著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Frontiers in Veterinary Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

火炎(フオイエン)ガチョウは中国在来の水鳥の品種で、産卵数の多さ、成長の速さ、ストレスへの強さで知られています。研究チームは、このガチョウの飼料にN-カルバミルグルタミン酸(NCG)という物質を加えると、成長や肉の品質がどう変わるかを調べました。論文では、NCGは体内でアミノ酸の一種アルギニンが作られる働きを促す物質と説明されています。

著者らによると、NCGをガチョウに使った研究は限られており、とくにNCGの添加、盲腸にすむ細菌の集まり(腸内細菌叢)、肉質の三つの関係は体系的に調べられていませんでした。腸内細菌が作る短鎖脂肪酸などの物質が、肉のpHや色、やわらかさに関わりうるという報告もあることから、研究チームは、NCGが盲腸の細菌を変えることで肉質に関わっているのかどうかにも着目しました。

どのように調べたか

実験には、生後1日のメスの火炎ガチョウ240羽を用いました。7日間の慣らし期間の後、通常の飼料だけを与える対照群と、NCGを0.06%、0.12%、0.18%加えた飼料を与える3群の計4群に無作為に分け、30週間飼育しました。各群は10羽ずつの6グループで構成されています。

研究チームは、体重や飼料の摂取量、体の各部の長さなどの成長に関する指標に加え、胸肉ともも肉の色、死後のpH、肉を切るのに必要な力(せん断力。値が小さいほど肉がやわらかいことを示します)、肉が水分を保つ力を測定しました。また、栄養を吸収する小腸の一部である空腸の内壁を顕微鏡で観察し、表面にある細かな突起(絨毛)の高さなどを調べました。

これらの結果から最も適した添加量を0.06%と判断した後、対照群と0.06%群に絞って、盲腸の内容物に含まれる細菌の遺伝子を解析し、細菌の種類や多様さを比較しました。さらに、細菌の構成と肉質の指標との間に統計的な関連があるかを調べました。

主な結果

0.06%群は生後6週以降、4群の中で最も体重が重くなりました。1〜10週齢の期間には、体重を1増やすのに必要な飼料の量(飼料要求率)が対照群より有意に低く、飼料を効率よく体重に変えていたことが示されました。なお、0.12%群では試験期間全体を通して飼料要求率が対照群より有意に低い結果でした。一方、0.18%群は8週以降に摂取量が少なく、22週以降は体重が他の群より低くなりました。著者らはこの低下の原因は特定できていないとしています。

体の大きさについては、0.06%群で体の斜めの長さ、すねの長さと太さが対照群より有意に大きくなりました。肉質では、0.06%群で死後24時間の胸肉の赤み(赤色度)とpHが高まり、胸肉ともも肉のせん断力が小さくなったと報告されています。空腸では、0.06%群で絨毛の高さと、絨毛の高さと根元のくぼみ(陰窩)の深さの比が有意に大きくなりました。

盲腸の細菌を調べると、0.06%群では細菌の種類の豊富さや多様さを示す指標が対照群より高く、細菌の集まりの構成全体も対照群とはっきり異なっていました。0.06%群では、短鎖脂肪酸を作る細菌として知られるルミノコッカス科やフィーカリバクテリウム属などが多く、対照群では乳酸菌の仲間が多い傾向でした。また、フィーカリバクテリウム属の多さは、死後24時間の胸肉の赤みやpHと正の相関を示しました。

研究が示すこと

研究チームは、この実験の条件では、飼料に0.06%のNCGを加えることが火炎ガチョウの成長、体の発達、肉質の改善に最も適していたと結論づけています。また、こうした変化が、短鎖脂肪酸を作る細菌の多い盲腸の細菌叢への変化と結びついている可能性を示しました。

ただし、細菌と肉質の関係は相関として示されたもので、盲腸内の短鎖脂肪酸の量は直接測定されていません。細菌の解析は対照群と0.06%群に限られ、対象もメスのみでした。この研究は、飼料に加える物質、腸内細菌、肉質の三つを結びつけて調べた初期的な成果であり、添加量によって効果が異なりうることも示しています。

原著論文の著者・所属:Sida Lei(College of Animal Science and Veterinary Medicine, Jinzhou Medical University)、Yirou Xu(College of Animal Science and Veterinary Medicine, Jinzhou Medical University)、Yuchao Zhang(College of Animal Science and Veterinary Medicine, Jinzhou Medical University)、Huacheng Xu(College of Animal Science and Veterinary Medicine, Jinzhou Medical University)、Meiqi Wang(College of Animal Science and Veterinary Medicine, Jinzhou Medical University)、Bin Wang(College of Animal Science and Veterinary Medicine, Jinzhou Medical University)、Di Han(Liaoning Provincial Rural and Agricultural Development Service Center, Shenyang, Liaoning, China)、Changjiang Li(Liaoning Modern Agricultural Production Base Construction Engineering Center, Liaoyang, Liaoning, China)、Wei Ma(College of Animal Science and Veterinary Medicine, Jinzhou Medical University)、Chunqiang Wang(College of Animal Science and Veterinary Medicine, Jinzhou Medical University)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sida Lei, Yirou Xu, Yuchao Zhang, et al. Effects of dietary N-carbamylglutamate supplementation on growth performance, meat quality, and cecal microbiota in Huoyan geese. Frontiers in Veterinary Science 2026-10-02. DOI: 10.3389/fvets.2026.1933899. 原著ライセンス:CC BY.