著者の所属・活動拠点の国は、ポルトガルです。
掲載誌:Frontiers in Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、肥満に伴う臓器の機能障害や日常生活の制限がある「臨床的肥満」と、そうした症状が認められない「前臨床的肥満」で、飲酒量や食事の質に違いがあるかを調べました。この二つの状態を分けて生活習慣を比較したデータはまだ限られており、専門外来での支援を考えるうえで、その特徴を明らかにすることが研究の目的でした。
何を、どのように調べたか
対象は、ポルトガルのトマールにある肥満専門外来を初めて受診した成人135人です。女性が93人で、平均年齢は51歳でした。研究チームは、臓器の機能障害や日常生活動作の制限の有無に基づき、87人を臨床的肥満、48人を前臨床的肥満に分類しました。
初診時に、年齢、性別、病歴、体格などを記録しました。食事については、栄養士が対面で86項目の食品・食品群の摂取頻度と量を聞き取り、エネルギーや栄養素の摂取量を推定しました。食事全体の質は、一定のエネルギー量当たりにどのような食品や栄養素を摂っているかを評価する「健康的な食事指数(HEI)」で調べました。
飲酒は本人の申告をもとに評価し、飲酒量や栄養摂取、食事の質を二つの群で比較しました。また、飲酒量と臨床的肥満との関連について、年齢、性別、BMIの違いを統計的に考慮した分析も行いました。これは、ある時点の状態を調べる横断研究であり、生活習慣の変化を追跡した研究ではありません。
主な報告結果
飲酒を申告したのは135人中65人(48.1%)でした。飲酒者に限った比較では、1日当たりのアルコール摂取量の中央値は、臨床的肥満群で11.1グラム、前臨床的肥満群で1.9グラムと、臨床的肥満群で多いと報告されました。ただし、年齢、性別、BMIを考慮した分析では、飲酒量と臨床的肥満との独立した関連は統計的に認められませんでした。
HEIで評価した食事全体の質には、二つの群で統計的に有意な差がありませんでした。エネルギー摂取量や主な栄養素の摂取状況も、おおむね似ていました。両群とも、乳製品や全粒穀物の摂取が少なく、精製穀物、飽和脂肪、添加糖、ナトリウムの摂取が多いことが、食事評価を下げる要素になっていました。
一方、たんぱく質には一部の指標で差がありました。現在の体重1キログラム当たりの摂取量の中央値は、前臨床的肥満群で1.00グラム、臨床的肥満群で0.90グラムでした。総摂取エネルギーに占めるたんぱく質の割合も、それぞれ18.5%と17.2%で、前臨床的肥満群のほうが高いと報告されました。ただし、理想体重を基準にした比較では、摂取量の差は統計的に有意ではありませんでした。
この報告が示すこと
著者らは、臨床的な症状の有無だけで飲酒や食事の特徴を分けて捉えるのではなく、どちらの肥満の状態でも、食生活を幅広く評価し、飲酒状況を確認することが重要だと述べています。また、群間の違いを解釈する際には、年齢や性別、体格も考慮する必要があるとしています。
研究には、食事の思い出し間違いや飲酒量の過少申告が起こりうるという限界があります。一時点の観察なので、飲酒や食事が臨床的肥満の原因かどうかは判断できません。臓器の障害を示す検査値なども研究項目として系統的には収集されておらず、分類には診療記録上の診断や生活機能の評価が使われました。さらに、一つの専門外来で参加に同意した人の結果であり、ポルトガルの一般人口を代表するものではありません。
原著論文の著者・所属:Beatriz Perna(Diabetes and Obesity Service, Local Health Unit of Medio Tejo; Faculdade de Medicina, Universidade de Lisboa)、Cristina Gonçalves(Diabetes and Obesity Service, Local Health Unit of Medio Tejo)、Ana Brito-Costa(Dietetics and Nutrition Department, Local Health Unit of São José; Faculdade de Medicina, Universidade de Lisboa)、Sara Policarpo(Dietetics and Nutrition Department, Local Health Unit of Santa Maria; Laboratório de Nutrição, Faculdade de Medicina, Universidade de Lisboa)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Beatriz Perna, Cristina Gonçalves, Ana Brito-Costa, et al. Alcohol consumption and dietary quality among adults with clinical and preclinical obesity attending a specialized obesity clinic in Portugal: a cross-sectional study. Frontiers in Nutrition 2026-11-03. DOI: 10.3389/fnut.2026.1932350. 原著ライセンス:CC BY.