地中海食は野菜や果物、豆類、魚、オリーブオイルを中心とした食習慣として知られ、子どもの健やかな食生活を育む方法の一つとして関心が寄せられています。近年では、食の持続可能性――地産地消や食品ロスの削減なども合わせて子どもたちに伝えようとする学校教育の取り組みが各地で行われています。今回紹介するのは、ポルトガルの小学校で実施された、地中海食と食の持続可能性をテーマにした教育プログラムの効果を調べた研究です。
研究でわかったこと
この研究は、ポルトガルのタホ・レジリア地域にある11の自治体・23校を対象に行われました。プログラムでは、健康的な食事や地元産・季節の食材、五感を使った食体験、バランスの取れた食事、堆肥化、食品の保存方法、持続可能な食料生産、食品ロスの削減といったテーマについて、季節ごとに2回の参加型の教育活動が実施されました。合計872人の子どもがこの活動に参加し、そのうち370人については、介入前後の食習慣を「KIDMED」という地中海食への順守度を測る指標を用いて比較できたと報告されています。
結果として、KIDMEDスコアの平均値は介入前の8.0(標準偏差2.2)から介入後には7.5(標準偏差2.4)へと、有意に低下したとされています。個人単位で見ると、31.6%の子どもはスコアが改善した一方、18.9%は変化がなく、49.5%は低下したと報告されています。一方で、朝食を抜かない子どもの割合は79.8%から88.6%に増加し、ファストフード店の利用が週1回を超える子どもの割合は減少(85.4%から89.6%が「週1回以下」に該当)したことが示されています。菓子パンや甘いお菓子、魚の摂取、オリーブオイルの使用についても小さな好ましい変化がみられた一方、果物・野菜・豆類・ナッツ類の摂取については改善が見られなかったとされています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究の結果は一様ではなく、全体としての地中海食順守度(KIDMEDスコア)は低下したものの、約3人に1人の子どもは個人としてスコアが改善し、朝食習慣や不健康な食選択の見直しといった面では好ましい変化がみられたと論文では述べられています。著者らは、果物・野菜・豆類といった地中海食の中心的な食品群における改善を促し、より広範かつ持続的な効果を得るためには、より長期のプログラムや家族を巻き込んだ取り組みが必要になる可能性があると考察しています。この研究は特定の地域・期間における一つの介入研究であり、その結果がすべての学校や地域に当てはまるとは限らない点に留意する必要があります。
まとめ
今回の研究では、ポルトガルの小学校で実施された地中海食と持続可能性をテーマとする教育プログラムにより、朝食習慣の改善やファストフード利用の減少といった一部の食行動には好ましい変化がみられた一方、地中海食への総合的な順守度は全体としてはやや低下し、果物や野菜などの中心的な食品群の摂取には改善が見られなかったことが報告されています。学校での食教育がどのような条件のもとで子どもの食習慣に良い影響を与えうるのか、今後さらに研究が積み重ねられることが期待されます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:小学校における地中海食教育と持続可能性の統合:ポルトガルにおける2シーズンの地域密着型介入研究(ニュートリエンツ・2026年07月)