著者の所属・活動拠点の国は、モルドバ、ルーマニアです。
掲載誌:Foods
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ソルベは果物、水、甘味料を主な材料とする乳製品を含まない冷菓で、脂肪が少なく作り方も比較的単純です。その一方で、タンパク質はもともとほとんど含まれていません。研究チームは、マメ科の牧草であるアルファルファの葉や茎から取り出したタンパク質濃縮物(APC)に注目しました。APCは植物性タンパク質に加え、ポリフェノールなどの成分も含む素材として知られていますが、ソルベへの利用はあまり調べられていませんでした。
この研究の目的は、APCを加えてタンパク質を強化したリンゴのソルベを開発し、栄養面や品質への影響を調べることです。あわせて、栄養や機能性の向上と食べる人の受け入れやすさを両立できる添加量を探りました。
何を調べたか
研究チームは、モルドバで栽培された品種のアルファルファの地上部を材料にしました。弱アルカリ性の冷水で処理し、超音波を当てて抽出したあと、タンパク質を沈殿させてAPCを得ました。このAPCについて、成分組成、アミノ酸、色素、ポリフェノール量、抗酸化活性、泡立ちや乳化のしやすさなどを測定しています。
次に、焼いたリンゴのピューレに砂糖などを加えたソルベを作りました。APCを加えない対照のほか、APCを2.5%、5%、7.5%、10%加えた試料を用意し、比べています。調べた項目は、タンパク質量、ポリフェノール量、抗酸化活性、色、硬さ、粘り気、オーバーランです。オーバーランとは、空気を含ませて体積がどれだけ増えたかを示す値です。
さらに、胃と腸での消化を試験管内で再現する方法を用いて、タンパク質の消化されやすさと消化後の抗酸化活性を評価しました。11人の評価者による官能評価も行い、味と香り、外観、口当たり、色を点数で判定しています。
主な結果
論文によると、得られたAPCは乾燥重量あたり86.45%がタンパク質でした。総ポリフェノール量は乾燥重量100グラムあたり2297.4ミリグラム(没食子酸換算)、総フラボノイド量は983.6ミリグラム(ケルセチン換算)と報告されています。
ソルベにAPCを加えると、タンパク質量は対照の0.11%から、10%添加では8.05%まで増えました。総ポリフェノール量は乾燥重量100グラムあたり243.22ミリグラムから579.58ミリグラムに増えています。ABTS法という試験で測った抗酸化活性も、487.41から904.49(トロロックス換算、ミリグラム/乾燥重量100グラム)に高まりました。消化を模した処理のあとも、10%添加試料の抗酸化活性は1110.71に達したと報告されています。
一方で、APCの添加量が増えるにつれて変化した項目もあります。タンパク質の消化されやすさは74.90%から55.83%に下がり、オーバーラン、硬さ、見かけの粘度も低下しました。色も添加量に応じて段階的に変わりました。官能評価では、2.5〜7.5%添加の試料が最も高く評価されましたが、10%添加では評価が下がりました。
この研究が示すこと
著者らは、APCを適度な量で加えれば、栄養面と機能面の向上を得ながら、食べる人に受け入れられる品質を保てると結論づけています。リンゴのソルベにアルファルファ由来のタンパク質を加える試みでは、添加量を増やすほど栄養成分は増えます。ただし、消化されやすさや食感、色、味の評価とのバランスを考える必要があることが示されました。
原著論文の著者・所属:Viorica Bulgaru(Faculty of Food Technology, Technical University of Moldova, 9/9 Studentilor St., MD-2045 Chisinau, Moldova)、Angela Gurev(Faculty of Food Technology, Technical University of Moldova, 9/9 Studentilor St., MD-2045 Chisinau, Moldova)、Iana Ciugureanu(Faculty of Food Technology, Technical University of Moldova, 9/9 Studentilor St., MD-2045 Chisinau, Moldova)、Sorina Ropciuc(Faculty of Food Engineering, “Stefan cel Mare” University of Suceava, 13 University St., 720229 Suceava, Romania)、Aliona Ghendov-Mosanu(Faculty of Food Technology, Technical University of Moldova, 9/9 Studentilor St., MD-2045 Chisinau, Moldova)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Viorica Bulgaru, Angela Gurev, Iana Ciugureanu, et al. Assessment of the Physicochemical, Textural, Sensory, and Antioxidant Properties of Sorbet Enriched with Alfalfa Protein Concentrate. Foods 2026-09-30. DOI: 10.3390/foods15193504. 原著ライセンス:CC BY.