Nutrition, Institute of Agriculture and Tourism, Karla Huguesa 8, 52440 Poreč, Croatia)、Igor Palčić(Department of Agriculture and Nutrition, Institute of Agriculture and Tourism, Karla Huguesa 8, 52440 Poreč, Croatia)、Smiljana Goreta Ban(Department of Agriculture and Nutrition, Institute of Agriculture and Tourism, Karla Huguesa 8, 52440 Poreč, Croatia)、Anja Batel(Department of Agriculture and Nutrition, Institute of Agriculture and Tourism, Karla Huguesa 8, 52440 Poreč, Croatia)、Tilen Zamljen(Department of Agronomy, Biotechnical Faculty, University of Ljubljana, SI-1000 Ljubljana, Slovenia)、Marija Perica(Faculty of Agriculture, University of Zagreb, Svetošimunska cesta 25, 10000 Zagreb, Croatia)、Marija Polić Pasković(Department of Agriculture and Nutrition, Institute of Agriculture and Tourism, Karla Huguesa 8, 52440 Poreč, Croatia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sergeja Adamič Zamljen, Igor Pasković, Šime Marcelić, et al. Farming System, Cultivar, and Sampling Date Shape the Phenolic and Mineral Profiles of Olive Leaves. Horticulturae 2026-09-21. DOI: 10.3390/horticulturae12091191. 原著ライセンス:CC BY.