著者の所属・活動拠点の国は、ウクライナです。
掲載誌:Herald of Khmelnytskyi National University Technical sciences
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的:オートブランは「どう加えるか」で変わるのか
ハンバーグやメンチカツのようなひき肉製品は、もともと食物繊維をほとんど含みません。そこで、穀物を製粉するときに出る外皮部分の「ふすま(ブラン)」を加える研究が進められてきました。ブランには水分や脂肪を抱え込む性質もあるため、加熱による目減りを抑える効果が期待されています。
研究チームはオート麦のふすま(オートブラン)に注目しました。オートブランの働きは加える量だけでなく、水との比率、膨らませる時間、下処理の温度などによっても左右されると考えられています。こうした条件を誤ると、製品がパサついたり、ざらついたり、硬く締まりすぎたりするおそれがあると論文は指摘しています。
これまでの研究は、主にブランの配合量や脂肪の置き換えに焦点を当ててきました。同じ量のブランと同じ量の水を使ったうえで、乾いたまま加える場合、あらかじめ水で膨らませる場合、加熱しながら水を含ませる場合を比べた研究は十分ではありませんでした。著者らはこの点を明らかにすることを目的としました。
何を調べたか:4種類のひき肉生地を比較
研究では、牛肉、豚肉、豚脂身をベースにしたカツレツタイプのひき肉製品を試作しました。生地はすべて1000グラムを単位として配合しています。ブランを含まない対照の配合と、肉50グラムをオートブラン50グラムに置き換えた3種類の試験配合を用意しました。ブランの割合はいずれも5%です。
配合に含まれる水の量は、すべて150グラムにそろえました。1つ目の試験配合では、乾いたブランと水を別々に生地へ加えています。2つ目では、ブランと水を1対3の割合で混ぜ、18〜22℃で30分置いて吸水させました。3つ目では、同じ割合で85〜90℃に10分保って加熱吸水させ、その後12℃以下まで冷やしています。2つ目と3つ目では、配合の水をすべてブランの下処理に使いました。
加熱調理した完成品については、水分、たんぱく質、脂肪、灰分、食物繊維の割合を測定しました。酸性・アルカリ性の度合いを示すpHは、加熱前のひき肉生地で測っています。あわせて、生地中の水分のうち結びついている水の割合を示す「水分結合能」と、加熱後にどれだけ水分が保たれたかを示す「水分保持能」も調べました。さらに、加熱による重量の減少と、加熱後に残った重量の割合(歩留まり)を求めました。これらの測定はそれぞれ3回ずつ行われています。最後に、完成品の外観、断面の色、香り、味、食感、ジューシーさの6項目を5点満点で評価しました。
主な結果:加熱吸水させたブランが最も良い成績
食物繊維は、対照の0.70%から、ブランを加えた製品では3.20〜3.40%に増えました。肉の一部をブランに置き換えたため、たんぱく質と脂肪の割合はわずかに下がりました。
はっきりした差が出たのは、水分の扱いに関わる指標です。水分結合能は、対照の75.0%に対し、乾燥ブランで79.1%、吸水させたブランで85.3%、加熱吸水させたブランで87.4%と高くなりました。水分保持能も、対照の71.1%から加熱吸水ブランでは83.5%に上がりました。
加熱による重量の減少は、対照の25.0%に対し、乾燥ブランで21.0%、吸水ブランで17.0%、加熱吸水ブランで15.0%でした。歩留まりはこれと逆の順に、75.0%、79.0%、83.0%、85.0%と高まりました。著者らは、ブランが入っていることだけでなく、事前にどれだけ膨らませ、熱で性質を変えたかが決め手になったと述べています。
官能評価の平均点は、対照が4.70点でした。乾燥ブランは4.20点と最も低く、特に食感とジューシーさの評価が下がりました。表面がやや乾き、ざらつきが出て、ふすまの風味が目立ったと報告されています。吸水ブランは4.77点で、なめらかさとジューシーさが改善しました。加熱吸水ブランは4.88点で最も高く、色が最も均一で、ブランの粒が目立たず、肉の風味にオートのほのかな香りがなじんでいました。弾力がありジューシーな食感だったとされています。
研究から見えてくること
この研究は、同じ量のオートブランと水を使っても、下処理の方法によってひき肉製品の仕上がりが大きく変わることを示しました。乾いたまま加えるとパサつきやざらつきが出やすい一方、加熱しながら水を含ませてから加えると、水分を保ち、加熱による目減りが少なく、食べたときの評価も高い製品になったと報告されています。
著者らは、オートブランをひき肉製品に使う場合、加熱吸水による下処理が技術的に最も合理的な方法だと結論づけています。食物繊維を加える素材としてのブランは「どれだけ入れるか」だけでなく「どう準備して入れるか」が重要だという点が、この研究の中心的なメッセージです。
原著論文の著者・所属:НАДІЯ НОВГОРОДСЬКА(Вінницький національний аграрний університет)、ІВАН МЕЛЬНИК(Vinnytsia National Agrarian University)、ВЛАДИСЛАВ МЕЛЬНИК(Вінницький національний аграрний університет)、НАЗАР ЛЮБЧИЧ(Вінницький національний аграрний університет)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):НАДІЯ НОВГОРОДСЬКА, ІВАН МЕЛЬНИК, ВЛАДИСЛАВ МЕЛЬНИК, et al. ВПЛИВ СПОСОБУ ПОПЕРЕДНЬОГО ОБРОБЛЕННЯ ВІВСЯНИХ ВИСІВОК НА ФІЗИКО-ХІМІЧНІ ТА ОРГАНОЛЕПТИЧНІ ПОКАЗНИКИ СІЧЕНИХ М’ЯСНИХ НАПІВФАБРИКАТІВ. Herald of Khmelnytskyi National University Technical sciences 2026-10-15. DOI: 10.31891/2307-5732-2026-369-20. 原著ライセンス:CC BY.