写真: FULVIO_TOGNON / Wikimedia Commons / CC0
ビタミンB6は、食品中のたんぱく質からアミノ酸を分解したり、体に必要なアミノ酸へ作り替えたりする代謝を助ける水溶性のビタミンです。エネルギーの産生や、皮膚や粘膜の健康維持にも関わります。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人の1日の推奨量(ほとんどの人が必要量を満たす量)を男性で1.4〜1.5mg、女性で1.2mgと定めています。耐容上限量(毎日続けて摂っても健康障害が生じないとされる上限の量)は、成人男性で50〜60mg、成人女性で40〜45mgです。ビタミンB6の必要量はたんぱく質の摂取量が増えると高まるため、食事摂取基準でもたんぱく質を多く摂る人や、エネルギー不足で体内のたんぱく質の分解が進んでいる人では必要量が増えると注意が促されています。肉や魚、卵などは毎日の食事でよく使われる食品ですが、普段の食事で肉や魚を食べていればビタミンB6は十分に足りているのか、食品や部位によってどれほど違いがあるのか、疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。
食品1回分に含まれるビタミンB6の量
| 食品 | 1回の量 | ビタミンB6 |
|---|---|---|
| しろさけ(生) | 1切れ(100g) | 0.64mg |
| バナナ(生) | 1本(約200g) | 約0.46mg |
| 豚ヒレ肉(生) | 1枚(約80g) | 約0.43mg |
| 豚ロース肉(生) | 1枚(約120g) | 約0.38mg |
| ぶり(生) | 1切れ(80g) | 約0.34mg |
| 普通牛乳 | コップ1杯(200mL) | 約0.06mg |
| ゆで卵 | 1個(約60g) | 約0.05mg |
肉や魚の部位による含有量の違い
表の数値を見ると、同じ肉や魚でも種類や部位によってビタミンB6の量に差があることが分かります。豚肉のとんカツ・ソテー用1枚で比べると、ヒレ肉(約80g)には約0.43mg含まれるのに対し、ロース肉(約120g)は約0.38mgです。ロース肉のほうが1.5倍重いにもかかわらず、ヒレ肉のほうが多くのビタミンB6を含んでいます。成分表の100g当たりの値で見ると、ヒレ肉は0.54mg、ロース肉は0.32mg、脂身の多いばら肉は0.22mgとなっており、赤身の多い部位ほどビタミンB6が多く、脂身の多い部位では少なくなっています。魚でも同様に、しろさけ1切れ(100g)で0.64mg、ぶり1切れ(80g)で約0.34mgと、魚種によって2倍近い開きがあります。
たんぱく質源によるビタミンB6の差
しろさけ1切れ(0.64mg)や豚ヒレ肉1枚(約0.43mg)を食べると、成人の推奨量の3〜5割ほどを1品で補えます。一方で、日常の食卓で手軽なたんぱく質源として使われるゆで卵(1個で約0.05mg)や普通牛乳(コップ1杯で約0.06mg)に含まれるビタミンB6は、わずかな量にとどまります。たんぱく質が豊富な食品であっても、卵や乳製品を中心にした献立では、ビタミンB6の摂取量はほとんど増えません。
野菜や果物から補うビタミンB6
100g当たりで並べると、ビタミンB6の多い食品の上位には、とうがらし(乾)の3.81mg、ガーリックパウダーの2.32mg、バジル(粉)の1.75mg、パセリ(乾)の1.47mgなど、香辛料や乾燥したハーブが並びます。ただ、香辛料は一度に使う量が数gなので、ガーリックパウダーやパセリ(乾)を小さじ1杯(約2g)使っても、ビタミンB6は0.03〜0.05mgほどです。生のにんにくは1かけ(外皮を除いて約9g)で約0.14mgあり、料理に使えば、ゆで卵1個や牛乳コップ1杯より多くなります。
実際に食べる量で比べると、多いのは野菜や果物です。赤ピーマンは1個(へたと種を除いて約135g)で約0.50mg、バナナは1本(購入時の重さ約200g、皮を除いた重さ約120g)で約0.46mg、アボカドは1個(皮と種を除いて約140g)で約0.41mgと、どれも豚ヒレ肉1枚(約0.43mg)と同じくらい含まれています。じゃがいもは中1個(皮をむいて約135g)で、生の値で計算すると約0.27mgです。
肉や魚を食べる日のビタミンB6
普段の食事で肉や魚を食べていれば足りているのかという疑問に対しては、しろさけ1切れや豚ヒレ肉1枚なら成人の推奨量の3〜5割を1品で補えます。しかし、脂身の多い豚ばら肉を使った日や、卵料理を主菜にした日には、主菜からのビタミンB6の摂取量は控えめになります。ゆで卵1個(約0.05mg)は成人の推奨量の3〜4%、普通牛乳コップ1杯(約0.06mg)は4〜5%ほどにとどまります。赤ピーマン1個、バナナ1本、アボカド1個は、どれも1つで推奨量の約3〜4割にあたります。主菜からのビタミンB6が控えめになる日には、このうちどれかを1つ添えてみては如何でしょうか。
※参考資料
以下の公開資料をもとにNutriMapが構成・執筆しました。