この研究は、ガーナの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Food Science & Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

おからは、豆乳や豆腐を作るときに残る大豆の搾りかすです。これまでの報告では、乾燥したおからは食物繊維がおよそ半分、たんぱく質が約25%、脂質が約10%を占めるとされています。それでも多くは家畜の飼料や肥料に回されるか、利用されずに終わっています。食品に使いにくい理由として、生のおからは傷みやすいこと、豆特有の青臭さ(ビーニー臭)、ざらついた食感などが挙げられてきました。

発酵はこうした性質を変える手段として研究されてきましたが、多くは特定の微生物を加えた発酵を扱っていました。加熱の影響と発酵の影響を同じ実験の中で切り分けた研究は限られていました。ガーナの研究チームは、短時間の加熱前処理と、微生物を加えずに自然に進む「自然発酵」の時間が、おからの粉の性質をそれぞれどう変えるか、また両者が組み合わさったときに互いの効果を変えるかを調べました。とくに、先に行った消費者調査で懸念が示されたビーニー臭に重点を置いています。

どのように調べたか

著者らは、地元の豆腐・豆乳業者2軒から生のおからを集め、よく混ぜてから実験に使いました。おからを加熱しないものと、90〜100℃で5分加熱したものに分け、それぞれ約25℃で0、12、24、36、48時間、自然発酵させました。発酵後は天日で乾燥させて粉にしています。2通りの前処理と5通りの発酵時間を組み合わせた10条件を、独立に3回ずつ作りました。

できた粉について、ビーニー臭・色・食感の強さを、訓練を受けた食品科学専攻の学生25人が9段階で評価しました。この評価は特性の「強さ」を測るもので、好みや受け入れやすさを測るものではありません。あわせて、酸性度を示すpHと滴定酸度、たんぱく質などの成分、ポリフェノールの総量、ミネラルの吸収を妨げることがあるフィチン酸やタンニン、水や油を吸う力、粉の流れやすさの指標なども測定しました。統計解析では、加熱の効果、発酵時間の効果、そして両者の「交互作用」(加熱の有無によって発酵の効果が変わるかどうか)を区別して検討しています。

主な結果

ビーニー臭の強さを大きく左右したのは発酵時間でした。加熱の有無とその交互作用には、統計的に意味のある差は認められませんでした。評価点は0時間と12時間では低く、24時間以降に急に高くなり、24〜48時間では6.6を超えました。調べた条件の中で最も低かったのは、加熱してから12時間発酵させた粉(2.24)でした。ただし著者らは、加熱の効果も交互作用も有意ではなかったため、この最小値は記述的な観察にとどまり、加熱と発酵の相乗効果を示すものではないと述べています。

また論文は、24時間以降の高い評価点を、大豆由来の青臭さそのものが強まった証拠とは解釈しないよう注意を促しています。発酵によって生じた別のにおいが、ビーニー臭の評価に含まれた可能性があるためです。微生物の種類やにおい成分は分析されていないため、それぞれの寄与は判断できなかったとしています。一方、色と食感の評価点には、どの要因でも有意な差はみられませんでした。

pH、滴定酸度、水を吸う力では、加熱と発酵時間の交互作用が有意でした。つまり、発酵中の変化の仕方が加熱の有無によって異なっていました。pHは発酵12時間で下がり、24時間でいったん上がってから、48時間で再び下がりました。著者らは、酸性化が発酵の間ずっと続いたわけではないと指摘しています。その理由として微生物の入れ替わりなどの可能性を挙げていますが、実際には調べていないため、原因は確定していないとしています。

たんぱく質は粉100gあたり24.54〜29.84gの範囲で、加熱と発酵時間の両方の影響を受けました。ポリフェノールの総量、フィチン酸、タンニンは発酵時間によって変化しました。一方、粉の流れやすさを示す指標には変化がみられませんでした。

研究が示すこと

この研究から、おからの粉のビーニー臭の評価には、加熱の有無よりも自然発酵の時間が大きく関わることが分かりました。また、発酵を長く続ければ風味が良くなっていくわけではないことも示されました。調べた条件の中では、加熱後に12時間発酵させた粉がビーニー臭の評価が最も低く、ほかの成分や機能的な性質も保っていました。ただし論文は、この点を条件ごとの観察として慎重に扱うべきだとしています。

著者:Abdul-Aziz Bawa(Department of Food Science and Technology University for Development Studies Tamale Ghana)、Fortune Akabanda(Department of Food Science and Technology University for Development Studies Tamale Ghana)、Newlove Akowuah Afoakwah(Department of Food Science and Technology University for Development Studies Tamale Ghana)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Abdul-Aziz Bawa, Fortune Akabanda, Newlove Akowuah Afoakwah. Effects of Thermal Pretreatment and Spontaneous Fermentation on the Quality Characteristics of Okara Flour. Food Science & Nutrition 2026-10-01. DOI: 10.1002/fsn3.72453. 原著ライセンス:CC BY.