著者の所属・活動拠点の国は、ナイジェリアです。

掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

屋台で売られる、そのまま食べられる調理済み食品は、安く手軽に食事がとれる一方で、調理後の保管・陳列・盛り付けの段階で微生物が入り込むおそれがあります。食べる前に再加熱しないため、調理後に付いた微生物はそのまま食べる人に届きます。

ナイジェリア南東部アナンブラ州の州都アウカでは、人口や商業の拡大とともに屋台の食品販売が広がっています。しかし、この地域でよく食べられる屋台食品の微生物の状態に関する情報は限られていました。研究チームは、アウカの屋台食品にどの程度の細菌やカビ・酵母などの真菌がいるのか、どのような種類が見られるのかを調べました。

何をどう調べたか

調査は2025年4月の雨季に行われました。著者らは市内5地区(アマウビア、オクプノ、アムド、アマエニ、ウムオクプ)でそれぞれ1軒の屋台を選び、米、モイモイ(豆を蒸して作る料理)、フフ(でんぷん質の芋などから作る発酵食品)、肉、豆の5品目を集めました。合計25の食品試料が分析されました。

試料を段階的に薄めて培地に広げ、育った集落(コロニー)の数から、食品1グラムあたりの細菌数と真菌数を求めました。単位のCFU/gは、食品1グラムに含まれる、増殖して集落をつくれる微生物の数のおおよその目安です。さらに、集落の見た目、顕微鏡観察、グラム染色、各種の生化学的な性質から、微生物の種類を推定しました。論文はこれらの同定を「推定」の段階と位置づけています。

主な結果

調べたすべての食品から細菌と真菌が検出されました。細菌数は、アマエニの豆の1.8×10²CFU/gから、アマウビアのフフの9.1×10³CFU/gまでの幅がありました。真菌数は2.2×10²〜7.8×10²CFU/gでした。品目別の平均では、フフが細菌・真菌ともに最も多く、細菌は肉、真菌は米が最も少なくなりました。

地区による違いも見られました。細菌の平均値はアマウビア(5.14×10³CFU/g)とオクプノ(4.28×10³CFU/g)が高く、ほかの3地区は3.00×10²〜3.60×10²CFU/gでした。真菌の平均値はオクプノが最も高い結果でした。著者らは、調理後の時間や陳列の長さ、保管温度、清潔な水の確保、器具の衛生、食品の覆い、扱う人の衛生などが関わっている可能性を挙げています。

推定された細菌には、バシラス属、サルモネラ属、大腸菌、黄色ブドウ球菌、クレブシエラ属、プロテウス属、赤痢菌属、クロストリジウム属、カンピロバクター属、乳酸菌の一種ラクトバチルス属が含まれ、真菌ではアスペルギルス属とケカビ属が見られました。バシラス属、サルモネラ属、大腸菌、黄色ブドウ球菌、アスペルギルス属は5品目中4品目で見つかりました。ただし、これは菌が見つかった品目の数であり、試料ごとの検出率を示すものではないと論文は注記しています。

国際的な食品微生物の基準を参考にした比較では、販売直前に調理した食品の場合、10³CFU/g未満は「満足できる」、10³以上10⁵未満は「境界域」とされます。今回、10⁵CFU/gに達した試料はありませんでしたが、アマウビアとオクプノの多くの試料は10³CFU/gを超えて境界域に入りました。一方、ほかの3地区の大半は10³CFU/g未満でした。

研究が示す意味

著者らは、こうした全体の菌数は食品の一般的な衛生状態を示す目安であり、安全性を直接証明するものではないと述べています。そのうえで、腸内に由来する菌や、人の手から付きやすい黄色ブドウ球菌などが推定段階で見つかったことは、衛生管理、食品の扱い方、調理後の保護、温度管理に弱点がある可能性を示すと結論づけています。

一方で、見つかった菌が本当にその種類なのか、病気を起こすものなのかを確かめるには、確定のための検査や病原菌ごとの検査が必要だと論文は指摘しています。著者らはあわせて、販売者の衛生改善、定期的な検査、安全な水の確保、適切な温度管理を求めています。この研究は、身近な屋台食品でも、地区や品目によって衛生状態に差が出うることを地域のデータで示しています。

原著論文の著者・所属:Obi, C. P.(Federal Polytechnic Oko)、Kanu, U. J.(Federal Polytechnic Oko)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Obi, C. P., Kanu, U. J.. Microbiological Quality and Safety Assessment of Ready-to-Eat Street Foods in Awka Metropolis, Southeastern Nigeria. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-09-08. DOI: 10.5281/zenodo.22661366. 原著ライセンス:CC BY.