著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:Functional Foods in Health and Disease
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
研究の目的
研究チームは、乳清由来のたんぱく質を集めた「カチオン性乳清たんぱく質画分(IDP)」を毎日摂取することで、健康な3~7歳の子どもの風邪の回数や症状が続く期間を減らせるか、安全性とともに調べました。成人を対象とした研究はあったものの、健康な子どもの風邪予防についての臨床的な証拠は限られていたことが背景にあります。
何を、どのように調べたか
研究チームは、1施設で健康な3~7歳の子ども350人を無作為に3群に分けました。IDPを1日50 mg摂取する群と200 mg摂取する群が各117人、IDPを含まないプラセボを摂取する群が116人で、介入期間は16週間でした。いずれもチョコレート風味の粉末飲料として提供し、子ども、保護者、研究担当者には、どの群に割り当てられたかを知らせない二重盲検法で比較しました。
保護者は毎週、風邪の回数と続いた期間を質問票に記録しました。せき、発熱、鼻水、嘔吐、下痢、抗菌薬の使用、園や学校を休んだ日数も記録し、医療担当者が内容を確認しました。安全性は試験中の有害事象と、開始時・16週時点の尿検査で評価しました。
途中中止や試験手順を守れなかった場合などの31人を除き、主な解析は計319人を対象に行われました。内訳は50 mg群103人、200 mg群107人、プラセボ群109人でした。
主な報告結果
研究チームは、保護者の質問票に基づく4か月間の風邪の回数と症状が続いた期間は、50 mg群、200 mg群ともにプラセボ群より統計学的に有意に少なかったと報告しました。月ごとの比較では、200 mg群は2か月目と4か月目に、50 mg群は2か月目に、プラセボ群より風邪の回数が少なく、期間も短くなっていました。
各群の1か月目との比較では、200 mg群の2か月目の風邪の回数は77.34%減少し、期間は80.50%短縮しました。50 mg群では、それぞれ42.45%減少、46.16%短縮でした。これらは同じ群の中での時間による変化を示す数値であり、プラセボ群に対する減少率ではありません。プラセボ群でも3か月目には、回数と期間の有意な減少が報告されました。
副次的な結果では、4か月間を通じて200 mg群のせきの頻度はプラセボ群より低かった一方、下痢の頻度と欠席日数は高く、50 mg群でも下痢の頻度がプラセボ群より高かったと報告されています。安全性評価では、完了した319人の尿検査に臨床的に意味のある異常は認められず、試験製品に関連する有害事象の報告はありませんでした。
この報告が示すこと
著者らは、特に1日200 mgのIDP摂取について、健康な3~7歳の子どもの風邪予防に役立つ、安全で摂取を続けやすい栄養的介入だと結論づけています。
一方、著者らは、症状の記録が保護者の質問票に基づくため偏りが入りうることと、1施設での試験であるため結果を広く一般化するには制約があることを挙げています。また、風邪の原因となった病原体を検査で確定した情報や、免疫の働きを示す指標のデータが不足しており、想定した作用の仕組みを直接検証するには至っていません。この報告は、作用機序の解明ではなく、対象となった子どもたちでの風邪予防を検討する臨床的な証拠として位置づけられます。
原著論文の著者・所属:Yue Wang(Shanghai Institute of Technology , Shanghai , China, 201418 ;)、Aling Tang(Longhua Hospital Affiliated to Shanghai University of Traditional Chinese Medicine , Shanghai , China, 200032 ;; Shanghai Jiao Tong University , Shanghai 201400 , China)、Liping Shen(South Campus , The Sixth People's Hospital Affiliated to Shanghai Jiao Tong University , National Clinical Research Center , Shanghai , China, 201406 ;)、Yan Zhou(South Campus , The Sixth People's Hospital Affiliated to Shanghai Jiao Tong University , Nutrition Department , Shanghai , China, 201406 ;)、Ye Bi(Shanghai University of Medicine & Health Sciences , Shanghai , China , 201318 ;)、Xiaojun Kuang(Department of Nutrition , South Campus , The Sixth People's Hospital Affiliated to; South Campus , The Sixth People's Hospital Affiliated to Shanghai Jiao Tong University , National Clinical Research Center , Shanghai , China, 201406 ;)、Wei Chen(Longhua Hospital Affiliated to Shanghai University of Traditional Chinese Medicine , Shanghai , China, 200032 ;)、Man Wang(South Campus , The Sixth People's Hospital Affiliated to Shanghai Jiao Tong University , Nutrition Department , Shanghai , China, 201406 ;)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yue Wang, Aling Tang, Liping Shen, et al. Efficacy and safety of Cationic Whey Protein Fraction in preventing common colds in children aged 3-7 years: A randomized, double-blind, placebo-controlled study. Functional Foods in Health and Disease(出版社:Food Science Publisher) 2026-11-04. DOI: 10.31989/ffhd.v16i11.2131. 原著ライセンス:CC BY.