著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:LWT
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
脂質の酸化で生じる物質と肉のたんぱく質
研究チームは、肉の加工中に脂質の酸化によって生じるマロンジアルデヒド(MDA)が、加熱中のミオシンの構造と消化されやすさにどう影響するかを調べました。ミオシンは筋肉を構成するたんぱく質の一つです。MDAがミオシンを変化させ、胃での消化されやすさを低下させることは知られていましたが、加熱時の影響と、その背景にある構造変化は十分に分かっていませんでした。
加熱条件を変え、分解されやすさと構造を測定
著者らは、精製したブタのミオシンを10~50 mmol/LのMDAで処理し、100~180℃で10~30分間加熱しました。胃の消化酵素であるペプシンによる分解を調べるとともに、たんぱく質の局所的な折りたたみ構造や、粒子の大きさの分布などを分析しました。
その結果、MDAによってミオシンはペプシンで有意に分解されにくくなりました。消化されやすさの低下との関連は、加熱温度や加熱時間よりも、MDA濃度の方が強いと報告されています。
構造の組み替えと凝集を伴う変化
加熱中、MDAはミオシンの構造を、折り返し状の「βターン」が主体の状態から、シート状の「βシート」が多い状態へと変化させました。また、粒子の大きさの分布が広がるなど、たんぱく質同士が集まる凝集の進行を示す変化も認められました。著者らの解析では、βシートの増加や凝集は、ペプシンによる分解されやすさの低下と関連していました。
この研究は、精製したミオシンを用いた実験で、加熱中のMDAによる消化されやすさの低下が、たんぱく質の構造の組み替えや凝集を伴うことを示しています。
原著論文の著者・所属:Yaya Wang(Tianjin Key Laboratory of Food Science and Health, School of Medicine, Nankai University, Tianjin, 300071, China)、Bingxin Yang(College of Optical, Mechanical and Electrical Engineering, Zhejiang Agriculture and Forestry University, No. 666 Wusu Road, Linan District, Hangzhou, Zhejiang Province, 311300, China)、Yuanfei Li(College of Food and Health, Zhejiang Agriculture and Forestry University, No. 666 Wusu Road, Linan District, Hangzhou, Zhejiang Province, 311300, China)、Shuo Wang(Tianjin Key Laboratory of Food Science and Health, School of Medicine, Nankai University, Tianjin, 300071, China)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yaya Wang, Bingxin Yang, Yuanfei Li, et al. Thermal processing regulates malondialdehyde-induced structural rearrangement, aggregation and reduced gastric digestibility of myosin. LWT 2026-09-19. DOI: 10.1016/j.lwt.2026.119949. 原著ライセンス:CC BY.