この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Amerta Nutrition
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
何を明らかにしようとした研究か
鉄欠乏性貧血は、体内の鉄が不足して血液が酸素を十分に運べなくなる状態を指します。乳児期にこれが起こると、成長や発達に影響しうると考えられています。著者らは、母乳育児が乳児期早期の鉄欠乏を防ぐうえでどのような役割を果たしうるのか、また貧血の発生を減らすという長期的な利点をもたらしうるのかを整理することを目的として、このレビューを行ったと述べています。
著者らは、母乳が乳児の栄養にとって基準となる存在として広く認められていることを出発点に、鉄欠乏性貧血の予防という観点から既存の知見をまとめています。
どのように調べたか
この研究は、新たに人を対象として測定を行うものではなく、すでに公表されている文献を集めて検討する「文献レビュー」として設計されたと報告されています。著者らは、Google Scholar、PubMed、ScienceDirectという三つのオンラインデータベースから複数の論文を集め、それらを検討したとしています。
報告された主な内容
著者らによれば、母乳は乳児に必要な栄養素を与え、乳児における鉄欠乏性貧血の発生を減らすのに役立つとされています。母乳に含まれる鉄の量そのものは少ないものの、ラクトフェリンと呼ばれる成分があるため吸収されやすいと説明されています。ラクトフェリンは鉄と結びつく性質をもつ母乳中のたんぱく質です。また、母乳に含まれるビタミンCも鉄の吸収を高めるうえで効果的にはたらくと述べられています。
一方で、乳児や子どもの一日に必要な鉄を満たすためには、鉄を多く含む補完食(離乳食にあたる、母乳以外に加える食事)を与えることが助けになると整理されています。
課題として著者らが挙げているのは、完全母乳育児を実践していない母親の割合が依然として高く、69.3%にのぼるという点です。その背景には、母乳育児の重要性についての認識、経済的な困難、完全母乳育児への支援の不足といった複数の要因があるとされています。
この研究が伝えていること
著者らは結論として、完全母乳育児は生後4〜6か月の間、鉄欠乏性貧血を避けるのに十分な鉄を乳児に与えうると述べています。ただし生後6か月を過ぎてからも予防を続けるには、鉄を含む補完食が欠かせないとしています。そして、完全母乳育児を広め増やしていくには、さまざまな立場からの支援が不可欠であり、母乳育児と鉄欠乏性貧血の関係についてさらに研究を進めることが世界的な予防のために重要だと位置づけています。
つまりこのレビューは、母乳が乳児期初期の鉄をまかなううえで果たす役割と、それだけでは足りなくなる時期があること、そして母親を取り巻く支援の不足という現実の課題を、あわせて見る視点を示しているといえます。
著者:Tonny Sundjaya(Foodreview Indonesia, Bogor, Jawa Barat)、Rini Cendika(PT Dienggo Kreasi Nusantara, Jakarta)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Tonny Sundjaya, Rini Cendika The Role of Breastfeeding in Preventing Iron Deficiency Anaemia: A Long‑Term Perspective. Amerta Nutrition 2026-09-04. DOI: 10.20473/amnt.v10i3.2026.548-556. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。