著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Jurnal Impresi Indonesia
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
思春期の女子は、急速な成長や月経による出血、食事内容の偏りなどから鉄が不足しやすく、貧血になりやすい時期にあるとされています。貧血とは、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンの濃度が基準値を下回る状態で、疲れやすさや集中力の低下などにつながる可能性があります。
研究チームは、インドネシア・西カリマンタン州ブンカヤン県の沿岸部にある公立高校、SMAN 1 Sungai Raya Kepulauanの10年生(日本の高校1年生にあたる学年)の女子生徒を対象に、日ごろの食事パターンと貧血の有無に関連があるかを調べました。著者らによると、この地域ではこれまで、食事の評価とヘモグロビンの直接測定を組み合わせて調べた研究が限られていました。本研究の新しさは、この地域と対象集団に焦点を当てた点にあると著者ら自身が位置づけています。
どのように調べたか
研究は、ある一時点で食事と貧血の状態を同時に調べる「横断研究」として、2026年6月に行われました。対象学年の生徒97人のうち、無作為に選ばれた71人が参加しました。
食事パターンは、食べ物をどのくらいの頻度で食べているかを尋ねる「食物摂取頻度調査票(FFQ)」に基づく、はい・いいえで答える25問の質問票で評価しました。質問は、食事時間の規則性、朝食の習慣、間食、野菜や果物の摂取などに関するものです。合計点が12点以下を「適切でない食事パターン」、12点を超える場合を「適切な食事パターン」と分類しました。
貧血の有無は、指先から少量の血液を採るデジタル式のヘモグロビン測定器で調べ、ヘモグロビン濃度が12g/dL未満を貧血としました。両者の関連はカイ二乗検定という統計手法で分析しました。
主な結果
71人のうち、食事パターンが「適切でない」と分類されたのは37人(52.1%)、「適切」と分類されたのは34人(47.9%)でした。貧血と判定されたのは11人(15.5%)でした。
両者を組み合わせて見ると、「適切でない」食事パターンの37人のうち貧血だったのは1人(2.7%)だったのに対し、「適切」な食事パターンの34人では10人(29.4%)が貧血でした。統計的には食事パターンの分類と貧血の有無との間に有意な関連が認められました(p=0.002)。ただしその向きは、一般に予想されるものとは逆で、「適切」とされた群のほうに貧血が多いという結果でした。
質問票の個別の回答からは、1日3食を食べている生徒が46.5%にとどまること、71.8%が食事の時間が遅れがちだと答えたこと、朝食が炭水化物中心になりがちなこと、76.1%がよく間食をすることなども報告されています。
著者らは、食事パターンが適切でない生徒が半数を超えるわりに貧血の割合が高くなかった背景として、学校を通じて配布される鉄・葉酸のサプリメント(鉄剤)や、食品への鉄の添加といった政府の取り組みが影響している可能性を考察しています。
この研究が示すこと
この研究は、地域の高校で食事と貧血の関係を実測に基づいて調べた事例として、統計的な関連を報告しています。一方で、関連の向きが予想と逆だったことについて、著者ら自身が慎重な解釈が必要だとしており、食事評価の基準のあり方や、結果に影響しうる他の要因の存在を課題として挙げています。
また、一時点の調査であるため、食事パターンが貧血の原因になっているという因果関係は示されていません。ヘモグロビンの測定だけでは鉄欠乏による貧血かどうかは確定できない点や、質問票が記憶や回答のしかたに左右されうる点も限界として述べられています。
それでも、対象となった生徒の約6人に1人に貧血が見られたことから、著者らは思春期の栄養教育や学校での定期的なヘモグロビン検査の重要性を強調しています。食事と貧血の関係を正しく捉えるには、より詳しい食事評価が必要であることも示した研究といえます。
著者:Fatika Maulidya(Akademi Kebidanan Singkawang)、Uray Evi Nasla(Akademi Kebidanan Singkawang)、Adhetya Uberty(Akademi Kebidanan Singkawang)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Fatika Maulidya, Uray Evi Nasla, Adhetya Uberty The Relationship Between Diet and the Incidence of Anemia in Adolescent Girls at Sman 1 Sungai Raya Islands of Bengkayang Regency in 2026. Jurnal Impresi Indonesia 2026-10-16. DOI: 10.58344/jii.v5i10.8169. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。