著者の所属・活動拠点の国は、アラブ首長国連邦です。

掲載誌:International Journal of Food Properties

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

デーツ(ナツメヤシの実)からシロップを作る工程では、搾りかす(ポマス)が副産物として出ます。この搾りかすは繊維を多く含む食品素材の供給源になり得るとされながら、十分に活用されていません。

研究チームは、搾りかすを水で洗って得た「粗不溶性繊維リッチ画分」(水に溶けにくい繊維質を多く含む、精製前の成分のまとまり)に注目しました。そして、原料となる搾りかすの違いによって、この画分の性質がどう異なるかを調べました。

何を調べたか

比較の対象は4種類の搾りかすです。柔らかいタイプのバルヒ、半乾燥タイプのシシ、乾燥タイプのネガールという3品種の搾りかすと、工場で出た混合搾りかすです。

著者らは、それぞれから得た画分について、収率、基本的な成分組成、構造、熱に対する挙動を調べました。あわせて、水や油を保持する能力と、「粒子幅増加(PWI)」と呼ばれる指標を測りました。さらに、画分から得たメタノール抽出物について、ラジカル消去活性を評価しました。ラジカル消去活性は、反応性の高い分子を打ち消す働きをみる指標です。加えて、試験管内でブドウ糖やコレステロールをどの程度吸着するかも検討しています。

主な結果

画分の収率は4.12〜24.01%の範囲でした。最も高かったのは工場の混合搾りかすで、最も低かったのはバルヒでした。

ネガールは粒子が最も大きく、油を保持する能力も最も高い値を示しました。一方、粒子幅増加(PWI)は工場の混合搾りかすが最も高くなりました。

メタノール抽出物のラジカル消去活性は、DPPH法とABTS法という2種類の試験で調べられました。ネガールと混合搾りかすに由来する抽出物は、バルヒやシシに由来するものより強い活性を示したと報告されています。

構造の分析では、各画分に植物の細胞壁を構成するリグノセルロースに一般的な特徴が見られました。電子顕微鏡による観察では、混合搾りかすの画分の表面がより崩れた状態でした。また、元素分析ではネガールと混合搾りかすの画分からケイ素の信号が検出されました。

試験管内でのブドウ糖とコレステロールの吸着量は、画分の種類や試験した濃度によって異なりました。一部の条件では、ネガールが最も高い値を示しました。

研究から分かること

著者らは、原料となる搾りかすの違いが、得られる粗繊維画分の性質に影響したと結論づけています。ただし、ブドウ糖やコレステロールの吸着は試験管内での評価です。また著者らは、これらの画分の食物繊維の組成を標準化された分析法で確かめることと、食品に加えた場合の評価を、今後の課題として挙げています。

原著論文の著者・所属:Mohammed Tarique(United Arab Emirates University)、Asma Obaid Hamdan Alkaabi(United Arab Emirates University)、Sanaa Rasul(United Arab Emirates University)、Oni Yuliarti(United Arab Emirates University)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mohammed Tarique, Asma Obaid Hamdan Alkaabi, Sanaa Rasul, et al. Physicochemical and in vitro functional properties of crude insoluble fiber-rich fractions from date fruit ( Phoenix dactylifera L.) pomace. International Journal of Food Properties 2026-10-13. DOI: 10.1080/10942912.2026.2743681. 原著ライセンス:CC BY.