この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:OpenAlex
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
研究の目的
うどんは小麦粉と水と塩で作る麺で、明るい色と強いコシが特徴です。インドネシアの研究チームによると、同国の小麦輸入量は1030万トンに達しています。著者らは、小麦の消費を減らして地元の農産物を生かすため、現地で手に入るイモ類「キンプル」の粉を小麦粉の代わりに一部使ったうどんを試作しました。
キンプル芋の粉は炭水化物が豊富ですが、グルテンを含みません。グルテンは小麦のたんぱく質がつくる網目状の構造で、麺の弾力やコシのもとになります。そこで研究チームは、キンプル粉を混ぜる割合に加え、こねた生地を休ませる時間(寝かせ時間)も変えました。生地を休ませると水がなじみ、グルテンの網目が整うとされているためです。この二つの条件がうどんの性質にどう影響するかを調べました。
何を調べたか
キンプル芋は皮をむいて薄切りにし、食塩水に浸してから乾燥させ、粉に挽きました。キンプル粉と小麦粉の割合は、0対100、15対85、30対70の3通りです。寝かせ時間は0分、60分、120分の3通りで、組み合わせると9種類のうどんになります。それぞれ3回ずつ作って比べました。
調べた項目は大きく三つです。一つ目は物理的な性質で、引っ張ったときの伸びやすさ、ちぎれるまでに必要な力、ゆでたときに麺から溶け出す成分の量(調理損失)、色の明るさなどです。二つ目は水分、灰分(ミネラル分の目安)、たんぱく質、でんぷんなどの成分です。三つ目は食べた人の好みで、大学生30人が色・食感・味を1(とても嫌い)から7(とても好き)の7段階で評価しました。
主な結果
キンプル粉の割合は、調べたすべての項目に統計的に意味のある差をもたらしました。キンプル粉が増えるほど、麺は伸びにくく切れやすくなりました。伸びの値は、小麦粉だけのうどんで29.55〜31.11%、キンプル粉30%では18.29〜20.65%でした。調理損失は増え、色は暗くなりました。明るさの値は最も高いもので70.3、最も低いもので46.3です。成分を見ると、たんぱく質は小麦粉だけのうどんの約13.6〜13.9%から、キンプル粉30%では約9.1〜9.5%に下がりました。反対に、灰分とでんぷんの量は増えました。
寝かせ時間を長くすると、麺はよく伸び、ちぎれるのに必要な力も大きくなりました。水分量も増えました。その一方で、色の明るさは下がりました。
好みの評価では、キンプル粉を増やすほど色・食感・味のいずれも点数が下がりました。色の評価が最も高かったのは、小麦粉だけで寝かせ時間0分のうどんで、6.17(好き)でした。味では小麦粉だけで120分寝かせたうどんが5.47と最も高く、食感も同じうどんが5.5と最も高い値でした。著者らは、色が暗くなる理由をキンプルに含まれる成分や加熱中の褐色反応で、味の評価が下がる理由をキンプル特有の風味に食べ手が慣れていないことで説明しています。
研究から伝わること
この研究は、小麦粉の一部をキンプル芋粉に置き換えると、うどんの弾力や色、好まれやすさが変わることを、粉の割合ごとに数値で示しました。あわせて、生地を休ませる時間が麺の伸びや強さに関わることも報告しています。地元のイモをうどんに取り入れる際、混ぜる量と作り方によって品質がどう変わるかを知る手がかりになる研究です。
著者:Naila Fatwa(Department of Agricultural Product Technology, University of Jember, Jember, Indonesia)、Triana Lindriati(Department of Agricultural Product Technology, University of Jember, Jember, Indonesia)、Niken Widya Palupi(Department of Agricultural Product Technology, University of Jember, Jember, Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Naila Fatwa, Triana Lindriati, Niken Widya Palupi. Physical, Chemical, and Organoleptic Characteristics of Udon Substituted with Kimpul Tuber Flour in Various Treatments: Flour Concentration and Resting Time. OpenAlex 2026-10-09. DOI: 10.11648/j.sdnutr.20260101.16. 原著ライセンス:CC BY.