掲載誌:Advances in Clinical Medical Research

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ビタミンB12は、体内の「一炭素代謝」と呼ばれる物質のやり取りや、神経線維を包む髄鞘(ずいしょう)の維持、正常な神経機能に必要な栄養素だと著者らは説明しています。思春期は体が急速に成長し、学業上の要求も高まる時期ですが、インドにおいてビタミンB12の状態と認知機能を結びつけたデータは限られている、というのが研究チームの問題意識です。

そこで著者らは、病院を受診した思春期の人たちにおけるビタミンB12不足の頻度を推定し、それが認知機能の成績や一部の栄養面の要因とどう関係するかを調べることを目的として研究を計画しました。

調べ方

研究チームは、ハイデラバードのApollo Institute of Medical Sciences and Researchの小児科で、2025年6月から2026年5月にかけて横断研究(ある一時点の状態をまとめて観察する調査)を実施しました。対象は10〜19歳の思春期の人たちです。

血液中のビタミンB12は化学発光法という測定法で調べられました。認知機能の評価には、年齢に応じて標準化されたレーヴン標準漸進マトリックス(図形の規則性を見抜く課題)と、標準化された数唱課題(読み上げられた数字を記憶して答える課題)が用いられ、両者をまとめた複合認知zスコアが算出されました。zスコアは、集団の平均を0として、そこからどれだけ離れているかを表す指標です。群間の差はカイ二乗検定と一元配置分散分析で検討され、認知成績の低さに関連する要因を探るために多変量ロジスティック回帰が用いられました。

報告された主な結果

252人の思春期の人たちのうち79人がビタミンB12不足に該当し、頻度は31.3%(95%信頼区間25.9〜37.3)だったと報告されています。境界域にあたる人は21.8%でした。

不足は、菜食の人や、動物性食品を摂る回数が週3回未満の人でかなり多く(いずれもp<0.001)、貧血とも関連していました(p=0.008)。複合認知スコアの平均は、不足・境界域・充足の順に高くなり、それぞれ-0.36、-0.03、0.25で、分散分析の結果はp<0.001でした。血清ビタミンB12値と複合認知スコアの間には正の相関(r=0.39、p<0.001)がみられ、他の要因を調整した後も、不足の状態は認知成績の低さと関連していた(調整オッズ比5.83、95%信頼区間2.30〜14.76)と述べられています。

この研究が示すこと

著者らは、この病院ベースの思春期集団ではビタミンB12不足が一般的にみられ、認知機能の成績の低さと関連していたと結論づけています。菜食中心の食事パターンや動物性食品の摂取頻度の低さは、不足のリスクが高い人を見分ける手がかりになったとしています。

こうした結果は、適切な臨床の場で栄養面のスクリーニングを行うことを支持するものだと著者らは述べています。同時に、因果関係を論じるためには時間を追って観察する縦断研究が必要である、という留保も明記されています。つまり現時点で示されたのは、不足と認知成績の低さが「一緒に見られた」という関連であり、どちらが原因かは未解明のまま残されています。

著者:Madhavi Cowta、Altaf Naseem、Srikrishna Surampudi

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Madhavi Cowta, Altaf Naseem, Srikrishna Surampudi. PREVALENCE OF VITAMIN B12 DEFICIENCY AND ITS ASSOCIATION WITH COGNITIVE PERFORMANCE AMONG ADOLESCENTS. Advances in Clinical Medical Research 2026-09-22. DOI: 10.5281/zenodo.22890279. 原著ライセンス:CC BY.