著者の所属・活動拠点の国は、インドです。

掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: DataCite

研究の目的

何を食べ、どのように食べるかは、日々の暮らしの一部であると同時に、人々が自分たちを何者と考えるかとも結びついています。この論文の著者らは、アフリカと北東インドの文学作品を取り上げ、食べ物や食習慣が文化的アイデンティティ、つまりある集団や個人が共有する文化への帰属意識や自己理解を表す重要な手段としてどのように描かれているかを探りました。

研究チームが注目したのは、物語の中の食の場面が単なる背景描写にとどまらず、作品の意味を担う中心的な象徴として働いているのではないか、という点です。

取り上げた作品と読み方

抄録によると、分析の対象にはアチェベの『崩れゆく絆(Things Fall Apart)』『A Man of the People』と、キレの『A Naga Village Remembered』『A Terrible Matriarchy』などの作品が含まれています。

著者らはこれらの作品を読み解き、食の実践が伝統、社会の仕組み、性別による役割分担、そして植民地支配やその後の時代の変化への人々の反応をどのように映し出しているかを検討しました。また、料理にまつわる伝統が、文化的な価値観や神話、歴史をどのように内に含み、個人と集団のアイデンティティの形成に関わっているかも考察しています。

主な結論

論文は、取り上げた作品において、食べ物が文化の物語を形づくり、人と人との社会的なつながりを強め、文化的遺産を守るうえで要となる役割を果たしていると報告しています。

さらに著者らは、この分析がアフリカと北東インドという文脈における文化的アイデンティティの複雑なあり方を理解する手がかりになると述べています。

この研究が示すこと

この研究は、文学に描かれた食卓や料理の場面を丁寧に読むことで、その社会の伝統や人間関係、歴史の変化が見えてくることを示しています。著者らは、食が文化的アイデンティティを反映するだけでなく形づくるものでもあるという視点を、食の研究、文化研究、文学分析に向けて提示しています。

原著論文の著者・所属:Krishno Kanto Doley(Dibrugarh University, Dibrugarh, Assam, India)、Lakshminath Kagyung(Dibrugarh University, Dibrugarh, Assam, India)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Krishno Kanto Doley, Lakshminath Kagyung. Food, food habits, and cultural identity: A reading of select African and Northeast Indian texts. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-11-01. DOI: 10.5281/zenodo.23368208. 原著ライセンス:CC BY.