著者の所属・活動拠点の国は、ドイツです。

掲載誌:Journal of Food Composition and Analysis

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

焼き菓子の砂糖を減らす方法の一つとして、ショ糖(一般的な砂糖)を別の糖であるアルロースに置き換えることが検討されています。ただし著者らによると、アルロースが異なる種類の穀物粉とどう相互作用するのか、また焼成中に起こるメイラード反応がどのような経路をたどるのかは、まだ十分に分かっていません。メイラード反応とは、糖とアミノ酸などが加熱で反応し、焼き色や香りを生む反応のことです。

そこで研究チームは、砂糖をアルロースに段階的に置き換えたとき、クッキーの品質がどう変わるのか、そしてその変化が粉の種類によって異なるのかを調べました。

何を調べたか

研究チームは、小麦、スペルト小麦(古代小麦の一種)、それぞれの全粒粉、オーツ麦といった異なる粉を使ってクッキーを作りました。砂糖のうちアルロースに置き換える割合は、0%、25%、50%、75%、100%の5段階です。

評価した項目は、クッキーの物理的・化学的な性質、焼き色の付き方、メイラード反応の途中でできる物質(中間生成物)、そして人が評価する好ましさ(官能評価)です。

主な結果

論文によると、粉の種類はクッキーの構造、水分の保たれ方、色の付き方に有意な影響を与えていました。また、アルロースの割合を増やすほど焼き色が濃くなり、メイラード反応の中間生成物も増えました。著者らはこれを、アルロースが反応しやすい糖であることを裏付ける結果としています。

具体例として、小麦粉(タイプ550)のクッキーでは、砂糖をすべてアルロースに置き換えると、明るさを表す指標L*が74.2から60.5へ下がり、色が暗くなりました。同時に、メイラード反応の中間生成物の一つであるHMF(ヒドロキシメチルフルフラール)の濃度は、0から2.4 µmol/gに増えました。

一方で、全粒粉を使ったクッキーでは、置き換え割合に対して直線的ではない焼き色の変化が見られました。著者らは、pH(酸性・アルカリ性の度合い)や水分活性(食品中で自由に動ける水の度合い)といった条件が、反応の進み方や色素のでき方を左右していることが示唆されるとしています。

官能評価では、小麦粉ベースのクッキーの場合、置き換えが25%までなら見た目の受け入れられ方が保たれ、9段階の好ましさ評価で平均6.0以上となりました。しかし置き換えが50%以上の場合や、全粒スペルト小麦を使った配合では、消費者の好みははっきりしない結果となりました。

研究が示すこと

この研究は、アルロースへの置き換えが焼き色やメイラード反応の中間生成物を増やすこと、そしてその現れ方が使う粉の種類によって異なることを報告しています。著者らは、穀物を使った焼き菓子にアルロースを用いる際には、粉など原料の組み合わせごとに合わせた配合の工夫が必要だと結論づけています。

原著論文の著者・所属:Sebastian Wittland(Department of Food Chemistry and Analysis, Institute of Food Technology and Food Chemistry, Technische Universität Berlin, Straße des 17. Juni 135, 10623 Berlin, Germany; Max Rubner-Institut, Federal Research Institute for Nutrition and Food, Department for Safety and Quality of Cereals, Schützenberg 12, 32756 Detmold, Germany; OWL University of Applied Sciences and Arts, Department of Agriculture, Food and Health, Institute for Life Science Technologies (ILT.NRW), Campusallee 12, 32657 Lemgo, Germany)、Sascha Rohn(Department of Food Chemistry and Analysis, Institute of Food Technology and Food Chemistry, Technische Universität Berlin, Straße des 17. Juni 135, 10623 Berlin, Germany)、Elisabeth Sciurba(Max Rubner-Institut, Federal Research Institute for Nutrition and Food, Department for Safety and Quality of Cereals, Schützenberg 12, 32756 Detmold, Germany)、Martina Sokolowsky(OWL University of Applied Sciences and Arts, Department of Agriculture, Food and Health, Institute for Life Science Technologies (ILT.NRW), Campusallee 12, 32657 Lemgo, Germany)、Clemens Kanzler(Department of Food Chemistry and Analysis, Institute of Food Technology and Food Chemistry, Technische Universität Berlin, Straße des 17. Juni 135, 10623 Berlin, Germany)、Bertrand Matthäus(Max Rubner-Institut, Federal Research Institute for Nutrition and Food, Department for Safety and Quality of Cereals, Schützenberg 12, 32756 Detmold, Germany)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sebastian Wittland, Sascha Rohn, Elisabeth Sciurba, et al. Allulose as alternative for sucrose in baked goods: Implications for the quality of cookies. Journal of Food Composition and Analysis 2026-08-13. DOI: 10.1016/j.jfca.2026.109449. 原著ライセンス:CC BY.