掲載誌:Vitalitas Medis : Jurnal Kesehatan Dan Kedokteran
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
何を明らかにしようとしたのか
高血圧は、血管にかかる圧力が通常より高い状態が続く病気です。原著の著者らは、収縮期血圧(心臓が縮んで血液を送り出すときの圧力)が140mmHg以上、拡張期血圧(心臓がゆるんだときの圧力)が90mmHg以上を高血圧とする基準を紹介しています。はっきりした症状が出ないまま進むことが多いため「サイレント・キラー」と呼ばれ、心臓の病気や脳卒中、腎臓の機能障害といった合併症の危険が高まると、著者らは文献をもとに説明しています。
高血圧の危険要因には、年齢や性別、家族の病歴のように変えられないものと、食生活や運動不足、喫煙などのように変えられるものがあります。著者らは後者のひとつとしてファストフードの習慣的な摂取に注目しました。こうした食品はナトリウム(食塩の主成分)や飽和脂肪を多く含むことが一般に知られているためです。そこで研究チームは、インドネシア・バタム市のセイ・ランカイ保健センター(プスケスマス)の管轄地域に住む46〜59歳、つまり論文が「後期成人期」と呼ぶ年齢層を対象に、ファストフードを食べる頻度と高血圧の発生に関連があるかを調べることを目的としました。この地域は、市の保健局の2024年データで高血圧の患者数が市内最多と記録された場所だと論文は述べています。
どのように調べたか
研究チームが用いたのは観察研究の一種で、ある一時点の状態をまとめて把握する「横断研究」と呼ばれる手法です。2026年2月から3月にかけて、条件に合う人を研究者が意図的に選ぶ有意抽出という方法で105人の参加者を集めました。参加の条件は、同意書に署名すること、46〜59歳であること、セイ・ランカイ地区に住んでいること、意思疎通ができることです。糖尿病、冠動脈疾患、腎不全、脳卒中といった重い合併症のある人、また聞こえや視力の障害など意思疎通の妨げとなる状態のある人は対象から除かれました。研究は所属機関の倫理委員会の承認を得ています。
食事の情報は、面談形式で「食物摂取頻度調査票(FFQ)」を使って集めました。これは、どの食品をどのくらいの頻度で食べているかを尋ねる質問票で、この研究では13種類の食品を取り上げた定性的なものが使われています。血圧はデジタル血圧計で測定しました。解析には、2つの数値の間に直線的な関係があるかを調べるピアソンの相関検定が用いられ、著者らは両方の変数が数値データであり正規分布の前提を満たしていたことを理由に挙げています。
報告された主な結果
105人のうち94人(89.5%)が、ファストフードを「よく食べる」区分に入りました。この研究では週3回以上を「よく食べる」、週3回未満を「まれ」と分けています。「まれ」に当たったのは11人(10.5%)でした。よく食べられていた食品として論文は、ハンバーガー、インスタントラーメン、揚げ物(ゴレンガン)、チャーハン、フライドチキン、ナシパダン(パダン料理の定食)などを挙げています。
血圧の測定では、15人(14.3%)が正常、34人(32.4%)が高血圧の前段階に当たる「前高血圧」、34人(32.4%)が高血圧ステージ1、22人(21.0%)が高血圧ステージ2に分類されました。論文の結論部では、前高血圧と高血圧ステージ1がそれぞれ32.4%で最も多かったと述べられています。参加者全体の収縮期血圧の平均は142.28mmHgでした。
肝心の関連については、ピアソンの相関検定でp値が0.440となりました。p値は「偶然でもこの程度の結果は起こりうるか」を示す目安で、一般に0.05より大きければ統計的に意味のある関連とは言えないと判断されます。相関係数(r)は0.076でした。したがって著者らは、ファストフードを食べる頻度と高血圧の発生との間に統計的に有意な関連は見られなかったと報告しています。相関の向きは正でしたが、その強さは非常に弱く、統計的に意味のあるものではないと論文は説明しています。
この報告が示していること
著者らは、有意な関連が見つからなかった理由として、後期成人期の血圧には今回調べていない他の危険要因が同時にかかわっている可能性を挙げています。具体的には年齢、遺伝的な要因、身体活動、ストレス、生活習慣などです。つまりこの研究の範囲では、食べる頻度という一つの切り口だけで血圧の違いを説明することはできなかった、ということになります。
ただし著者らは、関連が確認されなかったからといってファストフードを気にしなくてよいという話にはならないと述べています。これらの食品は一般にナトリウムと脂肪を多く含むため、摂取には注意が必要だという立場です。論文は予防の方向性として、ナトリウムの多い食品を控えること、果物と野菜の摂取を増やすこと、定期的に血圧を測ることを挙げ、インドネシア保健省が推奨する「イシ・ピリンク(私のお皿の中身)」というバランスのよい食事の指針に触れています。
一つの地域の105人を一時点で見た調査であることを踏まえれば、この報告は「頻度だけを見ても関連は出なかった」という一例を示すものです。同時に、対象となった年齢層の約8割が前高血圧あるいは高血圧の区分に入っていたという数字そのものが、この地域の血圧の実情を伝えています。
著者:Meitha Putri Rahwani(Institut Kesehatan Mitra Bunda)、Citra Dewi Anggraini(Institut Kesehatan Mitra Bunda)、Amalina Rizma(Institut Kesehatan Mitra Bunda)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Meitha Putri Rahwani, Citra Dewi Anggraini, Amalina Rizma Hubungan Frekuensi Konsumsi Fast Food dengan Kejadian Hipertensi pada Dewasa Akhir. Vitalitas Medis : Jurnal Kesehatan Dan Kedokteran 2026-10-02. DOI: 10.62383/vimed.v3i4.3521. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。