著者の所属・活動拠点の国は、インド、韓国です。
掲載誌:Plants
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
植物由来の素材でつくった微粒子を調べる
研究チームは、モリンガの葉の抽出液を使って酸化亜鉛ナノ粒子を合成し、温室栽培のトマトの生育や収量、果実の品質、病害にどのような影響を与えるかを調べました。亜鉛は植物が少量必要とする栄養素で、葉緑素の合成などに関わります。この研究では、非常に小さな粒子として与えた場合の働きに着目しました。
著者らは、モリンガの葉の抽出液と亜鉛を含む溶液を混ぜ、加熱などの工程を経て粒子を作製しました。電子顕微鏡による観察では、粒子は三角形で、平均の大きさは84ナノメートルと報告されています。
濃度を変えて生育と収穫を比較
栽培試験では、種子への処理や苗への灌注、その後の葉への散布による影響を調べました。ナノ粒子の濃度は50〜250 ppmで比較し、発芽や苗の生育に加え、開花、収量、果実の品質などを評価しました。葉への散布は通常の推奨施肥と組み合わせ、硫酸亜鉛と推奨施肥を用いた対照区と比べています。
種子の処理では、200 ppmの区で発芽率が最も高く、66.67%でした。一方、葉への散布では150 ppmの区が収量などで最も良い成績を示しました。この区の総収量は1株当たり約4.10キログラム、販売可能な果実の収量は約3.98キログラムでした。著者らは、試したすべての濃度で対照区より収量が有意に増えたと報告しています。
果汁に含まれる糖などの可溶性成分の指標であるBrix値は、150 ppm区で9.73と最も高く、対照区では4.20でした。保存性も150 ppm区が最も良好でした。濃度を高くすれば成績が一律に良くなるわけではなく、200 ppm区の収量やBrix値は150 ppm区を下回りました。
疫病への影響と研究が示すこと
研究チームは、トマトに被害をもたらす疫病についても調べました。温室での試験では、150 ppmの葉面散布区で病気の程度が最も低く、実がつく段階でも対照区より軽いと報告されています。また、病原体を培地で育てる試験でも、酸化亜鉛ナノ粒子による生育の抑制が観察されました。
著者らは、今回の温室条件では、150 ppmの葉面散布が収量、保存性、疫病の抑制を合わせて最も良い結果につながったと結論づけています。この研究は、植物の抽出液を使って合成した酸化亜鉛ナノ粒子の働きとともに、与える濃度や生育段階によって結果が異なることを示しています。
原著論文の著者・所属:Lekkala Venkata Ravishankar(Production and Plantations, Red Otter Farms Pvt Ltd., Uttarakhand 263159, India)、VijayaDurga V. V. Lekkala(Department of Genetics and Genomics, Yogi Vemana University, Kadapa 516005, India)、Dakshayani Lomada(Department of Genetics and Genomics, Yogi Vemana University, Kadapa 516005, India)、Madhava C. Reddy(Department of Biotechnology and Bioinformatics, Yogi Vemana University, Kadapa 516005, India)、Nidhi Puranik(Department of Life Sciences, Yeungnam University, Gyeongsan 38541, Republic of Korea)、Shraddha Tiwari(Department of Life Sciences, Yeungnam University, Gyeongsan 38541, Republic of Korea)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Lekkala Venkata Ravishankar, VijayaDurga V. V. Lekkala, Dakshayani Lomada, et al. PhytoSynthesized Nano-Zinc Formulation for Sustainable Growth and Yield Enhancement in Tomatoes Under Protected Cultivation. Plants 2026-09-18. DOI: 10.3390/plants15182862. 原著ライセンス:CC BY.