著者の所属・活動拠点の国は、インドです。
掲載誌:Plant Science Today
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
タマネギは一年中需要がある、経済的に重要な野菜です。論文によると、冬作(ラビ期)のタマネギは保存できる期間が限られており、そのために供給面での制約が生じています。
そこで研究チームは、雨季の後半に作付けする「後期カリフ期」のタマネギ栽培に着目しました。東インドで品種「ビーマ・ダークレッド」を使い、2023年6月15日から8月15日までの期間で、どの種まき日が収量と費用対効果(便益費用比)を最も高めるかを調べました。なお、ここでの紹介は論文の抄録に基づいています。
調べたこと
研究チームは種まき日を変えた区を設け、収穫したタマネギの球(食用部分)の大きさや形、首部の太さ、平均重量、収量を比較しました。品質面では、糖度の目安となる可溶性固形物(TSS)と酸度を測り、窒素・リン・カリウム・硫黄の含有量も調べました。
さらに、球の長さや直径と、収量に関わる各項目との関係を相関係数で確かめました。多数の項目の関係をまとめて捉える統計手法である主成分分析も用いています。
主な結果
論文によると、最も遅い8月15日に種をまいた区(D5)で、球の形態が最も優れていました。球の縦方向の直径は5.93センチ、横方向の直径は5.55センチで、首部は0.86センチと最も細くなりました。
このD5区では、球の平均重量が82.76グラムでした。総球収量は1ヘクタールあたり204.82キンタル(1キンタルは100キログラム)で、最大となりました。
球の長さや直径は、球の肥大の程度を示す指標、平均球重、出荷可能な球の収量、総球収量、株全体の収量、収穫指数(全体の収量のうち収穫部分が占める割合)と強い正の相関を示しました。主成分分析でも、平均球重や出荷可能な球の収量、総球収量などについて強い正の関連が示されたと報告されています。
品質については、D5区の球の可溶性固形物は10.08ブリックス、酸度は0.59%でした。窒素・リン・カリウム・硫黄の含有量には、種まき日の違いによる有意な差は見られませんでした。
研究が示すこと
著者らは、東インドの農業気候条件のもとでは、調べた期間の中で8月15日の種まきが、球の収量と経済的な収益を高めつつ、十分な栄養成分を保つうえで最適だと結論づけています。保存期間の短さという冬作の課題を背景に、後期カリフ期の栽培で種まき時期を選ぶことの重要性を示した研究といえます。
原著論文の著者・所属:Parida Manasranjan(Department of Horticulture (Vegetable Science), P G College of Agriculture, Dr. Rajendra Prasad Central Agricultural University, Pusa 848 125, Bihar, India)、Bhusan Sahoo Bibhuti(Regional Research and Technology Transfer Station, Odisha University of Agriculture and Technology (OUAT), Bhawanipatna, Kalahandi 766 001, Odisha, India)、Kumar Yadav Rajeev(Department of Horticulture (Vegetable Science), P G College of Agriculture, Dr. Rajendra Prasad Central Agricultural University, Pusa 848 125, Bihar, India)、Tripathy Pradyumna(Department of Vegetable Science, College of Agriculture, Odisha University of Agriculture and Technology (OUAT), Bhubaneswar 751 003, Odisha, India)、Sankar Nayak Bhabani(Regional Research and Technology Transfer Station, Odisha University of Agriculture and Technology (OUAT), Bhawanipatna, Kalahandi 766 001, Odisha, India)、Ranjan Sahoo Manas(ICAR-Central Tuber Crops Research Institute (CTCRI), Thiruvananthapuram 695 017, Kerala, India)、Neeraj(Department of Horticulture (Vegetable Science), P G College of Agriculture, Dr. Rajendra Prasad Central Agricultural University, Pusa 848 125, Bihar, India)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Parida Manasranjan, Bhusan Sahoo Bibhuti, Kumar Yadav Rajeev, et al. Production dynamics of late kharif onion across diverse sowing windows: A principal component analysis-based approach for enhancing quality and economic viability. Plant Science Today 2026-09-21. DOI: 10.14719/pst.14161. 原著ライセンス:CC BY.