著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Zoologi

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的:インドネシアで手に入る海藻で海苔を作る

海苔は、海藻を薄いシート状にして乾燥させた日本の伝統的な食品です。著者らによると、海苔の原料として一般的なアマノリ属(Porphyra)はインドネシアではほとんど育たず、マルク地方のアンボン島周辺などで、特定の季節に短期間しか得られません。そこで研究チームは、インドネシアに豊富にある紅藻の一種 Gracilaria verrucosa(オゴノリの仲間)を海苔の代わりの原料として使うことに注目しました。

ただし、この海藻には泥や土のようなにおいが残るという課題がありました。著者らは、酸性の性質を持つ米酢がこうしたにおいを抑えると考えられていることから、原料を米酢液に浸す工程を取り入れました。研究の目的は、米酢液の濃度を変えたときに、できあがった海苔の性質と品質がどう変わるかを調べることです。

何を調べたか

研究チームは、水600ミリリットルに対して米酢液を10ミリリットル(P1)、30ミリリットル(P2)、50ミリリットル(P3)加えた3種類の浸漬液を用意し、海藻をそれぞれに浸してから海苔に加工しました。各条件は2回ずつ繰り返して作られました。

品質の評価には3つの方法が使われました。1つ目は、25人の評価者(パネリスト)が色・香り・味・食感について「とても嫌い」の1点から「とても好き」の5点までで好みを採点する官能評価です。2つ目は、保存性に関わる水分含量の測定です。3つ目は、食品に含まれる微生物のおおよその量を示す一般生菌数の測定です。結果は統計的な手法で比べられ、水分と一般生菌数はインドネシア国家規格の海苔の品質・安全基準(SNI 9105:2022)と照らし合わされました。

主な結果

官能評価では、4つの項目すべてで米酢液50ミリリットルのP3が最も高い平均点を得ました。色はP3が4.00点で、P1の3.56点、P2の3.48点を統計的に有意に上回りました。香りもP3が4.20点で「好き」に当たる水準となり、ほかの2条件より高く評価されました。著者らは、米酢液に浸すことで海藻の生臭さが取り除かれたと報告しています。

一方、味と食感では30ミリリットルのP2が最も低く、食感は2.96点にとどまりました。P3の食感は4.04点で、P1との間には統計的な差がありませんでした。著者らは、酢の量によって海藻の成分が作るゲル状の構造の状態が変わることが、食感の好みに影響した可能性があると考察しています。

水分含量はP1が10.44%、P2が7.25%、P3が8.92%でした。酢の量が多いほど水分が単純に減るわけではなく、30ミリリットルで最も低くなり、50ミリリットルでやや戻るという結果でした。著者らはこれを、浸漬中の水の出入りには最も水が抜けやすい条件があるためだと解釈しています。3条件とも、規格が定める上限14%を下回っていました。

一般生菌数は、対数値でP1が4.34、P2が4.26、P3が3.71と報告され、P3が最も少ない結果でした。著者らは、米酢の主成分である酢酸が環境を酸性にし、微生物の増殖を抑えたためと説明しています。要旨では、いずれの条件も規格の上限である対数値5.69を下回ったとされています。結論では各条件の値が示されたうえで、P3が品質・安全基準を満たすと述べられています。

研究が示すこと

研究チームは、評価者の好みに加え、品質・安全基準を満たすことを踏まえて、米酢液50ミリリットルで浸したP3を最も良い作り方と結論づけました。インドネシアで入手しやすい紅藻を海苔の原料にする際、米酢液の量の違いが風味や食感、品質に関わることを示した報告といえます。

原著論文の著者・所属:Siti Rahmatya A. Darise(Program Studi Teknologi Hasil Perikanan Fakultas Kelautan dan Teknologiu Perikanan , Teknologi Hasil Perikanan, Universitas, Negeri Gorontalo, Indonesia)、Lukman Mile(Program Studi Teknologi Hasil Perikanan Fakultas Kelautan dan Teknologiu Perikanan , Teknologi Hasil Perikanan, Universitas, Negeri Gorontalo, Indonesia)、Iin Susilawati Lantu(Program Studi Teknologi Hasil Perikanan Fakultas Kelautan dan Teknologiu Perikanan , Teknologi Hasil Perikanan, Universitas, Negeri Gorontalo, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Siti Rahmatya A. Darise, Lukman Mile, Iin Susilawati Lantu Karakteristik Nori Alga Merah Gracilaria Verrucosa Menggunakan Konsentrasi Larutan Cuka Beras yang Berbeda. Zoologi 2026-07-30. DOI: 10.62951/zoologi.v4i2.389. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。