著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:SENTRI Jurnal Riset Ilmiah
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
なじみのない食材を、なじみのある料理で
インドネシアでは、田んぼにすむカエル(学名フェジェルヴァリア・カンクリヴォラ)が古くから地方の料理に使われてきました。プルウォダディのスウィケー、スンダ地方の包み蒸し、マナドの辛い炒め煮などがその例です。論文によると、カエルの肉はたんぱく質が多く、脂肪とコレステロールが少ない食材です。それでも、珍しい食べ物とみなされたり、においが気になると思われたりして、食べる人は限られています。著者らは、文化的な抵抗感と、もともとのにおいを抑える調理上の難しさという二つの壁が、この食材の活用を妨げていると指摘しています。
そこで研究チームが目を付けたのが、串焼き料理のサテです。サテはインドネシアで幅広い層に好まれている伝統料理で、スパイスの効いた味、焼いたときの香ばしさ、見た目の良さが特徴です。研究チームは、食べ慣れたサテの形にすれば、人々の食習慣を変えずに新しい食材を紹介できると考えました。この研究の目的は、カエル肉の弱点を補うサテの作り方を開発し、その受け入れられ方を似た先行研究の結果と比べることでした。
どのように作り、どう評価したか
調査は2025年12月、インドネシア・グロボガン県グブッグ郡のプナダラン村で行われました。カエル肉はまずライム果汁に15分間浸します。著者らは、酸性の材料がにおいのもとになる成分を揮発しにくい形に変え、不快なにおいを弱めるという食品化学の知見を紹介しています。その後、マドゥラ風サテのスパイスに60分間漬け込み、ピーナッツソースを塗りながら炭火で7分間焼きました。
試食したのは、村に住む18〜50歳の住民30人です。特別な訓練を受けていない一般の消費者として、色・香り・食感・味・全体の好ましさの5項目を、「とても好き」から「とても嫌い」までの5段階で評価しました。結果は、「とても好き」と「好き」を合わせた割合(好意的な評価の割合)として集計されています。
食感と味が特に好評
全体の好ましさについて好意的に評価した人は80.00%で、著者らはこれを非常に高い受け入れ度だと評価しています。項目別に見ると、食感と味がともに83.33%で最も高く、色が80.00%、香りが66.66%でした。好ましくないという評価はほとんどなく、香りで「あまり好きではない」が3.34%あったのみです。
著者らは、この結果をカエルなど両生類の肉を扱った先行研究と比べています。おなじみの料理の形を取らずにカエル肉を加工した研究では、受け入れ度は62.50%にとどまり、香りと味が主な障害だったといいます。味については、別の先行研究の71.20%に対し、今回は83.33%でした。著者らはこの差を、スパイスとヤシ砂糖を使った漬けだれが、肉の淡白な味を補ったためだと説明しています。
香りの66.66%は5項目の中では最も低い値です。ただし著者らは、酸による下処理をしなかった先行研究の45.00%よりは大幅に高く、ライム果汁に浸す工程が効果を発揮したことを示すとしています。香りを「どちらでもない」とした人は30%いましたが、著者らはこれを不快なにおいのためではなく、スパイスと煙の香りがカエル肉と組み合わさる目新しさによるものと解釈しています。色の評価については、焼くときに甘い醤油や砂糖がカラメル化して生まれる黄金色の焼き色が、サテらしい見た目への期待に合っていたと述べています。
研究から見えること
著者らは、カエル肉をサテに仕立てることで、おなじみの料理の形を使わなかった先行研究より高い受け入れ度が得られたと結論づけています。その理由として、酸による下処理とサテ特有のスパイスの組み合わせ、そして焼き方の工夫を挙げています。
この研究が示すのは、なじみの薄い食材でも、人々が慣れ親しんだ伝統料理に取り入れれば受け入れられやすくなる可能性です。地元の食材を多様に活かす一つの方法として、こうしたアプローチが有効だというのが著者らのメッセージです。
原著論文の著者・所属:Ito Garcia Febrianto(Program Studi Perhotelan, Universitas Stikubank, Indonesia)、Sri Yulianto Fajar Pradapa(Program Studi Perhotelan, Universitas Stikubank, Indonesia)、Artin Bayu Mukti(Program Studi Perhotelan, Universitas Stikubank, Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ito Garcia Febrianto, Sri Yulianto Fajar Pradapa, Artin Bayu Mukti Pemanfaatan Daging Kodok Sawah (Fejervarya cancrivora) sebagai Inovasi Produk Kuliner Sate Tradisional. SENTRI Jurnal Riset Ilmiah 2026-07-31. DOI: 10.55681/sentri.v5i7.6971. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。