著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Jurnal Ilmu Manajemen Terapan
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
若い世代は食習慣が形づくられる時期にあり、その習慣は大人になっても続く可能性があります。研究チームは、都市部の若者の食の選択がデリバリーの便利さ、ファストフードの多さ、デジタル広告、時間のなさ、価格などに左右されている点に注目しました。
論文によれば、先行研究では、栄養に関する知識が多いほど食事の質が良い傾向が報告されてきました。一方で、知識があっても実際の行動に結びつかないという指摘もあります。そこで著者らは、インドネシアのZ世代を対象に、二つの能力が健康的な食行動にどう関わるかを分析しました。一つは食リテラシーで、食べ物を計画して選び、準備して食べる実践的な力を指します。もう一つは栄養知識です。さらに、健康的な食べ物を自分の経済力で無理なく買えると感じているかという「手の届きやすさ」の認識が、両者と食行動の間をつなぐ役割を果たしているかも検証しました。
何を調べたか
研究は、ある一時点のデータを集めて変数同士の関係を分析する横断研究として行われました。ジャカルタ、バンドン、スラバヤに住むZ世代155人から回答を得ています。分析には、複数の要因の関係を一つのモデルで同時に推定する構造方程式モデリング(PLS-SEM)が用いられました。
この研究でいう食リテラシーには、次のような力が含まれます。栄養価や成分を考えて選ぶこと、食事の時間を管理すること、自分で調理すること、家庭料理を選ぶこと、ファストフードを控えること、食べる量を調整することです。また「手の届きやすさ」は、実際の価格そのものではなく、本人が健康的な食べ物を予算内で買い続けられると感じているかという認識として扱われています。
主な結果
研究チームの報告では、食リテラシーが高いほど、健康的な食行動にも、健康的な食べ物を手の届くものと感じる認識にも、正の影響が見られました。栄養知識は「手の届きやすさ」の認識に正の影響を示しました。一方で、健康的な食行動への直接の影響は確認されませんでした。そして「手の届きやすさ」の認識は健康的な食行動に正の影響を示し、食リテラシーと栄養知識の両方について、食行動への影響を仲介していると報告されています。
仲介の形は二つで異なっていました。食リテラシーは、食行動に直接働きかける経路と、「手の届きやすさ」の認識を経由する経路の両方を持っていました。論文はこれを「補完的な部分媒介」と呼んでいます。これに対し栄養知識は、「手の届きやすさ」の認識を経由する間接的な経路でのみ食行動と結びついていました。これは「間接効果のみの媒介」と呼ばれます。
この研究が示すこと
著者らは、知識や能力だけでなく、健康的な選択を実行できる条件も大切だと論じています。その条件の一つが、健康的な食べ物を無理なく買えるという感覚です。著者らによれば、栄養を知っているだけでは行動に直結しにくく、それが「自分にも買える」という認識と結びついたときに実践につながりやすい、という姿が今回の分析から浮かび上がりました。
論文は、Z世代の健康的な食行動を後押しするには、栄養教育だけでなく、健康的な食べ物の手の届きやすさを実際にも認識の上でも高める取り組みが必要だと述べています。認知的な要因と経済的な手の届きやすさを一つの枠組みで捉えた点が、この研究の新しさとされています。
原著論文の著者・所属:Ika Puji Saputri(Universitas Dian Nusantara, Indonesia)、Ari Apriani(Universitas Dian Nusantara, Indonesia)、Sri Anjarwati(Universitas Dian Nusantara, Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ika Puji Saputri, Ari Apriani, Sri Anjarwati. Faktor-Faktor yang Mempengaruhi Perilaku Konsumsi Makanan Sehat pada Generasi Z Indonesia: Peran Literasi Pangan dan Pengetahuan Gizi. Jurnal Ilmu Manajemen Terapan 2026-09-19. DOI: 10.38035/jimt.v8i1.9816. 原著ライセンス:CC BY.