著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Food Research
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
牛肉だけで作るソーセージは原料費がかさみやすく、栄養価を大きく損なわずに価格を抑える配合の工夫が求められています。その方法の一つが、機械除骨肉(MDM)を使うことです。MDMは、手作業で骨から肉を外した後の残りなどから、機械で分離・回収したひき肉状の鶏肉で、ソーセージやミートボールなどの加工肉製品に広く使われています。
研究チームは、インドネシアの国立バニュワンギ・ポリテクニックで、教育と実際の製造を兼ねる施設「ティーチング・ファクトリー」が開発したソーセージ「メルティック・マッスル」を対象にしました。牛肉の一部を鶏のMDMに置き換えたとき、成分、加工上の性質、微生物の量、食べたときの好ましさ、製造コストがどう変わるかを調べることが目的です。
何を調べたか
比較したのは4種類の配合です。牛肉のみのソーセージ(MM0)を基準とし、肉全体に占めるMDMの割合を69%(MM1)、50%(MM2)、31%(MM3)とした3種類を用意しました。タピオカ粉、大豆たんぱく、香辛料など、肉以外の材料はおおむね共通です。
測定項目は、水分・たんぱく質・脂肪などの成分、pH、保水性(肉が水分を抱え込む力)、加熱損失(加熱で失われる重さの割合)、加工歩留まり(加熱前の生地に対してどれだけ製品として残ったか)、細菌数です。さらに学生30人が、色、風味、味、やわらかさ、総合的な好ましさを5段階で評価しました。コスト面では、1か月20日の製造を想定し、1本あたりの販売価格と損益分岐点を計算しています。
主な結果
論文によると、MDMの配合は成分や加工上の性質、官能評価に統計的に意味のある差をもたらしましたが、pHには差が見られませんでした。牛肉のみのMM0は水分(58.70%)と脂肪(10.47%)が最も多く、たんぱく質(9.70%)が最も少ないという結果でした。MDMを含む配合ではたんぱく質が多くなる傾向があり、MM2ではたんぱく質11.45%、脂肪8.70%と報告されています。著者らは、どの配合もインドネシア国家規格の水分・たんぱく質・脂肪の基準を満たしたとしています。
加工面では、加熱損失がMM0の11.57%に対して、MDMを31%含むMM3では5.30%と最も低くなりました。加工歩留まりはMM0の83.02%に対し、MDMを含む配合ではいずれも高く、MM2の91.12%が最も高い値でした。細菌数は配合ごとに1グラムあたり対数値で1.78〜5.75と報告され、著者らは国家規格の許容範囲内と評価しています。
研究チームが多変量のクラスター分析で配合をグループ分けしたところ、MM0、MM1、MM2の3種類は似た品質・特徴を示し、MM3はそれらと異なっていました。ただし、この分類にどの測定項目を用いたのかは論文に記載されていません。コスト面では、MDMを多く使うほど1本あたりの販売価格が下がりました。牛肉のみのMM0の約7,000ルピアに対し、MM3は約6,302ルピア、MM2は約5,466ルピア、MM1は約4,629ルピアと試算されています。
研究が示すこと
著者らは、牛肉の一部を鶏のMDMに置き換えると、規格に沿った成分を保ちつつ、いくつかの栄養面・加工面の性質が向上し、価格も抑えられると結論づけています。全項目を総合した最適な配合としては、MDMを31%使うMM3を挙げています。教育用の製造現場で手頃な価格のソーセージを作るうえで、MDMが原料の選択肢になりうることを具体的な配合比較で示した研究です。
原著論文の著者・所属:A.U. Prastujati(Department of Livestock Product Processing Technology , Politeknik Negeri Banyuwangi , Raya Jember KM 13 Street , Banyuwangi , 68461 , East Java , Indonesia)、M. Amaniyah、S.S. Prayitno(Department of Aquaculture Technology , Politeknik Negeri Banyuwangi , Raya Jember KM 13 Street , Banyuwangi , 68461 , East Java , Indonesia)、M.A. Liliyanti(Department of Livestock Product Processing Technology , Politeknik Negeri Banyuwangi , Raya Jember KM 13 Street , Banyuwangi , 68461 , East Java , Indonesia)、E. Iqrima、C.E. Putri
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):A.U. Prastujati, M. Amaniyah, S.S. Prayitno, et al. Effect of mechanically deboned meat on quality and cost efficiency of ‘Meltic Muscle’ sausage in teaching factory production. Food Research 2026-08-30. DOI: 10.26656/fr.2017.10(4).002. 原著ライセンス:CC BY.