この研究は、中国の研究機関の研究論文です。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

体重管理を目的として、食後の血糖値の上がりやすさを示す指標が低い「低GI」の食事代替粉末(ミールリプレイスメントパウダー)への関心が高まっています。GIとはグリセミック・インデックスの略で、食品に含まれる炭水化物が血糖値をどの程度上昇させやすいかを相対的に示す値です。

研究チームが着目したのは、中国・迪慶(ディチン)高原に産する野菜、フェンダイソウ(Sedum aizoon L.)です。論文によれば、この植物は食品の原料として有望とされる一方で、乾燥や下処理といった加工の際にどのような性質を示すのかは、これまで十分に調べられていませんでした。そこで著者らは、加工工程がこの野菜に与える影響を体系的に評価し、あわせて低GIの食事代替粉末の配合を最適化することを目的に研究を行いました。

何をどのように調べたか

著者らは、四つの前処理(無処理、凍結解凍、湯通し、湯通しに緑色保持処理を加えたもの)と、二つの乾燥方法(熱風乾燥と凍結乾燥)を組み合わせ、それぞれがフェンダイソウに及ぼす効果を比較しました。さらに、含まれる成分の定性・定量分析も実施しています。

乾燥させたフェンダイソウについては、訓練を受けたパネル(評価員)による官能評価と電子鼻による分析を行い、食事代替粉末については電子鼻と電子舌を用いて評価しました。電子鼻・電子舌とは、香りや味の成分をセンサーで測定し数値として捉える装置です。配合の最適化にあたっては、単一因子試験、プラケット・バーマン法、応答曲面法といった実験計画の手法を採用したと報告されています。

報告された主な結果

前処理の影響として、湯通しおよび湯通しに緑色保持処理を加えた場合、熱風乾燥にかかる時間がおよそ50%短縮され、粉末の流動性と密な詰まり具合が改善したと報告されています(ハウスナー比1.26、カー指数20.46%)。成分分析では、フェンダイソウにフラボノイド類やフェノール酸類といったさまざまな生理活性物質が含まれていることが示されました。

乾燥方法による違いでは、凍結乾燥のほうがポリフェノール、フラボノイド、ビタミンCをよく保持したとされています。また、凍結解凍と凍結乾燥を組み合わせた場合に色の保持効果が最も良好で、クロロフィル含量は1.4843 mg/gであったと報告されました。

最適化された食事代替粉末の配合は、フェンダイソウ粉末2.3 g、脱脂粉乳2.8 g、砂糖粉末1.6 g、穀物粉末4 g、ナッツ粉末2.6 g、コンニャク粉末0.55 gです。この粉末は推定GI値(eGI)が55未満と低く、食物繊維含量は43.4 g/100 gと高い値を示し、香りと味の面でも市販の比較対象品より優れていたと著者らは報告しています。

この研究が示すこと

この研究は、これまで加工特性がよく分かっていなかった高原産の野菜について、前処理と乾燥方法の選び方が乾燥効率・粉末の扱いやすさ・成分の保持・色合いにそれぞれ異なる形で影響することを整理して示したものです。

著者らは、これらの知見がフェンダイソウを用いた低GI食事代替食品の工業的生産を裏づけるものだと述べています。地域の植物資源を食品素材として活用するうえで、加工条件を体系的に把握することの意義を示した研究といえます。

著者:Ying Wang(College of Food Science and Engineering, Northwest A&F University, Yangling, Xianyang 712100, China)、Ruohan Huang(College of Food Science and Engineering, Northwest A&F University, Yangling, Xianyang 712100, China)、Mengxiao Li(College of Food Science and Engineering, Northwest A&F University, Yangling, Xianyang 712100, China)、Yishi Guo(College of Food Science and Engineering, Northwest A&F University, Yangling, Xianyang 712100, China)、Zihan Zhao(College of Food Science and Engineering, Northwest A&F University, Yangling, Xianyang 712100, China)、Jianmei Mao(Productivity Promotion Center of Diqing Tibetan Autonomous Prefecture, Shangri-La 674499, China)、Wanzhong He(Productivity Promotion Center of Diqing Tibetan Autonomous Prefecture, Shangri-La 674499, China)、Qilin Zhuoma(Productivity Promotion Center of Diqing Tibetan Autonomous Prefecture, Shangri-La 674499, China)、Juxiu Li(College of Food Science and Engineering, Northwest A&F University, Yangling, Xianyang 712100, China)、Min Zhang(College of Food Science and Engineering, Northwest A&F University, Yangling, Xianyang 712100, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ying Wang, Ruohan Huang, Mengxiao Li, et al. Research on Processing Characteristics of Sedum aizoon L. and Development of Low-GI Meal Replacement Powder. Foods 2026-09-23. DOI: 10.3390/foods15193379. 原著ライセンス:CC BY.