著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Indonesian Journal of Innovation Studies

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

サトウキビから白い砂糖を作るには、煮詰めて結晶を作るだけでは足りません。結晶のまわりには糖蜜と呼ばれる粘り気のある液体が残っており、これを取り除く工程が砂糖の純度や品質を左右します。

研究チームは、インドネシア東ジャワ州シドアルジョにあるチャンディ・バル製糖工場の工程を取り上げました。この工場は、家庭で使われる白砂糖(現地でSHSと呼ばれる等級)を製造しています。チームが注目したのは、回転による遠心力で結晶と糖蜜を分ける「遠心分離ステーション」です。そこでの機械の使い分け、結晶を作る煮詰め工程とのつながり、品質管理の手順を整理することが研究の目的です。

工場の工程をどう整理したか

論文によると、工場は計量、圧搾、精製、濃縮、煮詰め、遠心分離、仕上げの7つのステーションで砂糖を作っています。サトウキビの搾り汁は、石灰などを加えて不純物を取り除いたあと、蒸発させて濃くします。続いて真空の釜で低い温度のまま煮詰め、結晶を作ります。こうしてできる結晶と液体の混合物は「マスキット」と呼ばれます。真空で温度を低く保つのは、砂糖の主成分であるショ糖が傷んだりカラメル化したりするのを防ぐためと説明されています。

論文は、A・C・Dの3系統の煮詰め工程を記述しています。どの系統でも、結晶の大きさに加え、溶けている固形分のうちショ糖が占める割合を示す「純度」と、溶けている固形分の濃さを示す「ブリックス」が目標の値に達した時点で、釜から取り出されます。

A系統は4〜6時間煮詰め、結晶が0.8〜1.2ミリ、純度が80〜85%、ブリックスが93〜94%になったら取り出して1時間冷やします。C系統は5〜7時間かけ、純度70〜74%、ブリックス96〜97%を目安にします。D系統は6〜9時間かけて煮詰めたあと、急速冷却装置で4時間かけて54〜55℃まで冷やしてから遠心分離にかけます。冷やすのは、結晶が割れたり糖蜜に溶け戻ったりしないようにするためと述べられています。

これらの系統は互いにつながっています。D系統で得た結晶や液体がC系統の煮詰めに使われ、C系統の結晶がA系統の原料になります。分離後に残った液体も、別の系統の原料として再び使われます。

主な報告内容:遠心分離機の使い分けと仕上げ

研究チームによると、この工場では2種類の遠心分離機が使い分けられています。高純度用は毎分1,000回転で9台あり、そのうち5台がA系統のマスキットを、残る4台がB糖などを処理します。低純度用は毎分2,500回転で12台あり、9台がD1、3台がD2の処理を担います。機械の中にはふるいの役目をする網があり、高速回転の遠心力で糖蜜を外へ押し出して、結晶を網の内側に残す仕組みです。

A系統の結晶は2段階の遠心分離を経て、最終製品のSHSになります。その後、砂糖は揺り動かす樋(とい)に送られて固まりがほぐされ、水分を減らしたうえで冷却装置で冷やされます。さらに8メッシュと18メッシュのふるいで規格に合わない粒が選り分けられ、磁石で金属片が取り除かれます。

袋詰めにも注意点があると報告されています。袋の口はすぐに縫い閉じず、開けたまま砂糖を冷まし、温度が30℃以下になってから閉じます。熱いまま閉じると品質が落ちるためです。

論文は、この工場の砂糖の品質について、結晶の大きさがそろい、澄んだ白色で、水分が少ないため固まりにくく使いやすいとまとめています。

この研究が伝えること

この論文は、遠心分離ステーションが白砂糖づくりの要であることを、実際の工場の運転条件に即して示しています。回転数の異なる機械の使い分け、煮詰め工程の基準値、分離前後の温度管理が、一続きの流れとして整理されています。

著者らは、この工程がなければ糖の回収効率や製品品質の低下、原料の無駄、生産性の低下を招くと述べ、遠心分離の原理を深く理解することが結晶の質を高めることにつながると結論づけています。

原著論文の著者・所属:Annisa Fitriya Rokhma(Program Studi Teknologi Pangan, Fakultas Sains dan Teknologi Universitas Muhammadiyah Sidoarjo)、Ida Agustini Saidi(Program Studi Teknologi Pangan, Fakultas Sains dan Teknologi Universitas Muhammadiyah Sidoarjo)、Rahmania Akhairunnisa(Program Studi Teknologi Pangan, Fakultas Sains dan Teknologi Universitas Muhammadiyah Sidoarjo)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Annisa Fitriya Rokhma, Ida Agustini Saidi, Rahmania Akhairunnisa. Process of Separating Sugar Crystals by Rotary Centrifugation Principle at Sugar Factory Candi Baru. Indonesian Journal of Innovation Studies 2026-10-05. DOI: 10.21070/ijins.v25i4.2382. 原著ライセンス:CC BY.