この研究は、ポルトガル、ブラジルの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Urban Transitions

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

都市の食のしくみは、まちの持続可能性を左右する重要な要素です。しかし研究チームは、消費者が自分の食品選択による環境への影響を誤って見積もることが多いと指摘しています。

この研究が調べたのは、人々が食品ごとの環境影響をどのように理解し、何を優先すべきと考えているかという点です。著者らは「ライフサイクル思考」の視点を採りました。これは、食品を口にする場面だけを見るのではなく、生産から流通までの一連の過程を通じて生じる環境負荷を見渡す考え方です。対象となったのは、ポルトガルのギマランイスとブラジルのバウルという二つの都市です。

何を、どのように調べたか

調査は複数の手法を組み合わせた設計で行われました。アンケート調査と、半構造化インタビュー(あらかじめ用意した質問を軸にしつつ、回答に応じて掘り下げる聞き取り)を実施し、あわせて既存の文献からライフサイクルに関するデータを集めています。

そのうえで研究チームは、消費者がどの環境影響の種類を重く見るかを検討しました。取り上げられた主な項目は、土地の利用とその改変、富栄養化(栄養分が水域に過剰に流れ込み水質が悪化すること)、水の消費、酸性化、そして気候変動です。

報告された主な結果

論文によれば、両国の消費者はいずれも、土地利用への影響を抑えることと気候変動の影響を優先する傾向を示しました。一方でその認識は、ライフサイクルアセスメント(製品の全過程にわたる環境負荷を評価する手法)による知見としばしば食い違っており、食品生産が抱える環境負荷への理解が限られていることが明らかになったと述べられています。

また著者らは、二つの都市の違いにも注目しています。ギマランイスは比較的環境志向の強い地域として、バウルは水不足といった課題が地域の関心を形づくる地域として位置づけられ、環境面での優先順位には文化的な要因と、その土地固有の条件の両方が反映されていたことが観察されました。

この研究が示すこと

環境への関心が実際に持続可能な選択へつながるためには、行動の変化をライフサイクルにもとづく証拠と結びつけることが欠かせない、と論文は論じています。

著者らはこの成果を、都市の食のガバナンスをめぐる議論への貢献として位置づけています。知識にもとづく消費が、より強靭で公平、そして環境に責任をもつ都市の食のしくみを築く支えになりうることを示した研究だといえます。

著者:José Filipe da Silva Rocha(Research Unit on Governance, Competitiveness and Public Policies (GOVCOPP), Department of Social, Political and Territorial Sciences, University of Aveiro, Aveiro, Portugal)、Pedro Augusto Bertucci Lima(São Paulo State University (UNESP), School of Engineering, Bauru, Brazil)、Octaviano Rojas Luiz(São Paulo State University (UNESP), School of Engineering, Bauru, Brazil)、Ana Mariele Domingues(São Paulo State University (UNESP), School of Engineering, Bauru, Brazil)、Sara Moreno Pires(Research Unit on Governance, Competitiveness and Public Policies (GOVCOPP), Department of Social, Political and Territorial Sciences, University of Aveiro, Aveiro, Portugal)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):José Filipe da Silva Rocha, Pedro Augusto Bertucci Lima, Octaviano Rojas Luiz, et al. Consumer environmental awareness of food products in urban contexts: Insights from a Life Cycle Thinking perspective. Urban Transitions 2026-09-01. DOI: 10.1016/j.ubtr.2026.100056. 原著ライセンス:CC BY.