著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:Frontiers in Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、食事から摂取するビタミンB群の量と、進行した心血管・腎臓・代謝(CKM)症候群との関連を調べました。CKM症候群は、心血管や腎臓の病気、肥満や糖尿病などの代謝上の問題を一体として捉えるものです。食事は変更できる関連要因として注目されていますが、ビタミンB群の摂取量とCKM症候群の進行との関係は明確ではありませんでした。
著者らは、ビタミンごとの関連に加え、複数のビタミンB群の摂取をまとめて捉えた場合の関連も検討しました。
何を、どのように調べたか
研究チームは、米国の全国健康栄養調査(NHANES)の2011~2020年のデータを用いました。食事の聞き取り記録が少なくとも1回あり、必要な情報がそろうなどの条件を満たした20歳以上の16,829人から、CKM症候群の危険因子がない段階の人を除き、14,576人を主な解析対象としました。
CKM症候群は重症度に応じて段階分けされ、この研究では、症状として現れる前でも心血管疾患の推定リスクが高い、腎臓病のリスクが非常に高い、またはすでに心血管疾患がある段階を「進行したCKM症候群」としました。主な解析対象のうち2,486人がこれに該当し、それ以外の12,090人と比較しました。
調べた栄養素は、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、総葉酸の6種類です。摂取量を連続的な値として扱う解析と、少ない順に4群に分ける解析を行い、年齢、性別、社会経済的な条件、喫煙、飲酒、身体活動、食事全体の質などを考慮しました。また、6種類の摂取量を組み合わせて評価する2種類の統計モデルも用いました。別の集団でも同様の関連が見られるかを確かめるため、2025年に中国の病院で集めた368人のデータでも解析しました。
主な報告結果
著者らが特に一貫した関連を報告したのは、ビタミンB2とB6でした。米国のデータでは、ほかの要因を考慮した後も、摂取量が多い人ほど進行したCKM症候群に該当するオッズが低いという関連が見られました。オッズは、該当する確率と該当しない確率の比で、ここでは群の間で該当のしやすさを比べる指標です。
摂取量が最も少ない4分の1の群と比べ、最も多い4分の1の群のオッズ比は、ビタミンB2で0.73(95%信頼区間0.60~0.89)、ビタミンB6で0.74(同0.59~0.93)でした。中国の病院のデータでも、最も多い群と最も少ない群を比べたオッズ比は、それぞれ0.76、0.78で、同じ方向の関連が報告されました。
6種類のビタミンB群の摂取量をまとめて評価した解析でも、2種類のモデルの両方で、摂取量が多いことと進行したCKM症候群のオッズが低いことが関連していました。この関連への統計上の寄与が大きかったのも、ビタミンB2とB6でした。一方、ほかのビタミンでは、解析の仕方や集団をまたいで同じように一貫した関連が示されたわけではありませんでした。
この報告が示すこと
研究チームは、食事由来のビタミンB群の中でも、B2とB6の摂取量が進行したCKM症候群の有無と関連するという結論を述べています。ただし、この研究は摂取状況と病状を同じ時点で捉える横断研究です。摂取量の少なさが病状に先行したのか、病気になってから食事内容や食欲が変わり、摂取量が減ったのかは区別できません。
著者らは、測定していない要因の影響が残る可能性や、腎臓の状態を1時点の検査で評価したことによる段階分類の誤りも限界として挙げています。また、中国のデータは病院で集めたもので、解析で考慮できた要因も米国のデータより限られていました。この報告は食事と病状の結びつきを示すものであり、B2やB6を増やせばCKM症候群の進行を防げると証明したものではありません。
原著論文の著者・所属:Dingyuan Tu(Department of Cardiology, The 961st Hospital of the Joint Logistics Support Force of The Chinese People’s Liberation Army; Department of Congenital Heart Disease, General Hospital of Northern Theater Command)、Jinru Li(Department of Anesthesiology, The 961st Hospital of the Joint Logistics Support Force of The Chinese People’s Liberation Army)、Li Luo(Department of Anesthesiology, The 961st Hospital of the Joint Logistics Support Force of The Chinese People’s Liberation Army)、Jianming Wang(Department of Congenital Heart Disease, General Hospital of Northern Theater Command, Shenyang, Liaoning, China)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Dingyuan Tu, Jinru Li, Li Luo, et al. Association between dietary B vitamin intakes and advanced cardiovascular-kidney-metabolic syndrome: insights from the National Health and Nutrition Examination Survey and an external hospital-based dataset. Frontiers in Nutrition(出版社:Frontiers Media) 2026-08-17. DOI: 10.3389/fnut.2026.1901987. 原著ライセンス:CC BY.