著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
インドネシアでは、無償で栄養のある食事を提供する国の給食プログラムが進められています。著者らは、地域で手に入るタンパク源であるサゴワーム(サゴヤシに育つ昆虫の幼虫)に注目しました。サゴワームは、栄養価が高く持続可能な食品を作る素材として期待されています。
この研究の目的は、加熱による加工がサゴワームの性質をどう変えるかを調べることです。比べた加工法は、熱風で加熱するエアフライと、低めの温度で長時間乾かすオーブン乾燥の二つです。
何を調べたか
研究チームは、生のサゴワーム、エアフライしたもの(100℃で15分)、オーブン乾燥したもの(60℃で6時間)の3種類を用意しました。
水分・タンパク質・脂質などの基本成分を測定し、脂肪酸の組成とアミノ酸の構成も分析しました。あわせて、赤外線を当てて分子の化学的な構造の特徴を調べる方法と、電子顕微鏡で表面の微細な構造を観察する方法も用いました。
主な結果
加熱すると水分が大きく減りました。生では67.23%だった水分が、エアフライでは13.51%、オーブン乾燥では12.57%になりました。水分が抜けた分、タンパク質、脂質、エネルギーの密度は高くなりました。
タンパク質はエアフライしたものが最も多く、21.85%でした。一方、脂質とエネルギーはオーブン乾燥したものが最も高く、脂質は57.60%、エネルギーは100グラムあたり629.82キロカロリーでした。
脂肪酸では、加工後にオメガ9系のオレイン酸が目立ちました。その割合はオーブン乾燥で約26%、エアフライで約23%でした。アミノ酸では、どの試料でもグルタミン酸が最も多い成分でしたが、ほかのアミノ酸の構成は加工によって変わりました。
化学構造の分析では、加熱による変化は見られたものの、主要な化学的特徴は保たれていると報告されています。電子顕微鏡で観察すると、生のサゴワームは多孔質で、すき間の多い構造でした。エアフライ後はこれが詰まった緻密な構造に変わり、オーブン乾燥したものはその中間的な形でした。
研究が示すこと
著者らは、加工法を選ぶことでサゴワームの成分や構造を意図的に変え、栄養密度の高い食品素材にできることが示されたとしています。エアフライはタンパク質を、オーブン乾燥は脂質とエネルギーを多く含む素材になるという違いが、地域の昆虫資源を食品に生かす際の選択肢を示しています。
原著論文の著者・所属:ANSHARULLAH ANSHARULLAH(Department of Food Technology, Universitas Halu Oleo, Kendari, Indonesia)、ASNIAR ASNIAR(Department of Nutrition, Institut Teknologi dan Kesehatan Avicenna, Kendari, Indonesia)、NUR ASYIK(Department of Food Technology, Universitas Halu Oleo, Kendari, Indonesia)、SRI REJEKI(Department of Food Technology, Universitas Halu Oleo, Kendari, Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):ANSHARULLAH ANSHARULLAH, ASNIAR ASNIAR, NUR ASYIK, et al. DEVELOPMENT AND NUTRITIONAL EVALUATION OF SAGO GRUB PROTEIN-BASED FOODS FOR INDONESIA'S NUTRITIOUS MEAL PROGRAM: EFFECT OF PROCESSING METHODS ON NUTRITIONAL AND PHYSICOCHEMICAL PROPERTIES. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-09-29. DOI: 10.5281/zenodo.23030188. 原著ライセンス:CC BY.