掲載誌:International Journal of Latest Technology in Engineering Management & Applied Science
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究のねらい
レモングラスは、レモンに似た香りをもつイネ科の多年生ハーブです。香りの主成分はシトラールと呼ばれる精油成分で、ハーブティーや料理、菓子などに使われてきました。論文は先行研究を引用し、レモングラスにはフラボノイドやフェノール化合物などの成分が含まれ、抗酸化作用や抗菌作用などが報告されていると紹介しています。
一方、ハードキャンディーは砂糖と水あめを高温で煮詰め、冷やしてガラスのように固めた菓子です。水分が少なく糖濃度が高いため、日持ちがよいという特徴があります。著者らは、健康志向の高まりから植物由来の素材を菓子に取り入れる動きが広がっているにもかかわらず、レモングラスをハードキャンディーに加えた研究はまだ少ないと指摘しています。そこで研究チームは、レモングラス抽出液入りのハードキャンディーを試作し、その品質を評価しました。
二つの抽出法でキャンディーを試作
研究チームは、新鮮なレモングラスの葉から二通りの方法で抽出液をつくりました。一つは加熱する方法で、葉に水を加えて5〜10分ほど煮出し、黄色みを帯びた液をこして使いました。もう一つは加熱しない方法で、葉を水とともに細かくすりつぶし、布でこして抽出液を得ました。
キャンディーは、砂糖、液状の水あめ、少量の水を145〜150℃まで加熱し、そこにレモングラス抽出液とクエン酸を加えて型に流し、冷やし固めてつくりました。二つの試作品は、抽出法以外は同じ条件で調製されています。
品質評価では、水分、糖の総量、還元糖(ブドウ糖など、砂糖が分解してできる糖を含む)、灰分(燃やした後に残るミネラル分)、滴定酸度(酸味の強さの目安で、クエン酸に換算した値)を、標準的な分析法で測定しました。あわせて、事前に評価方法の説明を受けた22〜35歳の20人が、見た目、色、香り、味、食感、全体の好ましさを「非常に嫌い」から「非常に好き」までの9段階で採点する官能評価を行いました。試料には無作為な3桁の番号を付け、どちらの試料かが分からない状態で評価されました。
主な結果
論文によると、開発したキャンディーの水分は2.05%、糖の総量は93.2%、還元糖は23.8%、灰分は0.28%、滴定酸度は0.52%でした。著者らは、これらの値がいずれもハードキャンディーとして望ましい範囲にあると報告しています。水分が低いことは硬さを保ち、べたつきを抑えることにつながり、還元糖が適度に含まれることは砂糖の結晶化を防ぎ、透明感を保つのに役立つと説明しています。
官能評価では、二つの試作品とも評価者に好意的に受け入れられました。加熱して抽出した液を使ったキャンディーは見た目、食感、全体の好ましさで高い点を得た一方、加熱せずに抽出した液を使ったキャンディーは色、香り、味で高い点を得ました。著者らは、加熱しない方法のほうがレモングラス本来の揮発しやすい香り成分をよく残せたためだと解釈しています。ただし、両者の差はわずかだったとも述べています。
研究が示すこと
この研究は、レモングラス抽出液をハードキャンディーに加えても、菓子としての基本的な品質を保ちながら受け入れられやすい製品がつくれることを示しました。また、抽出液のつくり方によって、全体の好ましさを重視するか、レモングラスらしい香りや味を重視するかという違いが生じることも報告しています。なお、今回の研究で調べたのは成分の基本的な分析値と味や見た目の評価であり、キャンディーそのものの抗酸化作用や健康への効果は測定されていません。
原著論文の著者・所属:S. Jemmy Evangeline(Department of Food Technology and Management, Loyola Academy, Degree & PG College, Secunderabad, Telangana)、Yallaturu Beulah(Department of Food Technology and Management, Loyola Academy, Degree & PG College, Secunde)、Manda Mounika(Department of Food Technology and Management, Loyola Academy, Degree & PG College, Secunderabad, Telangana)、Lethakula Sruthi(Department of Food Technology and Management, Loyola Academy, Degree & PG College, Secunderabad, Telangana)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):S. Jemmy Evangeline, Yallaturu Beulah, Manda Mounika, et al. Development and Quality Evaluation of Functional Hard Candy Enriched with Cymbopogon Citratus (Lemon Grass) Extract. International Journal of Latest Technology in Engineering Management & Applied Science 2026-08-01. DOI: 10.51583/ijltemas.2026.150600248. 原著ライセンス:CC BY.