著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:JMM (Jurnal Masyarakat Mandiri)

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

なぜ小学生への栄養教育なのか

子どもの栄養の問題は、体の成長だけでなく、健康や学校での学びにも関わります。著者らによると、インドネシアでは子どもの発育阻害(年齢に比べて身長が低い状態)の割合が下がってきているものの、なお課題として残っています。さらに、栄養不足と栄養過多が同時に見られる「栄養の二重負荷」にも直面しています。

インドネシア政府は「バランス栄養指針」を示しています。その柱は、多様な食品をとること、適度に体を動かすこと、清潔な生活習慣を守ること、栄養状態を定期的に確かめることです。それでも先行研究では、一部の児童が、体に必要な食事の組み合わせや、バランスのよい食事の大切さを十分に理解していないと報告されてきました。パプア地域の先行研究では、子どもの食事がエネルギー源となる食品に偏り、たんぱく質、野菜、果物が不足しがちなことも指摘されています。

そこで研究チームは、パプア地域のビアク・ヌムフォル県にある小学校で、子どもが自ら参加できる形の栄養教育を実施しました。そして、バランス栄養の考え方について子どもの理解が深まるかどうかを確かめました。

どのような授業を行い、どう評価したか

参加したのは4〜6年生の児童45人です。学校の推薦にもとづき、各学年から参加者がそろうことや、すべての活動に参加できるかどうかを考慮して選ばれました。教育は2026年4月17日に、対面で1回だけ行われました。

授業はいくつかの方法を組み合わせて進められました。まず、質問や話し合いを交えながら、バランス栄養指針について説明しました。続いて、子ども向けの栄養アニメーション動画を見せました。さらに、地元でよく見かける食材を使ったゲームを行い、子どもたちは食材を含まれる栄養や体への働きごとに分類しました。最後に、インドネシアで食事のバランスを示す「イシ・ピリンク(私のお皿の中身)」という考え方に沿って、主食、たんぱく質源、野菜、果物を組み合わせた簡単な献立を作る実習を行いました。

効果を確かめるため、同じ子どもたちに授業の前と後で多肢選択式のテストを受けてもらい、結果を比べました。比較対照となる別のグループは設けていません。テストでは、バランス栄養の原則、食品のグループ分け、体に合った食べ物の選び方を問いました。あわせて、授業中の子どもの参加の様子を観察し、教員との意見交換も行いました。

主な結果

論文によると、知識テストの平均得点率は、授業前の58.5%から授業後には76.0%に上がり、差は17.5ポイントでした。授業の前後で同じ子どもの成績を比べる統計検定(対応のあるt検定)でも、この差は偶然とは考えにくい意味のあるものと判断されました(p<0.001)。

著者らは、授業前の得点から、とくにバランスのよい食事の組み合わせや、多様な食品をとる大切さについての理解が限られていたとみています。観察の記録では、動画を見る場面で子どもたちが活発に反応し、質問をしたり短い話し合いに加わったりする様子が見られ、地元の食材を使ったゲームや献立づくりの実習にも意欲的に取り組んでいたと報告されています。

一方で、著者らは限界についても述べています。教育は1回きりで、内容を深める時間は十分ではありませんでした。また、子どもの食習慣が長い目で見て変わるかどうかは確かめていません。今回の結果が示しているのは、授業直後の知識の変化です。

この研究が示すこと

著者らは、説明、動画、地元の食材を使った遊び、献立づくりの実習を組み合わせた参加型の授業によって、小学生がバランス栄養の考え方をよりよく理解できたと結論づけています。子どもの身近な食べ物や生活に合わせて教えることが、理解を助ける一つの手段になりうるというのが、この実践報告の主な意味です。著者らは同時に、学んだことを日々の食習慣につなげるには、学校や教員の協力のもとで教育を継続することが大切だとしています。

原著論文の著者・所属:Wilma Florensia(Ilmu Kesehatan Masyarakat, Universitas Cenderawasih)、Mesri Kartika(Ilmu Kesehatan Masyarakat, Universitas Cenderawasih)、Petrus Yohanes Ismail Arwimbar(Ilmu Kesehatan Masyarakat, Universitas Cenderawasih)、Syaharuddin Nur(Ilmu Kesehatan Masyarakat, Universitas Cenderawasih)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Wilma Florensia, Mesri Kartika, Petrus Yohanes Ismail Arwimbar, Syaharuddin Nur PENINGKATAN PEMAHAMAN GIZI SEIMBANG MELALUI EDUKASI PARTISIPATIF PADA SISWA SEKOLAH DASAR. JMM (Jurnal Masyarakat Mandiri) 2026-07-30. DOI: 10.31764/jmm.v10i4.39848. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。