著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:Health Science Reports
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
砂糖を加えた飲み物(加糖飲料)の摂取と健康との関係は、これまでも多くの研究で調べられてきました。この研究チームは、加糖飲料の摂取量とあらゆる原因による死亡(全死亡)のリスクとの関連が、メタボリックシンドロームのある人とない人とで異なるかに注目しました。メタボリックシンドロームとは、腹部肥満、血圧、血糖、血中脂質などの異常が複数重なった状態を指します。
著者らは、摂取量が増えるにつれてリスクが一定の割合で変わるのではなく、ある量を境に関連の様子が変わる「非直線的」な関係があるかどうかも確かめようとしました。さらに、特にリスクが高い集団を見つけることも目的に挙げています。以下は、論文の抄録に記載された内容にもとづく紹介です。
何を調べたか
研究チームは、米国の国民健康栄養調査(NHANES)の2003年から2018年のデータを使い、20〜79歳の成人2万6885人を分析しました。参加者を一定期間追跡し、その後の死亡との関係を調べる「前向きコホート研究」と呼ばれる方法です。メタボリックシンドロームの有無は、米国で広く使われている診断基準(NCEP ATP III)で判定し、該当する人は8656人、該当しない人は1万8229人でした。
加糖飲料の摂取量は、前日の24時間に口にした飲食物を思い出して答えてもらう調査を1回行って把握しました。量は、飲み物の重さ(1日あたりのグラム数)、そこから得たエネルギー(1日あたりのキロカロリー)、含まれる糖の量(1日あたりのグラム数)の三つの形で表しています。分析には、時間とともに起こる死亡のリスクを比較する統計手法(コックス比例ハザードモデル)と、摂取量とリスクの曲線的な関係をとらえる手法(制限付き3次スプライン)が用いられました。
主な結果
メタボリックシンドロームのある人では、加糖飲料の重さおよびエネルギーで表した摂取量と全死亡リスクとの間に、統計的に意味のある非直線的な関連が認められたと報告されています。関連の様子が変わる境目は、重さでおよそ1日950グラム、エネルギーでおよそ1日90キロカロリーでした。
この境目を超える範囲では、摂取量が標準偏差(ばらつきの目安となる単位)1つ分増えるごとに、死亡リスクが重さでは14%、エネルギーでは18%高いことと関連していました。
加糖飲料に由来する糖の量については、非直線的な傾向は統計的に有意な水準にわずかに届きませんでした。ただ、リスクが最も低くなるのは1日約20グラム付近で、それを超えると標準偏差1つ分の増加ごとにリスクが19%高くなる関連がみられたとされています。
一方、メタボリックシンドロームのない人では、加糖飲料の摂取量と全死亡リスクとの間に、直線的な関連も非直線的な関連も認められませんでした。
この研究が示すこと
著者らは、メタボリックシンドロームのある成人では、加糖飲料を多く摂取することが全死亡リスクの上昇と関連しており、その関連にはある量を境に現れる「しきい値」のような特徴があると結論づけています。
この研究は観察データの分析であり、示されたのは摂取量と死亡リスクの「関連」です。加糖飲料が死亡の原因であることを直接示したものではありません。それでも、加糖飲料と死亡リスクの関係が、代謝の状態によって異なる可能性を示した点に、この研究の意味があります。
原著論文の著者・所属:Tingting Lv(Liver Center, Beijing Friendship Hospital Capital Medical University Beijing China)、Xintian Ren(Clinical Epidemiology and EBM Unit, Beijing Friendship Hospital Capital Medical University; Beijing Clinical Research Institute Beijing China)、Yanfang Tan(Clinical Epidemiology and EBM Unit, Beijing Friendship Hospital Capital Medical University; Beijing Clinical Research Institute Beijing China)、Min Li(Clinical Epidemiology and EBM Unit, Beijing Friendship Hospital Capital Medical University; Beijing Clinical Research Institute Beijing China)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Tingting Lv, Xintian Ren, Yanfang Tan, et al. Association Between Sugar‐Sweetened Beverage Consumption and All‐Cause Mortality in Individuals With and Without Metabolic Syndrome: A Prospective Cohort Study. Health Science Reports 2026-10-26. DOI: 10.1002/hsr2.73438. 原著ライセンス:CC BY.