著者の所属・活動拠点の国は、ウクライナです。
掲載誌:Herald of Khmelnytskyi National University Technical sciences
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ウクライナでは、肥満予防の観点から、栄養価が高く、エネルギー量(カロリー)を抑えた食品をどう届けるかが課題になっていると著者らは述べています。肥満の主な原因は、偏った食事によるエネルギーのとりすぎだとされています。そこで研究チームは、エネルギー量を抑えた加熱タイプのソーセージ(ボイルドソーセージ)の製法を開発しました。
新しい食品を実際に流通させるには、作りたての品質だけでなく、保存している間に味や安全性が保たれるかも確かめる必要があります。この論文の目的は、開発したソーセージについて、見た目や味などの官能特性、微生物による安全性、脂肪の酸化の程度を示す過酸化物価が、保存中にどう変わるかを調べることでした。
どのようなソーセージを、どう調べたか
試験用のソーセージは、牛肉を主原料とし、七面鳥の脂、全粒のスペルト小麦粉、乾燥マッシュルーム、亜麻(あま)の種子、水溶性の食物繊維、ニンジンやセロリの根などを配合したものです。全粒スペルト小麦粉と亜麻の種子は食物繊維を多く含む原料として、マッシュルームはたんぱく質を含み味をよくする原料として使われました。さらに、植物由来の抗酸化物質であるジヒドロケルセチンを加え、塩には海塩を用いています。著者らによると、海塩はナトリウムの量を減らす狙いで選ばれました。比較対象(対照)には、豚肉や牛肉を使い、現行の規格に沿った従来型のレシピで作ったソーセージを用いました。
両方のソーセージは、温度4±2℃、湿度75〜78%の冷蔵庫で15日間保存し、保存開始時から5日ごとに調べました。官能特性は、大学の専門家による評価委員会が5段階で評価しました。過酸化物価は、脂肪が酸化してできる過酸化物の量を化学反応と滴定で測るもので、値が大きいほど脂肪の酸化が進んでいることを示します。微生物検査では、一般的な細菌の数に加えて、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、リステリア菌、ウェルシュ菌、プロテウス属の細菌、大腸菌群の有無を調べました。
主な結果
官能評価では、試験用ソーセージは15日間の保存期間を通して、表面に傷みがなく、弾力のある食感で、塩味がほどよく香辛料の香りがある、異臭や異味のない状態を保ちました。著者らは、この点で従来型のソーセージに劣らなかったと報告しています。
過酸化物価は、作りたての時点で試験用ソーセージのほうが対照より0.30(½O mmol/kg)低く、15日間保存した後には試験用が2.70、対照より0.99低い値でした。著者らは、植物由来の原料に含まれる脂肪は酸化しやすい一方で、配合したジヒドロケルセチンが酸化を抑えたことがこの結果の一因だと考えています。また、この値は脂肪を含む食品の基準値とされる10を下回っていました。
微生物検査では、保存期間中も保存後も、調べた有害な細菌はいずれの試料からも検出されませんでした。一般的な細菌の数は保存とともに増えましたが、15日目でも試験用ソーセージは1グラムあたり約340個で、基準の1000個以下に収まっていました。
研究が示すこと
この研究は、穀物や種子、きのこなどの植物性の原料と天然の抗酸化物質を取り入れてエネルギー量を抑えたソーセージが、15日間の冷蔵保存で味や食感、安全性の面で従来型と同等の水準を保てたことを報告しています。著者らは、こうした原料を使うことで、肥満予防を念頭に置いた品質の高いソーセージを作れると結論づけています。
原著論文の著者・所属:МАКСИМ РЯБОВОЛ(Національний університет біоресурсів і природокористування України)、ІГОР УСТИМЕНКО(Національний університет біоресурсів і природокористування України)、ЄГОР ТІШИН(Національний університет біоресурсів і природокористування України)、МАРИНА НАЗАРЕНКО(Національний університет біоресурсів і природокористування України)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):МАКСИМ РЯБОВОЛ, ІГОР УСТИМЕНКО, ЄГОР ТІШИН, et al. ДОСЛІДЖЕННЯ ПОКАЗНИКІВ ЯКОСТІ ТА БЕЗПЕЧНОСТІ КОВБАСИ ВАРЕНОЇ ЗІ ЗНИЖЕНОЮ ЕНЕРГЕТИЧНОЮ ЦІННІСТЮ. Herald of Khmelnytskyi National University Technical sciences 2026-07-31. DOI: 10.31891/2307-5732-2026-367-28. 原著ライセンス:CC BY.