この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Jurnal Teknologi Pangan dan Ilmu Pertanian

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

何を目的とした研究か

カステンゲルは、インドネシアでよく知られた焼き菓子です。チーズを使った香ばしい風味、サクサクした食感、黄褐色の焼き色が特徴で、一般には小麦粉を主な材料としてつくられます。

研究チームは、この小麦粉の一部をソルガム(モロコシ、Sorghum bicolor (L.) Moench)の粉に置き換えることに着目しました。ソルガムは環境への適応力が高い穀物で、論文によれば、その種子には炭水化物、タンパク質、脂質、食物繊維、ミネラル、各種の生理活性成分が含まれ、また性質としてグルテンを含みません。ただしインドネシアでは食材としての利用がまだ十分に進んでおらず、加工の工夫が求められている、と著者らは述べています。

一方で、ソルガム粉は小麦粉と性質が異なるため、色・香り・味・食感が変わる可能性があります。著者らは、ソルガム粉を加えたカステンゲルがどのようにできあがるか、そして食べた人にどの程度受け入れられるかを明らかにすることを目的としました。論文は、ソルガムそのものの研究は複数あるものの、カステンゲルへの応用と、その官能特性に対する消費者の受容についての情報は限られている、と位置づけています。

どのように調べたか

研究は量的アプローチによる実験として行われました。小麦粉とソルガム粉の配合比だけを変えた2種類の試作品を用意し、それ以外の材料と製造工程は同じにそろえています。サンプルAは小麦粉50%とソルガム粉50%、サンプルBは小麦粉75%とソルガム粉25%の配合です。

評価には官能試験(オルガノレプティック試験)を用いました。これは、人の五感を使って食品の特性への反応を調べる方法です。本研究では好き嫌いの度合いを測る「嗜好型」の試験が採用され、形、色、香り、食感、味に加えて、買いたいと思う気持ち(購買意向)が尋ねられました。

パネリスト(評価者)は100人で、半訓練パネリスト42人と未訓練パネリスト58人から構成されています。調査地はインドネシア・中部ジャワのスコハルジョ周辺で、調理・ホテル分野を学ぶ大学生と地域住民が参加しました。集まった回答は各評価項目ごとに集計され、回答の頻度を人数で割って百分率を求める方法で、受容の度合いが算出されています。

報告された主な結果

著者らの報告によれば、配合比の違いは評価に差を生みました。ソルガム粉が少ないサンプルBは、多くの項目でより高い評価を得ています。評価尺度8での割合として、色は61%、香りは56%、味は53%、食感は46%、購買意向は47%と報告されました。

一方、ソルガム粉を多く使ったサンプルAが上回ったのは形の項目で、52%でした。論文では、サンプルAは見た目が整っていて均一であり、焼成中に形が崩れにくかったためと説明されています。

サンプルBが好まれた理由について、著者らはソルガム粉の使用量が少ないぶん焼き色が明るい黄金色になり、一般的なカステンゲルの特徴に近づいたこと、チーズとマーガリンの香りがより前面に出たこと、噛んだときに乾きすぎずべたつかない食感だったことを挙げています。反対にソルガム粉が多いサンプルAは、色がより濃くなり、ソルガム特有の香りが強く出たと推測されています。

論文はまた、ソルガム粉の生地はグルテンが少ないためべたつきやすく、成形しやすくするには涼しい環境で作業したり、生地を冷やしてから型どりするとよいとしています。焼成は電気オーブンで140度、上下加熱で約30分という条件が記されています。原価と販売価格の試算も示され、ソルガム粉の使用量が少ないサンプルBのほうが材料費が低く、1包装あたりの価格も安くなったと報告されました。

この研究が示すこと

この研究は、ソルガム粉がカステンゲルの材料として使えることを示したうえで、配合の割合によって食べた人の受け止め方が変わることを具体的な数字で示しました。著者らの結論は、ソルガム粉を50グラム加えた配合(サンプルB)が、より良い消費者受容につながったというものです。

身近な焼き菓子に地域の穀物を取り入れるという発想は、既に親しまれている味わいを大きく損なわずに、あまり使われてこなかった食材の出番を増やす道筋を示しています。同時にこの研究は、素材を替えれば色や香りも変わるという当然の帰結を、実際に食べる人の評価を通して確かめた例でもあります。

著者:Santi Try Nugraheni(Sekolah Tinggi Pariwisata Sahid Surakarta)、Jasanta Peranginangin(Sekolah Tinggi Pariwisata Sahid Surakarta)、Anggita Risa Budiarti(Sekolah Tinggi Pariwisata Sahid Surakarta)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Santi Try Nugraheni, Jasanta Peranginangin, Anggita Risa Budiarti Penambahan Tepung Sorgum (Sorghum bicolor (L.) Moench) dalam Pembuatan Kue Kering Jenis Kastengel. Jurnal Teknologi Pangan dan Ilmu Pertanian 2026-09-18. DOI: 10.59581/jtpip-widyakarya.v4i3.6807. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。