日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。
掲載誌:Innovative Food Science & Emerging Technologies
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究のねらい
コーヒーの品質は焙煎で大きく左右されます。焙煎は香りの形成と、豆に含まれる生理活性をもつ成分の組成の両方に影響するためです。
研究チームは、プラズマを利用する電熱式の反応装置(リアクター)を開発してコーヒー焙煎に用いました。その焙煎特性を従来の焙煎方法と比べ、焙煎方法の違いが抽出したコーヒーの主な成分にどう影響するかを調べています。ここで扱う成分は、揮発しにくい不揮発性成分と、香りに関わる揮発性成分の両方です。
何をどう比べたか
著者らは、コーヒー豆をプラズマ焙煎と従来の焙煎でそれぞれ焙煎しました。豆の膨らみ具合と色をもとに、浅煎り・中煎り・深煎りの3段階に分類しています。
そのうえで、焙煎中の豆の大きさの変化と、同じ焙煎度に達するまでの時間を比べました。抽出したコーヒーについては、クロロゲン酸、総ポリフェノール、カフェ酸、カフェインといった不揮発性成分と、ピラジン、2-メチルピラジン、フルフリルアルコールといった香りに関わる揮発性成分を比較しました。
主な結果
論文によると、プラズマ焙煎では従来の焙煎よりも豆のサイズが速く大きくなりました。従来法と同程度の焙煎度に達するまでの時間は、浅煎りで42%、中煎りで44%、深煎りで81%短くなったと報告されています。
成分の面では、クロロゲン酸の含有量が、すべての焙煎度でプラズマ焙煎のほうが従来焙煎より有意に高く、その差は特に深煎りで目立ちました。総ポリフェノール、カフェ酸、カフェインの含有量にも違いが見られ、著者らは焙煎中の成分の変化のしかたが変わったことを示すとしています。
香りに関わる揮発性成分についても、ピラジン、2-メチルピラジン、フルフリルアルコールの生成のしかたが、焙煎方法によって異なっていました。
この研究が示すこと
研究チームは、プラズマ焙煎が従来法と同程度の焙煎度を大幅に短い時間で実現し、しかも不揮発性成分・揮発性成分の組成が従来法とは異なるコーヒーを生み出せることを示しました。
著者らはこの技術を、従来の焙煎を置き換えるものではなく補う選択肢として位置づけています。コーヒーの品質特性に幅をもたせ、製品の差別化につながりうる焙煎技術の候補だと結論づけています。
原著論文の著者・所属:Takanori Tanino(Graduate School of Food and Population Health Science, Gunma University, Japan; Gunma University Center for Food Science and Wellness, Japan)、Masayoshi Matsui(Faculty of Environmental Studies, Hiroshima Institute of Technology, Japan)、Mayu Yoshida(Graduate School of Science and Technology, Gunma University, Japan)、Takayuki Ohshima(Department of Food and Nutrition, Tokyo Kasei Gakuin University, Japan)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Takanori Tanino, Masayoshi Matsui, Mayu Yoshida, et al. Development of plasma-assisted electrothermal reactor for coffee roasting and analysis of its roasting characteristics. Innovative Food Science & Emerging Technologies 2026-08-15. DOI: 10.1016/j.ifset.2026.104746. 原著ライセンス:CC BY.