著者の所属・活動拠点の国は、ベトナムです。
掲載誌:Food Research
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
研究の目的
研究チームは、タロイモ粉を使ったクラッカーについて、揚げる温度と時間が、膨らみや食感、色、油の吸収、ポリフェノール量などにどう影響するかを調べました。揚げ調理は好ましい食感や風味を生む一方、熱に弱い成分を減らすこともあるため、製品の仕上がりと成分の保持を両立できる条件を探ることが目的でした。
何を、どのように調べたか
タロイモ粉40 gとタピオカでんぷん60 gに、水や調味料などを混ぜて生地を作り、蒸した後に冷却し、厚さ2 mmに切って乾燥させました。このクラッカーを大豆油で揚げ、160、170、180℃の3段階の温度と、15、20、25秒の3段階の時間を組み合わせた9条件を比較しました。実験は3反復で行いました。
測定したのは、水分、直径と厚さの増加率、油の吸収、割るのに必要な力で表す硬さ、色、総ポリフェノール量、試料の抗酸化活性です。さらに、ポリフェノールが時間と温度に応じて減る様子を数式モデルで解析しました。職員と学生から選ばれた20人による、色、香り、味、食感の官能評価も行いました。
主な報告結果
研究チームが総合的に最も好ましいとした条件は、180℃で15秒でした。官能評価では、この条件の色、香り、味が9条件中で最も高く、食感も高く評価されました。一方、180℃で20秒にすると食感の評点はさらに高くなりましたが、色、香り、味の評点は下がりました。長く揚げるほど、すべての品質が良くなるわけではありませんでした。
温度が高く、時間が長いほど、概して水分が減り、クラッカーはよく膨らみ、測定上の硬さは低下しました。例えば、厚さの増加率は160℃・15秒で44.03%、180℃・25秒で92.92%でした。油の吸収率は160℃・15秒の16.24%が最も低く、170℃・25秒の44.95%が最も高い値でした。ただし、180℃では揚げ時間を延ばすと油の吸収率が下がっており、時間による変化は温度によって異なりました。
総ポリフェノール量は、高温で長く揚げるほど減少しました。乾燥重量1 g当たりの没食子酸相当量という共通の基準で表すと、揚げる前は0.74 mg、160℃・15秒では0.67 mg、180℃・25秒では0.34 mgでした。著者らは、この減少が、残っている量に比例して減少速度が決まる「一次反応モデル」によく適合したと報告しています。また、温度による減少速度の変化を表すモデルから、活性化エネルギーを111.17 kJ/molと算出しました。
抗酸化活性について、著者らは揚げ条件による変化が比較的小さかったとまとめています。ポリフェノールの減少だけでなく、加熱中に生じる別の成分も測定値に関わる可能性を挙げています。
この報告が示すこと
著者らは、揚げ調理には、膨らみや食感を良くする一方で、油の吸収やポリフェノールの損失も伴うという両面があると結論づけています。今回の配合と試験条件では、高温で短時間揚げることが、外観、風味、食感のバランスを取る選択肢として示されました。この評価は、試作したクラッカーの成分測定と20人の官能評価に基づくものです。
原著論文の著者・所属:T.T.H. Nguyen(Institute of Food and Biotechnology , Can Tho University , Can Tho City , Vietnam)、N.T. Dang(Institute of Food and Biotechnology , Can Tho University , Can Tho City , Vietnam)、M.T. Nhan
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):T.T.H. Nguyen, N.T. Dang, M.T. Nhan. Impact of frying conditions on polyphenol degradation kinetics and physicochemical properties of crackers from taro (Colocasia esculenta (L.) Schott) flour. Food Research 2026-11-05. DOI: 10.26656/fr.2017.10(s2).10. 原著ライセンス:CC BY.