この研究は、ポーランドの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Nutrients
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
超加工食品(UPF)とは、食品から抽出・加工された成分(たんぱく質分離物、加工デンプン、硬化油脂など)を主な原料とする工業的な配合食品で、香料・着色料・乳化剤といった見た目や風味を整えるための添加物を含むことが多いものを指します。研究チームは、食品を加工の性質・程度・目的によって4群に分けるNOVA分類にもとづき、このUPFに該当する食品の摂取を調べました。
著者らによれば、ヨーロッパ22か国を対象とした解析ではUPFが総エネルギー摂取の14〜44%を占めると報告されている一方、その解析にポーランドは含まれておらず、ポーランドの若年成人について食事全体を評価しNOVA分類を適用した個人単位の定量データは乏しいとされています。そこで本研究は、18〜30歳のポーランドの若年成人を対象に、UPFの絶対摂取量と食事全体に占める重量ベースの割合を数値化し、UPFの主な供給源となっている食品群を明らかにすることを第一の目的としました。あわせて、性別・年齢・BMI・主観的な経済状況・教育状況とUPF摂取割合との関連を調べることを副次的な目的としています。
調べ方
研究チームは、ポーランド在住で自己申告による健康状態が良好な18〜30歳を対象に、オンライン質問票を用いた横断研究を実施しました。回答者はソーシャルメディアなどを通じて募る便宜的な抽出で集められており、著者ら自身が、全国を代表する標本ではないと述べています。488人が参加し、年齢範囲外・同意なし・回答不備などを除いた429人が解析対象となりました。
食事の評価には、ポーランドの若年成人向けに検証済みの72項目の半定量食物摂取頻度質問票を下敷きに、NOVA分類を適用できるよう改変した82項目の質問票(PL-NFFQ)が用いられました。もとの質問票の広い食品項目を、超加工のものとそうでないものに分けたうえで、不足する超加工製品の項目を追加したものです。分類の根拠として、ポーランドの主要小売チェーン7社で605製品の原材料表示を調べる市場調査が行われ、2名の研究者が独立に分類し、意見が分かれた場合は3人目が判断しています。回答者自身は製品をNOVA群に割り当てていません。
各項目の習慣的な摂取頻度を1日あたりの係数に換算し、標準的な1食分の重量(グラム)を掛け合わせて1日の摂取量を推計しました。UPFの割合は、水を除いた飲食物の総重量に占めるUPFの重量の百分率(UPF重量比)として算出されています。これはエネルギーではなく重量にもとづく指標であるため、人工甘味料入りの低エネルギー飲料のような液状のUPFも、その重量に応じて割合に反映されます。
報告された主な結果
論文によれば、水を除いた1日の総摂取量の中央値は1992.2グラムで、そのうちUPFの摂取量の中央値は394.4グラム、UPF重量比の平均は23.8%でした。男性は女性に比べて、総摂取量、UPFの絶対摂取量、UPF重量比のいずれも有意に高かったと報告されています。
UPF摂取に最も大きく寄与していたのは清涼飲料などの非アルコール飲料(寄与率の中央値22.7%)で、次いで動物性たんぱく質製品(19.7%)、調理済み・簡便食品(9.2%)、菓子類とスナック(7.0%)でした。著者らは、この構成から、ポーランドの若年成人のUPF摂取が、一般にスナックやファストフードと見なされる食品だけでなく、飲料や日常的に食べられている動物性食品にも由来していることが示されると述べています。動物性たんぱく質製品の内訳では、超加工に分類された乳製品が58.3%、食肉・加工肉・魚が41.7%を占めました。食品群ごとにUPFが占める割合をみると、調理済み・簡便食品が83.5%、菓子類とスナックが52.4%と高く、果物と野菜は0%でした。
社会人口学的な特徴との関連では、18〜24歳のUPF重量比(28.5%)が25〜30歳(15.1%)より有意に高く、高等教育を修了または在学中でない人(27.7%)は高等教育のある人(16.9%)より高い値でした。主観的な経済状況や体重区分による有意差は認められていません。性別・年齢・BMI・経済状況・教育状況を同時に投入した重回帰分析では、年齢が高いことと高等教育があることがUPF重量比の低さと、男性であることとBMIが高いことがUPF重量比の高さと、それぞれ独立して関連していました。年齢が最も大きな標準化係数を示し、モデル全体でUPF重量比のばらつきの25.0%を説明したと報告されています。
この研究が示すこと
著者らは本研究の限界を明示しています。便宜的な抽出のため全国を代表する標本ではなく、横断研究であるため因果関係や時間的な前後関係は判断できません。食事は自己申告の質問票によるもので、改変後の82項目版そのものは正式な検証を経ていないとされています。身長・体重も自己申告であり、不健康と見なされる食品が過少申告される可能性も指摘されています。他国の研究との数値比較についても、飲料や水の扱い、指標の違いがあるため、ポーランドの若年成人の摂取が実際に高いことの証拠として読むべきではないと注意が促されています。
こうした制約を踏まえたうえで研究チームは、18〜24歳という最も若い層でUPF摂取が特に多く、年齢が最も強く関連していたこと、そして飲料がUPF摂取の最大の供給源であったことを主要な知見として挙げています。公衆衛生の観点からは、若年成人がUPF摂取を減らす働きかけの重要な対象となりうること、とりわけ男性における超加工飲料に注意が向けられうることを、著者らは今回の結果が示唆するものとして述べています。
著者:Mateusz Jan Szałajko(Department of Dietetics, Institute of Human Nutrition Sciences, Warsaw University of Life Sciences (WULS), 159C Nowoursynowska Str., 02-776 Warsaw, Poland)、Joanna Myszkowska-Ryciak(Department of Dietetics, Institute of Human Nutrition Sciences, Warsaw University of Life Sciences (WULS), 159C Nowoursynowska Str., 02-776 Warsaw, Poland)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mateusz Jan Szałajko, Joanna Myszkowska-Ryciak. Ultra-Processed Food Intake and Its Dietary Sources and Correlates Among Polish Young Adults: A Cross-Sectional Study. Nutrients 2026-09-12. DOI: 10.3390/nu18182987. 原著ライセンス:CC BY.