著者の所属・活動拠点の国は、アメリカ、フランスです。

掲載誌:Current Developments in Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

持続可能で健康的な食事は、健康、経済、社会、環境という四つの柱で考えられています。この論考で著者らは、牛乳、ヨーグルト、チーズといった乳製品が、フランスの食生活においてこの四つの柱のそれぞれでどのような位置を占めるのかを検討しました。抄録によると、この論文は「Perspective(見解)」として、乳製品の位置づけを各領域ごとに評価しています。

使われたデータと方法

研究チームは、フランスの政府機関が公開しているデータベースを利用しました。食品の栄養成分は食品成分データベースのCIQUAL、温室効果ガス排出量と環境への総合的な影響は環境評価データベースのAgribalyse、食品の価格は公表済みの報告書から得ています。実際の食事内容については、全国食事調査INCA3に参加した3〜17歳の子ども1,775人と18〜79歳の大人2,121人のデータを用いました。

栄養面の評価には、食品の栄養の豊かさを点数化する「栄養豊富食品指数(NRF)」を改変したものが使われました。この指数は、取りたい栄養素の多さを表す点数(NR)と、取りすぎを控えたい成分の多さを表す点数(LIM)の二つから成ります。NRのたんぱく質の部分は、消化のしやすさと必須アミノ酸の質を考慮した指標(PDCAAS)で補正され、LIMは飽和脂肪、添加糖、ナトリウムに基づいて計算されました。この指数は、たんぱく源となる食品全般と、牛乳・ヨーグルト・チーズに当てはめられています。また食事全体の質は、カロリーに対して栄養素がどれだけ含まれているかという比率で評価されました。

主な結果

乳製品の栄養密度の点数は、脱脂乳からブルーチーズまで幅広くばらつくことが報告されています。環境面では、フランスのAgribalyseのデータに基づくと、牛乳や乳製品は赤身肉より温室効果ガス排出量や環境コストが低く、卵や一部の植物性たんぱく源に近い水準でした。

価格については、1キログラムあたり、また100キロカロリーあたりのユーロ換算で、乳製品は赤身肉より安い一方、卵や豆類よりは高いという結果でした。さらに食事全体を対象にした分析では、牛乳、ヨーグルト、チーズは食事全体に対し、カロリーの割合よりも多くの割合の栄養素を供給しており、著者らはこれを「栄養豊富な食品」の定義を満たすものと位置づけています。

この研究が示すこと

著者らは、牛乳、ヨーグルト、そして豊かな食文化の歴史を持つチーズは、フランスの食生活に欠かせない要素であると述べています。そのうえで、乳製品は手頃な価格で栄養密度を提供し、環境への影響も比較的小さいと結論づけています。健康、経済、社会、環境という複数の視点から一つの食品群を見ることで、持続可能な食事における乳製品の位置づけを整理した論考といえます。

原著論文の著者・所属:Adam Drewnowski(Center for Public Health Nutrition, University of Washington, Seattle, WA 98195-3410, USA)、Florent Vieux(MS- Nutrition, Marseille, France)、Matthieu Maillot(MS- Nutrition, Marseille, France)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Adam Drewnowski, Florent Vieux, Matthieu Maillot. Perspective: The Place of Milk, Yogurt, and Cheese in Sustainable Healthy Diets in France. Current Developments in Nutrition 2026-09-19. DOI: 10.1016/j.cdnut.2026.109538. 原著ライセンス:CC BY.