無糖ヨーグルトをひとさじ口に運んだとき、ほのかに広がる甘みの正体を考えたことはあるでしょうか。その甘みの多くは「乳糖」という糖によるものです。同じヨーグルトには「ガラクトース」という糖も含まれていますが、こちらは量の上では常に一歩うしろに控えています。ガラクトースはブドウ糖や果糖と並ぶ単糖類の一つで、乳糖を構成する成分でもあります。日本人の食事摂取基準にガラクトース単体の推奨量などは設定されていませんが、成分表の実データを並べてみると、この糖がどんな食品に多いのか、そして「多い」のになぜ目立たないのかが見えてきます。
ガラクトースが多い食品は、ヨーグルトに偏る
100gあたりのガラクトース含有量で並べると、上位5食品のうち4つを無糖・低糖のヨーグルトが占めます。1位はヨーグルト 無脂肪無糖で1.1g(37kcal)、2位はヨーグルト 低脂肪無糖で0.9g(40kcal)、3位はヨーグルト 全脂無糖で0.8g(56kcal)、4位はヨーグルト 脱脂加糖で0.7g(65kcal)と続きます。脂肪の量が違ってもガラクトースの量に大きな差は出ておらず、乳製品という共通の出自がそのまま並びに映っているようです。
ところが、甘みを決めているのは乳糖
各食品の糖類の内訳に踏み込むと、ひとつの逆説が見えてきます。無脂肪無糖ヨーグルトの糖類は、乳糖2.6g・ガラクトース1.1g・ぶどう糖0.4gの順です。低脂肪無糖は乳糖2.7g・ガラクトース0.9g・ぶどう糖0.4g、全脂無糖は乳糖2.9g・ガラクトース0.8g・ぶどう糖0.1g。砂糖を加えた脱脂加糖だけはしょ糖6.5gが最多ですが、それでも乳製品由来の乳糖3.6gがガラクトース0.7gを大きく上回ります。つまり、ガラクトースが多い食品として並ぶどれをとっても、甘みの中心にいるのは乳糖なのです。
これは偶然ではないのかもしれません。乳糖はぶどう糖とガラクトースが結びついてできた二糖で、ガラクトースはいわば乳糖という“より大きな糖”を組み立てる部品でもあります。単体としても食品に一定量あらわれる一方で、親である乳糖には量で届かない——そんな性格が、数字にも表れているようにみえます。
ヨーグルト1食分で見ると
全脂無糖ヨーグルトはカップ1杯(200ml、約210g)が一般的な目安量です。100gあたりの数字そのものは決して大きくなく、日々の食事のなかではごく控えめなエネルギー源の一つとして口に入っている、という程度に捉えるのが実態に近いでしょう。
5位で、風景が変わる
ところが5位で、この乳製品の連なりが途切れます。さくらんぼ 米国産 生のガラクトースは0.6g(推定値、64kcal)。初めて登場する非乳製品ですが、糖類の内訳を見ると景色が一変します。最も多いのはぶどう糖7g(推定値)、次いで果糖5.7g(推定値)で、ガラクトースはしょ糖0.2g(推定値)や麦芽糖0.1g(推定値)より多いとはいえ、中心からは遠い位置にいます。さくらんぼの甘みを担うのはぶどう糖と果糖であり、しかもここには乳糖という“親”すら存在しません。1粒あたりの目安量は約10gとされますから、実際に口にする量で考えれば、この糖はさらに小さな存在になります。
まとめ
ガラクトースは、成分表を集計するとヨーグルトという特定の食品群にはっきり偏ってあらわれる糖です。それでいて、多い食品のどれを開いても甘みの主役は乳糖であり、5位のさくらんぼではぶどう糖と果糖に場所を譲ります。「多い食品」の一覧には顔を出しても、そのなかで一番手にはならない——ガラクトースはそんな輪郭を持った糖だといえそうです。無糖ヨーグルトを選ぶときは、この糖の多寡よりも、乳酸菌を含む発酵食品としての性質やエネルギー量の違いに目を向けるほうが、日々の選択には役立つはずです。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準