著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:DIKDIMAS Jurnal Pengabdian Kepada Masyarakat
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
取り組みの背景と目的
発育阻害(スタンティング)とは、慢性的な栄養不足によって子どもの身長が年齢に比べて低くなる状態です。インドネシアでは今も深刻な課題で、リアウ州カンパル県のラナ・シンクアン村は、かつて発育阻害が集中する地域に指定されていました。
インドネシアでは、乳幼児向けの補助食(PMT)を配る政府の取り組みがあります。この村でも地元の食材を使った補助食が提供されてきましたが、著者らが地域の保健ボランティアに聞き取りをすると、課題が見えてきました。保健センターが示した7日分の献立は2年間変わっておらず、一部の料理は子どもに好まれず食べ残されていました。カンパル県はリアウ州最大のパティン(ナマズの仲間の淡水魚)の産地なのに、献立にパティン料理は一つもありませんでした。
そこで研究チームは、地域の保健拠点「ポシャンドゥ」で活動する住民ボランティア(カデル)を対象にした取り組みを行いました。目的は、たんぱく質を多く含む地元のパティンを使った補助食の献立について、カデルの知識と調理技術を高めることです。
どのように進めたか
参加者は、村にある二つのポシャンドゥに登録している現役カデル16人全員です。準備段階では、村長や保健センターの職員、村の助産師らと話し合って課題を整理し、動画と冊子の教材を作りました。
実施日には、まず知識テストを行いました。続いて約30分の講義のあと、パティンを使った4品の調理を実演しました。4品は、串に刺した揚げ物のセンポル、のりを使ったクリスピー、豆腐団子、卵巻きです。カデル自身も調理を練習し、最後に同じ形式のテストを受けました。テストは、乳幼児、発育阻害、補助食とその作り方、カデルの役割を問う20問の選択式です。この後、カデルが二つのポシャンドゥで実際にパティン料理を作って子どもに出し、食べる様子を観察しました。
主な結果
カデルの知識テストの平均点は、講習前の56.30%から講習後には92.70%に上がりました。上昇幅は36.40ポイントです。論文によると、参加者全員が調理の実演や練習に熱心に取り組み、質問も多く出ました。
ポシャンドゥでの実践では、カデルがパティンのセンポルを作って子どもに出しました。観察では、子どもたちが喜んで食べていたと報告されています。著者らは、子どもに好まれない献立が補助食の取り組みがうまくいかない大きな原因の一つだと指摘しています。そのうえで、今回の4品は献立に変化をつけ、子どもが飽きるのを防ぐ選択肢になりうると述べています。
一方で著者らは、限界も明記しています。比較のための対照群がないこと、対象が1つの村の16人に限られること、テスト問題の妥当性を事前に検証していないこと、ポシャンドゥでの観察が2日間だけだったことです。また、子どもの受け入れを確かめたのはセンポル1品だけで、体重や身長などの栄養状態や成長への影響は測っていません。
この取り組みが示すこと
この報告は、地元でよくとれる魚を補助食の中心にすえ、講義に加えて実演と調理練習を組み合わせることで、短期間でも住民ボランティアの知識を高められる可能性を示しました。ただし著者ら自身が述べるとおり、今回の成果は知識の向上と子どもの受け入れという短期的なものです。発育阻害の減少につなげるには、継続的な実施が欠かせない前提条件だと位置づけられています。
原著論文の著者・所属:Yolahumaroh Yolahumaroh(Poltekkes Kemenkes Riau)、Sri Mulyani(Poltekkes Kemenkes Riau)、Yeni Aryani(Poltekkes Kemenkes Riau)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yolahumaroh Yolahumaroh, Sri Mulyani, Yeni Aryani Mentoring Posyandu Cadres in the Preparation of Locally Sourced Supplementary Feeding (PMT) to Prevent Stunting in Toddlers in Ranah Singkuang Village. DIKDIMAS Jurnal Pengabdian Kepada Masyarakat 2026-10-19. DOI: 10.58723/dikdimas.v5i2.652. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。