この研究は、ウズベキスタンの研究機関の研究論文です。
掲載誌:chemistry of plant raw material
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
二種類のシナモンを比べた目的
シナモンとして広く流通している植物には、主に二つの種類があります。一つはセイロンシナモン(学名シナモムム・ベルム)、もう一つは中国産シナモン、いわゆるカシア(シナモムム・カシア)です。セイロンシナモンは風味が穏やかで、クマリンという成分の含有量が少ないことから、長期的に摂取しても安全性が高いと考えられてきました。
研究チームは、この二種類の樹皮について、植物由来の成分、水に溶けるビタミン、ミネラルの含有量と、抗酸化作用を比べました。抗酸化作用とは、活性酸素やフリーラジカルと呼ばれる反応性の高い物質の働きを抑える性質のことです。著者らは、予防的な健康づくりへの応用の可能性を探ることを目的に挙げています。
何をどのように調べたか
試料には、インドと中国で栽培されウズベキスタンへ輸入された市販のシナモンを用い、地元の食料品店で購入しました。樹皮の粉末から、エタノール(アルコールの一種)と水を使ってそれぞれ成分を抽出しました。
抗酸化作用は試験管内の実験で調べました。アドレナリンが自然に酸化して活性酸素が生じる反応を、抽出物がどれだけ抑えるかを割合(%)で示す方法です。値がプラスであれば酸化を抑えたこと、マイナスであれば逆に酸化を進めた可能性を意味します。
さらに、成分を分離して量を測る高速液体クロマトグラフィーという分析法で、フラボノイドなどのポリフェノール類やビタミンを測定しました。ミネラルは、試料をプラズマで高温にして元素ごとに発する光を測る分析法で調べました。
主な結果
抗酸化作用が最も高かったのは、セイロンシナモンのエタノール抽出物でした。アドレナリンの酸化を平均で約43.4%抑えたのに対し、中国産シナモンのエタノール抽出物は平均約6.6%にとどまりました。一方、水で煮出した抽出物は両種ともマイナスの値を示し、著者らは、酸化を促す方向に働いた可能性があると報告しています。その理由として、熱に弱い成分が煮沸中に分解したことや、一部の成分が水に溶けにくいことが考えられると述べています。
セイロンシナモンの試料からは、フラボノイドのケルセチンが100グラムあたり約62.7ミリグラム、アピゲニンが約68.2ミリグラム、ルチンが約6.3ミリグラム検出されました。論文によれば、中国産シナモンではこれらは検出されませんでした。
ビタミンでは、セイロンシナモンの試料にビタミンB1が100グラムあたり約37.5ミリグラム、ビタミンB3(ナイアシン)が約22.3ミリグラム含まれていました。ビタミンB12とビタミンCは検出されませんでした。ミネラルでは、セイロンシナモンにカリウム(100グラムあたり約484.8ミリグラム)とマグネシウム(約75.4ミリグラム)が多く含まれていました。鉛やカドミウムなどの重金属はごく微量でした。
研究から分かること
著者らは、セイロンシナモンが中国産シナモンより豊かな成分構成と強い抗酸化作用を持つと結論づけ、機能性食品や栄養補助食品の素材として有望だとしています。また、同じ樹皮でも、抽出に使う液体によって試験管内での抗酸化作用が大きく変わることも示されました。
ただし、この結果は試験管内の実験と市販品の分析にもとづくものです。著者らも、栽培条件や加工方法の情報がないため結果を一般化するには限界があり、管理された条件での研究や臨床研究で確かめる必要があると述べています。
著者:Sevara Abdullayeva(Andijan State University; Turan University)、Ibrokhim Askarov(Andijan State University)、Shakhobiddin Kirgizov(Andijan State University)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sevara Abdullayeva, Ibrokhim Askarov, Shakhobiddin Kirgizov. COMPARATIVE PHYTOCHEMICAL AND ANTIOXIDANT PROFILING OF CEYLON AND CHINESE CINNAMON BARK EXTRACTS. chemistry of plant raw material 2026-10-02. DOI: 10.14258/jcprm.20260317740. 原著ライセンス:CC BY.