著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Jurnal Penelitian dan Pengabdian Masyarakat

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

豊作の果物をどう活かすか

サラクは、うろこ状の皮をもつ東南アジアの熱帯果実で、英語ではスネークフルーツと呼ばれます。インドネシア東ジャワ州ルマジャン県のプロノジウォ地区では収穫量が多い一方、生の果物として市場が吸収できる量には限りがあります。水分が比較的多く傷みやすいため、加工して付加価値を高めることが課題になっていました。

この報告で取り上げられているのは、同地区でサラクチップスを製造する小規模事業者です。事業者はすでに真空フライの機械を持っていましたが、揚げる温度と時間の目安が定まっておらず、乾き具合、食感、色、仕上がりにばらつきが出るおそれがありました。研究チームは、課題は機械がないことではなく、技術を原料や現場の条件に合わせて使いこなすことにあると捉えました。そこで、地域社会への貢献活動として、温度と時間の試験に加えて、揚げる前に原料を冷凍しておく下処理も紹介し、事業者による技術の習得を支援しました。

現場の機械と原料で一緒に試す

真空フライとは、圧力を下げた状態で揚げる方法です。気圧が低いと水が低い温度で蒸発するため、通常の揚げ物より低い温度で原料の水分を抜くことができます。ただし、仕上がりは温度、真空度、時間、原料の大きさや水分、下処理など多くの条件が組み合わさって決まります。そのため著者らは、ほかの研究で示された条件を、どの機械や現場にもそのまま当てはめることはできないと述べています。

活動は2026年5月から7月にかけて行われました。研究チームは、地域の人々を問題の特定から評価までの協働相手と位置づける「コミュニティ・ベースド・リサーチ」という考え方をとりました。まず製造工程を観察し、事業者と話し合って課題を整理しました。次に、真空フライの原理や品質に影響する要因について研修を行いました。そのうえで、原料5キロ・油24リットルの事業者の機械を使い、事業者自身が操作して3回の揚げ工程を行いました。

論文が結果として示しているのは、24時間冷凍したサラクを75℃と80℃で揚げた2つの条件です。できあがったチップスは、乾き具合、食感、色、そして事業者が期待する製品になっているかという観点から観察され、事業者自身も製品を評価しました。

75℃では期待どおり、80℃では湿ったまま

論文によると、75℃で揚げた場合には、事業者が期待する特徴をもつサラクチップスができました。一方、80℃で同じ時間揚げた場合は、チップスが湿った状態で残り、目標とする仕上がりに達しませんでした。なお、揚げ時間について、要旨と本文では2時間とされていますが、結果の表と写真の説明では48分と記載されています。

著者らは、この結果を通じて、温度を上げれば必ず良い製品になるわけではないことを事業者が実際に確かめられた点を重視しています。原料の状態や水分、果肉の組織、機械の運転状況によって、温度と時間への反応は変わります。そのため研究チームは、今回の条件を一般に通用する最適条件ではなく、この事業者の現場に合った「初期の目安」として位置づけています。

揚げる前の24時間冷凍も、下処理の一つとして紹介されました。冷凍すると果肉の中に氷の結晶ができ、組織が変化することで、揚げる際の水分の抜け方に影響する可能性があります。ただし論文には、冷凍しない条件での結果は報告されていません。著者らは、24時間という冷凍時間を最適な条件とはみなしておらず、冷凍時間が品質にどう影響するかはさらに測定によって確かめる必要があるとしています。

機械を「使いこなす」ための出発点

この報告が示すのは、加工機械を導入するだけでは安定した製品づくりにはつながらず、原料の状態と運転条件の関係を現場で試しながら理解していくことが大切だという点です。今回の支援で、事業者は製造に使える初期の目安を手に入れ、機械の操作や仕上がりの見極めについての経験を積みました。研究チームは、豊作の果物の価値を高めるうえで、こうした現場に寄り添った技術の適応が一つの方法になると伝えています。

原著論文の著者・所属:Alvionitha Sari Agstriningtyas(Politeknik Negeri Malang)、Eri Cahyani(Politeknik Negeri Malang)、Rizkika Zakka Agustin(Politeknik Negeri Malang)、M. Sahrul Hamid(Politeknik Negeri Malang)、Virna Umro Audiana(Politeknik Negeri Malang)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Alvionitha Sari Agstriningtyas, Eri Cahyani, Rizkika Zakka Agustin, et al. Pendampingan Optimasi Suhu dan Waktu Vacuum Frying untuk Produksi Keripik Salak di UMKM Pronojiwo Lumajang. Jurnal Penelitian dan Pengabdian Masyarakat 2026-10-19. DOI: 10.61231/rx7nye79. 原著ライセンス:CC BY.