著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:MIMBAR AGRIBISNIS Jurnal Pemikiran Masyarakat Ilmiah Berwawasan Agribisnis
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
品質のばらつきを工程の段階で捉える
コーヒー加工業では、生産量だけでなく、品質を一定に保てるかどうかが競争力を左右します。研究チームが調査したのは、インドネシア東ジャワ州ブリタール県で、栽培から加工まで一貫して手がけるコーヒー企業PT Harta Muliaです。論文によると、同社の2024年の不良品率は総生産量の5%で、規格外として除かれる製品は月に160〜198キログラムに上っていました。
同社はインドネシア国家規格に基づき、水分量や欠点数などを検査していました。ただし著者らは、この検査が最終製品の確認に重点を置いており、生産途中のばらつきを統計的に定期的に分析する仕組みはなかったと指摘しています。そこで本研究は、ロブスタ種コーヒー豆の不良の程度と種類を明らかにすること、そして統計的工程管理(SPC)を生産工程に適用して、工程の安定性を評価することを目的としました。SPCとは、生産データを継続的に記録・分析し、工程が通常のばらつきの範囲に収まっているかを監視する品質管理の手法です。
1か月分の生産記録を四つの道具で分析
研究チームは、2026年1月の30日間について、選別工程と焙煎工程の日々の生産量と不良品の量を記録しました。あわせて現場を観察し、生産部門の責任者である副社長と生産監督者の2人に聞き取りを行いました。
分析には四つの道具を使いました。一つ目は、日々の生産量と不良の種類を記入する記録表(チェックシート)です。二つ目は、毎日の不良品の割合を折れ線で示す管理図で、本研究では割合を扱うp管理図を用いました。管理図には、期間全体の平均値を示す中心線と、そこから計算した上下の管理限界線を引きます。点が限界線の外に出た場合、偶然の範囲を超えた特別な原因が工程に働いている可能性を示すと解釈します。三つ目は、不良を種類別に多い順に並べ、どの不良を優先して減らすべきかを示すパレート図です。四つ目は、不良の原因を原材料・方法・機械といった要因ごとに整理する特性要因図(形から「フィッシュボーン図」とも呼ばれます)です。
選別工程は不良率26%、両工程とも統計的に安定していない
記録によると、選別工程では期間中に1,190,055グラムを処理し、そのうち309,651グラム、約26%が除外されました。焙煎工程では880,404グラムを処理し、不良は19,933グラム、約2.3%でした。
管理図の分析では、選別工程の中心線が0.260、上限が0.267、下限が0.254となり、観測点の大半がこの範囲の外にありました。著者らは、選別工程が統計的に管理された状態にはないと判断しています。焙煎工程は平均の不良率が0.023と比較的低かったものの、上限0.025・下限0.020の範囲を外れた点が二つあり、こちらも特別な原因によるばらつきがあることを示すと報告しています。
不良の内訳を見ると、選別工程では小粒の豆が約90%を占め、残り約10%が未熟な豆でした。焙煎工程では割れた豆が83%で最も多く、小さく縮んだ豆が11%、焦げた豆が6%でした。
不良の背景にある原料・作業方法・機械の課題
観察と聞き取りをもとに特性要因図で原因を整理したところ、選別工程では次の課題が挙がりました。受け入れる原料に水分の多い豆や完熟していない豆が含まれていること。供給者が同社の求める仕様を十分に理解していないこと。選別が目視による手作業で行われていること。ふるいの目の大きさが統一されていないこと。焙煎工程では、乾燥が不十分なために水分が低くなりすぎた豆が変色や焦げを起こしやすいことが指摘されました。さらに、焙煎の温度と時間の設定が文書化されておらず作業者の腕に頼っていること、機械の回転数が工程に合っていないこと、温度計の校正が定期的に行われていないことも挙げられました。
これらを踏まえ、著者らは改善策として、原料の受け入れ基準の監視、選別基準や焙煎条件の標準化、焙煎前の水分確認、温度の15分ごとの監視、機械の定期的な校正を提案しています。
論文は、SPCによって工程のばらつきの大きさと改善すべき箇所を数値で把握でき、それが的を絞った改善の土台になると述べています。著者らは、統計に基づく品質管理を一貫して続ければ不良を減らし、品質を安定させられると期待を示しています。最終製品の検査だけでは見えにくい工程の不安定さを、日々の記録から具体的に示した事例研究といえます。
原著論文の著者・所属:Basakhal Mahalani(Program Studi Agribisnis , Fakultas Pertanian UPN "Veteran" Jawa Timur , Surabaya , Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Basakhal Mahalani Analisis Tingkat Kecacatan Produk Biji Kopi Robusta Menggunakan Statistical Process Control (SPC) (Studi Kasus: PT. Harta Mulia, Blitar, Jawa Timur). MIMBAR AGRIBISNIS Jurnal Pemikiran Masyarakat Ilmiah Berwawasan Agribisnis 2026-08-01. DOI: 10.25157/ma.v12i2.23675. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。