著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Amerta Nutrition

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料になる微量栄養素で、代謝や成長、神経の発達に関わります。著者らによると、学齢期の子どもがヨウ素不足になると、知的発達や心身の機能、学業成績に悪影響が出たり、甲状腺腫などの甲状腺疾患のリスクが高まったりします。

研究チームが対象にしたのは、インドネシア中部ジャワ州のプルウォレジョ県です。海に面した製塩地域でありながら、ヨウ素不足の問題が今も続いています。論文によると、この地域で流通する塩の約32%は食用に適さず、その多くは基準どおりにヨウ素が添加されていません。2024年の妊婦調査でも、ヨウ素不足を示す結果が多く報告されていました。

そこで著者らは、特定の栄養素一つではなく、子どもが日頃どんな組み合わせで食べ物をとっているかという「食事パターン」に注目しました。小学生の食事パターンと尿中ヨウ素排泄量(UIE)との関連を調べることが、研究の目的です。UIEは尿に出てくるヨウ素の量で、最近のヨウ素摂取を反映する指標として広く使われています。

どのように調べたか

調査は2024年11月から2025年2月にかけて行われました。場所は同県の沿岸部、グラバグ地区にある公立小学校3校です。6〜12歳の子ども215人が参加し、データがそろわない子どもなどを除いた211人を分析しました。この研究は横断研究で、ある一時点の状態を調べ、項目どうしの関連を見る方法です。

食事は、食品ごとにどのくらいの頻度と量を食べるかを尋ねる質問票で調べました。質問票は地域の食生活に合わせて調整されています。尿中ヨウ素は、随時に採った尿のサンプルを検査機関で測定しました。

食事パターンは主成分分析で見つけました。主成分分析は、一緒に食べられやすい食品のまとまりを統計的に取り出す手法です。そのうえで、各パターンの傾向の強さで子どもを3つのグループに分けました。そして回帰分析で尿中ヨウ素量との関連を検討しました。分析では、年齢、性別、母親の学歴や職業、1人当たり所得、食料の確保状況など、結果に影響しうる要因を考慮しています。

主な結果

研究チームは主な食事パターンとして、次の3つを見いだしました。

1つ目は、主食、野菜、果物、動物性食品を中心とするパターンです。2つ目は、加工食品を中心とするパターンです。3つ目は、植物性食品、乳製品、甘味料が多いパターンです。

1つ目のパターンでは、その傾向が最も強いグループの尿中ヨウ素量が、最も弱いグループより高いという統計的に有意な関連が報告されました。この関連は、母親の学歴や社会経済的な要因を考慮した後も見られました。

加工食品中心のパターンも、尿中ヨウ素量の高さと有意に関連していました。ただし著者らは、その影響は1つ目のパターンより小さかったと述べています。また、この関連は塩を含む食品の摂取と関係しているのではないかと考察しています。ヨウ素添加塩は多くの地域で主なヨウ素源の一つだからです。

研究から分かること

著者らは、主食や動物性食品を含むバランスのとれた食事が、学齢期の子どもの十分なヨウ素状態と関連していると結論づけています。さまざまな食品から栄養をとることの大切さを示す結果だとしています。

一方で、この研究は横断研究のため、示されたのは食事パターンと尿中ヨウ素量の関連であり、因果関係までは結論できません。著者らは限界として、次の点も挙げています。食事の自己申告が正確でない可能性があること。子どもが実際に摂取したヨウ素添加塩の量は把握できていないこと。製塩地域でありながらヨウ素不足が残る地域で、子どもの日々の食べ方がヨウ素状態とどう結びついているのか。その手がかりを示した研究といえます。

原著論文の著者・所属:Dwi Yuniar Intan Sari(Department of Nutrition Science, Faculty of Medicine, Universitas Diponegoro, Semarang, Central Java)、Suyatno Suyatno(Department of Public Health, Faculty of Public Health, Universitas Diponegoro, Semarang, Central Java)、Lilis Wijayanti(Department of Nutrition Science, Faculty of Medicine, Universitas Diponegoro, Semarang, Central Java)、Ahmad Syauqy(Department of Nutrition Science, Faculty of Medicine, Universitas Diponegoro, Semarang, Central Java)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Dwi Yuniar Intan Sari, Suyatno Suyatno, Lilis Wijayanti, Ahmad Syauqy Dietary Patterns and Their Association with Urinary Iodine Excretion (UIE) Level among School-Aged Children: A Cross-sectional Study. Amerta Nutrition 2026-10-29. DOI: 10.20473/amnt.v10i2sp.2026.4-14. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。