著者の所属・活動拠点の国は、スペイン、イギリスです。
掲載誌:Nutrients
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
研究の目的
高校を卒業して大学に入る時期は、食べ物や飲み物を自分で選んで買うようになり、生活環境も大きく変わる時期です。この時期に身についた食習慣は、その後も続く可能性があります。研究チームは、こうした若い世代について、砂糖の摂り方と体の脂肪の状態との関係がイギリスの大学生ではまだ十分に調べられていない点に注目しました。
この研究で扱った「遊離糖」とは、製造時や調理時、食べる人が加えた糖に、はちみつ・シロップ・果汁にもともと含まれる糖を加えたものです。牛乳に含まれる乳糖や、丸ごとの果物や野菜の中にある糖は含みません。食品に含まれる糖をすべて合わせた「総糖類」とは区別されます。もう一つの注目点は、砂糖入りの清涼飲料などの「加糖飲料」です。
研究チームは、遊離糖をどれくらい摂っているか、加糖飲料をどの種類の飲み物からどれだけ摂っているかを明らかにすることを目指しました。そのうえで、これらの摂取量が肥満度(BMI)、体脂肪率、内臓脂肪の指標と関連するかを調べました。
何をどのように調べたか
対象は、イギリス・レスターのデ・モントフォート大学に通う18〜22歳の学生111人です。データは2016年1月から3月中旬にかけて集められました。出身地域はアフリカ、アジア、ヨーロッパなどに分かれており、地理的に多様な集団でした。
食事の内容は、過去およそ4週間に何をどれくらいの頻度・量で食べたり飲んだりしたかを尋ねる質問票で調べました。遊離糖の量は、栄養計算ソフトが出した値をそのまま使いました。加糖飲料については、記録された441種類の食品名を一つずつ確認しました。そのうえで、ダイエット・ゼロシュガーなどの砂糖を含まない飲み物と、果汁・野菜汁100%のジュースを除き、砂糖入りの飲み物だけを「厳密な加糖飲料」として数え直しました。この量は飲み物の重さで表したもので、含まれる砂糖の量そのものではありません。
体の状態は、身長と体重から計算したBMIに加え、体に微弱な電流を流して体組成を推定する機器で測った体脂肪率と内臓脂肪の指標を用いました。内臓脂肪の指標は機器による推定値です。この集団では値の幅が狭かったため、内臓脂肪に関する分析は探索的な位置づけとされています。分析では、年齢・性別・出身地域・総摂取エネルギーの影響を考慮しました。この分析には、人数が少ない出身地域区分の2人を除く109人が含まれています。
主な結果
遊離糖の摂取量は、中央値で1日43.2グラムでした。総摂取エネルギーに占める割合の中央値は8.20%です。世界保健機関(WHO)が目安とする「総エネルギーの10%」以上を摂っていた人は、全体の33.3%にあたりました。
厳密な加糖飲料を少しでも飲んでいた人は81.1%でした。加糖飲料の摂取量(重さ)のうち62.3%は、砂糖入りの通常の炭酸飲料・コーラが占めていました。次いで、水で薄めて飲む濃縮果汁飲料(スクワッシュ・コーディアル)が19.4%、スポーツドリンクが9.3%、エナジードリンクが5.6%でした。
一方、遊離糖の摂取割合と加糖飲料の摂取量のどちらについても、BMI・体脂肪率・内臓脂肪の指標との間に統計的に意味のある関連は見られませんでした。たとえば、遊離糖がエネルギーに占める割合が5ポイント高いと、体脂肪率は0.50ポイント高いと推定されました。ただし、その95%信頼区間はマイナス0.68からプラス1.68までと、ゼロをまたいでいました。
この研究が伝えること
著者らは、推定値の幅(信頼区間)が広く、意味のある影響がある可能性を否定できるほど結果は精密ではないと述べています。そのため、今回の結果を「関連がない」証拠と受け取るべきではないと強調しています。また、この研究はある一時点の状態を調べたもので、示されるのは関連の有無であり、因果関係ではありません。数値は2015〜2016年当時の推定であり、現在の大学生の状況を表すものでもありません。
それでも、多様な出身の若者の集団で、遊離糖の摂取が目安を上回る人が一定数いたこと、加糖飲料の大部分が通常の炭酸飲料・コーラから来ていたことが示されました。飲み物の種類を一つずつ見分けて数え直すことで、糖がどの飲み物から入ってくるのかが具体的に見えてくる点も、この研究から伝わる要点です。
原著論文の著者・所属:Antonio Peña-Fernández(Area of Legal and Forensic Medicine, Department of Surgery, Medical and Social Sciences, Faculty of Medicine and Health Sciences, University of Alcalá, Ctra. Madrid-Barcelona, Km. 33.6, 28871 Alcalá de Henares, Spain; Leicester School of Allied Health Sciences, De Montfort University, Leicester LE1 9BH, UK)、Tomás Cámara-Pastor(Scientific Computation Research Institute (SCRIUR), University of La Rioja, 26006 Logroño, Spain)、M. Ángeles Peña Fernández(Department of Biomedical Sciences, Faculty of Pharmacy, University of Alcalá, Crta. Madrid-Barcelona, Km. 33.6, 28871 Alcalá de Henares, Spain)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Antonio Peña-Fernández, Tomás Cámara-Pastor, M. Ángeles Peña Fernández. Free Sugars and Source-Resolved Sugar-Sweetened Beverage Consumption in Geographically Diverse Young Adults at an English University (2015–2016): Associations with Adiposity and Body Composition. Nutrients 2026-10-28. DOI: 10.3390/nu18213552. 原著ライセンス:CC BY.