著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Frontiers in Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

研究チームは、キヌアのタンパク質を酵素で分解したものと、牛骨由来のコラーゲンペプチドを組み合わせ、調味ペーストの風味ベースとして利用できるかを調べました。風味ベースの製造には、糖とアミノ酸などが反応して色や香りを生むメイラード反応を用いています。

目的は、この風味ベースや油脂などの配合割合が、人による味や香りなどの評価にどう影響するかを調べ、評価の高い配合を見いだすことでした。あわせて、できあがったペーストの成分や香りに関わる物質、組織や食感を調べました。

何を、どのように調べたか

研究チームは、キヌアの酵素分解物と牛骨コラーゲンペプチドを主原料に風味ベースを作り、牛脂、マルトデキストリン、コーンスターチ、砂糖、塩と混ぜてペーストにしました。各材料の割合を変えて食感や官能評価の得点を調べ、その関係を数式モデルにして配合を最適化しました。選んだ配合では独立した3バッチを作り、実際の評価が予測に近いかを確かめました。

成分などの比較には、最適化したペーストと、風味ベースを蒸留水に置き換えた対照ペーストを用いました。試料を加水分解してアミノ酸組成を測り、揮発性成分をガスクロマトグラフィー質量分析で調べたほか、電子顕微鏡による組織観察、硬さや付着性などの測定、一般生菌数などの検査を行いました。揮発性成分の分析は各試料1回で、統計的な比較は行っていません。

主な報告結果

研究チームが最終的に採用した配合は、風味ベース37%、牛脂33%、マルトデキストリン12%、コーンスターチ9%、砂糖6%、塩3%でした。この配合で作った3バッチの官能評価の得点は8.75±0.11で、モデルの予測値8.761に近い結果となりました。

最適化したペーストでは、加水分解して測った17種類のアミノ酸の総量が、風味ベースを水に置き換えた対照より有意に多くなりました。主なアミノ酸は、試料100グラム当たりプロリン0.60グラム、アラニン0.38グラム、グルタミン酸0.27グラムでした。対照で検出されたのは3種類で、残る14種類は検出限界未満でした。

揮発性成分の分析では、風味ベースを加えたペーストで、検出成分全体に占めるアルデヒド類の相対的なピーク面積の割合が低くなり、対照では検出されなかった窒素や硫黄を含む成分も暫定的に同定されました。電子顕微鏡では、粒子が周囲の組織に埋め込まれた、より一体化した網目状の構造が観察されました。食感の測定からは、柔らかく、まとまりのある半固形のペーストと特徴づけられました。

この報告が示すこと

著者らは、植物由来のタンパク質と動物由来の副産物を組み合わせた風味ベースを、調味ペーストの材料として利用できることを示したと結論づけています。材料の配合を調整することで、官能評価と成分・食感の特徴をあわせて検討した報告です。

ただし、研究は実験室規模で行われ、官能評価も少人数の訓練された評価者によるため、工業生産や幅広い消費者にそのまま当てはまるとは限りません。また、暫定的に同定された揮発性成分の正体や、それぞれが実際の香りにどれだけ寄与するかは確定していません。顕微鏡で見えた構造だけでは、分子同士の結合や構造の安定性向上まで確認できないことも、著者らは指摘しています。

原著論文の著者・所属:Zeyuan Lian(Department of Biological Science and Technology, Jinzhong University; School of Food Science and Engineering, Shanxi Agricultural University; Shanxi Center of Technology Innovation for Compound Condiment)、Jinjun Ma(Department of Biological Science and Technology, Jinzhong University; School of Food Science and Engineering, Shanxi Agricultural University; Shanxi Center of Technology Innovation for Compound Condiment)、Xiang Li(Department of Biological Science and Technology, Jinzhong University; School of Food Science and Engineering, Shanxi Agricultural University; Shanxi Center of Technology Innovation for Compound Condiment)、Aiguo Luo(Department of Biological Science and Technology, Jinzhong University; Shanxi Center of Technology Innovation for Compound Condiment)、Yanjun Yang(Department of Biological Science and Technology, Jinzhong University; Shanxi Center of Technology Innovation for Compound Condiment)、Xiaoli Ma(Department of Biological Science and Technology, Jinzhong University; Shanxi Center of Technology Innovation for Compound Condiment)、Hongmei Zhao(Department of Biological Science and Technology, Jinzhong University; Shanxi Center of Technology Innovation for Compound Condiment)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Zeyuan Lian, Jinjun Ma, Xiang Li, et al. Formulation optimization, flavor formation, and quality characteristics of a seasoning paste containing a Maillard-derived flavor base. Frontiers in Nutrition 2026-11-05. DOI: 10.3389/fnut.2026.1925547. 原著ライセンス:CC BY.